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活躍する現役ライターに聞く!案件を獲得するコツや愛用する仕事道具は?~紙媒体ライター 大橋さん編~


紙媒体でキャリアを積み、ベテランライターとして活躍する大橋礼さん。とくに「コエテコ by GMO」では、読者の心を掴むコラムから子どもの心に寄り添ったスクール取材記事まで、幅広く執筆されています。

多くのライターにとって、まだまだ憧れの「紙媒体」。なんだか格調高く、職人気質のライターさんが多いイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?今回は、紙媒体/Webの兼業でバリバリ活躍される大橋さんに、ライターとしてキャリアを積むためのコツや、取材に欠かせないアイテムなどを詳しく伺いました!

家族が経営する会社で働きながら、フリーランスとしても活躍

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ーーまず、大橋さんが現在請け負っているお仕事について教えていただけますか?

私は、夫が運営しているDTP制作会社で働きながら、フリーランスでライターの仕事も受注しています。夫の会社では雑用中心で、事務的な処理を担当しています。割合としては、会社での勤務が3、フリーランスとしての活動が7くらい。いわゆる、ダブルワークです。

ーーご家族はDTP製作会社を経営されているそうですが、そこではライターとしてのお仕事(紙媒体の原稿製作)もされているのでしょうか?

いえ、夫が会社を立ち上げたばかりの頃は担当したこともあったんですが、今はありませんね。経理を中心に、税理士さんとのやりとりや給与計算のチェック、税務署関係とのやりとりなどを担当しています。あとは、お付き合いのあるところへご挨拶に行くとか、夫の手伝いをしている形です。

ーーそうなんですね。次に、お仕事のペースを伺いたいのですが、現在のクライアント数や月の執筆本数はどのくらいですか?

取引先は、主なところで7〜8社くらいです。執筆本数は月によってまちまちですね。たとえば、サイトの立ち上げ時期のライティング案件の場合、まとまった本数をいただけることが多いのですが、それが終わるとごっそり予定が空くことも。平均すると、少ない時で6〜7本、多い時で20本くらい書いています。

ーー大橋さんのご経歴を拝見すると、ブックライティングもされているとのことですが……。正直、私には見当もつかないお仕事です。本を書くとなると、それこそ何百ページも執筆されるものなのでしょうか?

うーん、そのくらい大規模なブックライティングはごく稀にしか入らなくて、今は小冊子が多いです。そういった冊子も含めると、短いものから長いものまで、月に1本くらいは書いています。

——純粋な興味なんですが、そういったお仕事って、どこから受注するんでしょう?

ブックライティングは、知り合いから紹介されたものがあれば受注するという形です。ただ、今はwebライティングの方が多くて、紙媒体の方に自分から営業するということもありませんね。

リフレッシュは本を読むことと、親しい人と食事を楽しむこと

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ーー大橋さんは子育て中と伺いましたが、子育てと仕事をどのように両立されているのでしょうか?

私には子どもが2人おり、けっこうな歳の差があるんですね。具体的には、上が30代で下が高校生です。上の子はもう独立しているので、とくに「子育て」という感じではないのですが、下の子は私立の高校に通っているので、土曜日にも学校があるし、部活もあるんです。

ただ、高校生ともなると、けっこう手が離れてくるので、やりやすいところはあります。小学生の頃は子どもに休みを合わせていましたが、今は基本的に子どもに休みを合わせていないですね。

ーー高校生になると、少しずつ手が離れるものなんですね。最近の育児のこぼれ話などはありますか?

オンライン授業になってしまったので、今も別の部屋で授業を受けており、ついつい様子が気になってしまうときがありますね。夏休みなどは、毎年やってくる分、諦めがつくのですが、オンライン授業ではお昼の時間帯も決まっているので。それに合わせてご飯を作るのがちょっと大変。ただ、高校生なので、忙しい日は食事代を渡して、「好きなものを食べて」と言うこともあります。

ーーご家族に配慮しながら、じょうずに働かれているのですね。ちなみに、大橋さんはお休みをどれくらいの割合でとられているんですか?

入ってくる仕事の量にもよりますが、どんなに忙しい時期でも、「全く仕事をしない日」は意識して作るようにしています。「何日か、仕事が忙しい日が続いたな」と思うと、やっぱりストレスが溜まるので。土日のどちらかはパソコンを立ち上げないとか、うまくコントロールしています。

ジャイアンツ

ーーストレス解消法についてですが、大橋さんはよく、『回覧板』のおしゃべりチャンネルでジャイアンツに関する話題を投稿されていますよね(笑)。こうした趣味も、ストレス解消に役立っているのでしょうか?

ええ。休みに限らず、夕飯の時に美味しい物を食べるのがリフレッシュになっています。あとは、夫婦共にお酒が好きなので、ナイターを見て盛り上がりながら夫婦で一緒に喋るのも、よい気分転換になっています。

ーー素敵です!夫婦仲が良いんですね。

それから、1ヶ月に1〜2回は外食をするのも息抜きになっています。コロナ禍になる前は結構外食をしていましたね。仲良しのお友達と集まって飲んだり食べたりすると、すごく気分転換になるんですよ。もしくは、家族でワイワイ焼肉をしたりとかね。

あとは、本が好きなので、夜寝る前に本を読むのもひとつの気分転換になります。

ーー本といえば、大橋さんのnoteでは、「執筆した歴史小説が、大賞を受賞した」と書かれていましたよね。非常に驚いたんですが、いつも歴史小説を読まれているんですか?

そうなんです。賞を受賞したのはすごく昔の話だけど(笑)、歴史系の学説や論文を読むのは気分転換になるし、全く歴史に興味がない人に熱く語るっていうのも趣味かな(笑)。

ーー歴史に疎いもので、ぜひ熱く語ってもらいたいです!ちなみに、私はミステリー小説が大好きなんですが、大橋さんが最近読んで面白かったなっていうオススメの本はありますか?

私は乱読なので、ミステリーでも恋愛小説でも海外の翻訳物でも、なんでも読みますね。ファンタジーノベルも読みますし。もう新刊が出なくて残念なんですが、ミステリーでオススメなのはローレンス・サンダースですね。料理の描写がとっても美味しそうなんです。

ーーローレンス・サンダース、私もぜひ読んでみようと思います!

ソーダストリーム


ライターを始めたのは、DTP会社の手伝いがきっかけ

ーーそんな多趣味な大橋さんが、ライターになったきっかけは?

読むことも書くことも、昔から好きだったんです。でも、昔って、書いても発表する場がなかったんですよ。かといって、同人誌を発行する熱意もなく……。好きだけど、仕事にはつながっていない、という時期がありました。

それが、20〜25年くらい前に夫と仕事をするようになって、ピンチヒッターでライターの仕事をカバーしなければならない機会があったんです。そのときに、「誰かを探すよりも自分でやった方が早いかな」と思いまして。

「あえて外注に出さなくても、私が書いたものが通用するのであれば」とチャレンジしてみたら、なんと、通用したんです。そこからはスムーズで、仕事柄、出版社や印刷会社、編集プロダクションと繋がりができていたこともあり、「書きませんか」といわれるようになっていきました。

――家族の仕事を手伝い始めたことが、ライターの始まりだったんですね。

そうなりますね。同じ流れで、webライターへの道も拓けていきました。というのも、紙をやっているうちに、webライティングの話題が出るようになって、「私も書いてみたいな」と思うようになったんです。webの方が仕事が取りやすい(営業しやすい)というのもありますし、当時はwebライターも少なく、仕事が豊富にある状況だったので。

そこからは、これも紹介経由で、web製作会社でSEOライティングを勉強させていただく機会を得て、徐々に“片足”から“両足”へステップアップしていった感じでした。

ーー今の駆け出しライターは「ライタースクール」に通うケースも多いと聞きますが、大橋さんの場合は、実践ベースでスキルを積み上げていかれたのですね。

ええ。DTPの仕事って、たくさんの本を毎月作るんですね。プリントアウトされたゲラの赤や校正をみたり、作成しているデータを確認したりする必要があって、好き嫌いに関係なくたくさんの本を読む環境でした。言い換えれば自然と書くことを学ばせてもらえる環境だったんですよね。

ただ、webライティングに関して言えば、紙媒体とはまったく違う世界なので、専門書をたくさん読んで勉強しました。Googleの仕組みを勉強したりとか。しかも、webライティングって変化しているので、今もそれに合わせてマイナーチェンジしている感じです。

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ーーちなみに、大橋さんが読んでためになったライティング本は何かありましたか?

この2冊は、初期の頃に買った本ですがときどき読み返しています。SEOライティング系は、今でも毎年1〜2冊、新しい本を買って勉強していますね。


紙媒体とwebの仕事の違いとは?

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ーー私はまだ紙媒体で書いたことがなく、イメージが沸かないんですが、webと紙媒体とで書き方は変わってくるものなんでしょうか?

ひとくちに紙媒体といっても、出版社や編集部ごとに書き方のルールがあります。一例ですが、カード会社が顧客に郵送する小冊子ならば、それを請け負っている編集プロダクションなどが間に入り、クライアント様から「こういった内容は書かないでほしい」「こういった書き方はNG」など、ご指示をいただいています。

入稿の仕方は、どこもデジタル化されているので、もはや一緒。webでは、Googleドキュメント上のテキストに直しが入って修正するケースが多くあります。一方、書籍の場合は、テキストが組んだ状態でゲラが出て、編集者様の赤や校閲が入ったところを直しますので、アナログ的な工程が残っています。

ーーこれもイメージが沸かないんですが、紙媒体の案件って、どうやって獲得すればいいんでしょう?

うーん、基本的には、紙媒体の仕事は紹介が多いんですよね。なので、webと比べて案件を獲得するのが難しいと思います。

どうしても書きたい場合は、編集プロダクションや広告系にアルバイトなどで入って、繋がりを持つしかないんじゃないかな。出版社が「ライターを募集」するのって、個性的な読者ライターが欲しいときくらいなんです。だから、逆に言えば、すごく個性的なブログをやっていれば、「うちで書いてください」ということがあるかもしれませんね。

あとは、SNSなどのTwitterで発信していれば、チャンスが巡ってくることもあると思います。紙媒体は紹介ベースとはいえ、実力のある、“書ける人”を探していることも事実です。アピールしていれば、そういった可能性に巡り合えるかも。こうやって話していて感じましたけど、持ち込み原稿をするにしても、なかなか今の時代って難しいんですね。

ーーそういえば、つい先日、「『赤入れ』にへこたれるなライター!」というnoteを公開されましたよね。私もたくさん赤が入ることがあるので、とても励まされました。「文章に修正が入っても、自分自身は否定されていないんだな」と教わったように思います。大橋さんも赤が時々入ることも?

大橋さんが執筆された「『赤入れ』にへこたれるなライター!」:

全然ありますよ。赤が入っても、もはや気にしないですね(笑)。若い頃は落ち込むこともありましたけど、今はスルーして、いわれた通りに加筆したり削除したりしています。今、気にするとしたら、「やり取りがもっと簡潔にできたのに」くらいかな。初めからもう少し詳しく聞いておけば、無駄なやり取りが発生しなかったのにな、という。


サードエイジ系のニーズの高まりに合わせて執筆を

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ーーそれでは、大橋さんの得意ジャンルについて伺えますか?

公開されている実績で言うと、「コエテコ by GMO」や「朝日新聞EduA」が中心で、その他もろもろ。得意ジャンルは、教育・子育て・ワークスタイルかな。転職や女性の働き方、育児と仕事の両立のテーマなどを中心に書いています。

あとは、年齢的な理由で、サードエイジ系の記事を頼まれることも。いわゆる50〜60代向けの介護の問題や、子どもが独立して家をどうするか……というライフスタイル系記事などが増えています。

このような媒体のクライアント様に聞くところによると、「20〜30代のライターさんでも、そういったテーマを書いてくれる人もいるけど、50〜60代にならないとわからない、リアルな部分がある」んだとか。経験があることだけが正解ではありませんが、傾向として、年齢が上がってくると、リアル感が出る記事の依頼が増えると思います。

ーーそのような記事を執筆する際は、ご自分の実体験も踏まえて記事を書かれるのでしょうか?

もちろんそれもあるし、周りの友人も似たような環境なので、情報をもらうこともあります。介護の問題や親との付き合い方、どちらかが亡くなった時にどうしようかとか、相続の問題とかね。結婚していれば、自分の両親だけではなく、夫の両親の問題もありますから。今の自分にしか書けない記事は、強いですよね。

逆に、たとえば20代の子向けの美容の記事は、私でも書こうと思えば書けるんです。でも、調べる労力が大きくなるし、頑張って書いたところで、20代の子が本当に求めている内容ではないこともあるんですね。

無理して知らない分野にチャレンジしても、本当に詳しい人には敵わない。そう割り切っていますね。それだったら自分の強みを活かせるテーマを選んだ方が仕事もしやすいし、無駄な労力を使わなくていいかなって思います。

ーーそれでは、大橋さんがライターとしてやりがいを感じるのは、どのような時でしょうか?

基本的に、webライティングって誰かが「すごいね」って言ってくれるものではないので、あまり深く考えていないですね。書くことが好きなので、仕事として書き続けられていることがやりがいかな。

とはいえ、読んでくださった方からよいリアクションをいただけるとやっぱり嬉しいです。たとえば、1年くらい前に、子どものスマホ利用に関する記事を書いたんですね。それを、ある学校の校長先生が読んでくださって、「すごく内容が良いので、お手紙にして保護者に配布したい」とご連絡をいただいた時は、すごく嬉しかったな。誰かの役に立つのもそうだし、校長先生が「良い記事だ」と思ってくださったことも嬉しいし。そういう出来事は大きなやりがいになりますね。


こだわりの仕事道具は取材の場を写しとるためのノート

取材セット

ーーマルチタレントな大橋さんですが、こだわりのお仕事道具はありますか?

まず、絶対欠かせないのは、Mac miniです。こだわりというよりは、手放せないレベル。机は常にこの状態で、名刺とICレコーダーと、書きやすいペンとノート、電池がセットされています。これらのアイテムは、いつも決まった場所に置いています。

ワンセットにしているのは、急な取材やピンチヒッターで取材に入るときにも、「カバンにこれさえ入っていれば絶対に取材はできる」という体制を整えるため。自分のなかでは、10年以上このスタイルですね。

あと、小さなこだわりでいくと、ICレコーダーはもちろん重要なんですけど、特に対面取材では、ノートに書くことも大切にしています。録音さえあれば、“何をおっしゃったか”は後から確認できますが、全体的な雰囲気や相手の表情が変わった瞬間、相手がどこを強く訴えようとしているかがわからないんですね。

ですからノートには、レコーダーでは拾いきれない雰囲気を書き留めるようにしています。たとえば教室取材なら、生徒が先生の膝に抱きついて何か喋っているとかね。そういう印象的なシーンがあったら、自分だけにわかる汚い文字で走り書きしています。

ーー(ノートを見せていただいて)すごくわかりやすくまとめておられるんですね。

取材記事って、現場で話を聞いた順番通りに記事にするとは限りません。でも、どこを最初に持ってきた方が良いのか、現場の雰囲気を見てわかるときがありますよね。

私の場合は、電車で30分〜1時間以内で行ける現場が多いので、帰りの電車でノートを見ながら、なんとなく頭の中で構成を考える習慣があるんです。記憶がフレッシュなうちに考えておきたいなと。そのためにも、ノートをすごく大事にしています。

ボイスレコーダー

「苦手」は割り切ることも大切

ーーそういえば、大橋さんは以前に「カメラが得意ではない」と話されていましたが、撮影が必要な現場については、どのように対応されているんですか?

これは、年齢と共に「なんでもできるわけじゃない」ことがわかってきたんですよね。それは、勉強すれば一定のレベルには行くだろうけど、年齢的にもやる必要性を感じていません。

それでも「撮影してほしい」といわれれば撮りますが、「高いレベルは期待しないで欲しい」と伝えています。だからなのか、最近はカメラマンの方がついてくる取材しか回ってこなくなっちゃいました(笑)。

ーー自分の得意不得意をクライアント様に伝えることも大切なんですね。ちなみに、大橋さんは、筆が乗らないときにはどのように対処されていますか?

どんなに筆が乗らなくても、書きますね。私の場合、どれか1本だけ書いているということはなくて、必ず3〜4本を並行して書いているので、一方の筆が乗らなければ別のものを書いたりします。プロなので、「書かない」っていう選択肢はありませんね。筆が乗らなくても、書きます。

それでも、「入っている仕事の全てに筆が乗らない」っていう緊急事態が起きたら、パソコンで仲良しの友達に長いメールを書いたり、どこにも出す予定はない、書いてみたいテーマを思うままに書いたりします。「オンライン授業について思うこと」とかね。それでも、筆が乗らないから半日以上放置する……なんてことは、あんまりないです。

ーー気分転換すらも、「書くこと」で行われるんですね。これがプロ意識!そんな大橋さんにも、ライターとしての悩みはあるのでしょうか?

もちろんありますよ。ただ、悩みをなくすために、ここ4〜5年はすごく考えて、仕事を整理してきました。だから、今は“すごく大きな悩み”はありません。とはいえ、身体的な悩みとして、老眼が進んで小さいフォントだと見えないとか、腱鞘炎になる、などの悩みはありますね。

ライターとしてつらかったのは、やっぱり30代くらいの頃かなあ。他の人が大きな仕事を得たりとか、署名記事で反応がよかったりとかって聞くと、つい焦ってしまって。今はおかげさまで、そうした悩みはあまりなくなりました。焦りが薄れていくことが必ずしも良いとは限らないけれど、気持ちとして落ち着いたのは事実ですね。

ーー「仕事の整理」というお話が出ましたが、これまでにも、人生の節目で何度か整理されたのですか?

ええ。子どもの中学受験の時に一回整理したのですが、その後にまた、仕事を増やそうとかなり手を広げてしまって。更年期と重なって「きついな」と思ったときもありました。

今回の整理では、仕事の選り好みではなく、クライアント様と自分の双方が「win-win」になれる関係の仕事がなるべく多くなるように整理しました。それ以外は、ハッキリとお断りという形ではないけれど、徐々に減らして整理していく感じでした。

ーーお仕事を減らしていかれたということは今後は、積極的に営業はされないんでしょうか?

いえ、これからもやりたいことは絶対出てくるだろうなと思いますので、書きたいなという内容があれば、営業はしますね。ただ、私の仕事って、基本的に紹介で始まることが多いので、自分から探して応募することはないかもしれません。そもそも、今の状況に対して、不満はそんなにないんです。

クライアント様と長期に良い関係を築くために押さえるべきポイントとは?

デスク環境

ーー大橋さんは、紹介ベースでお仕事を受けておられるとのことですが、クライアント様と長期に良い関係を築くために工夫されていることはありますか?

必ず連絡をとれる状態にしておくことです。私の場合、連絡がきたら、電話でもSlackでも基本的には数時間以内に返すようにしています。特別な事情がない限りは、レスポンスはなるべく早いほうがいい。こうした配慮を続けることで信頼性もアップすると思いますし、先方にとっても扱いやすいライターになれるのではないでしょうか。

ーーレスポンスを早くするために、連絡はどのようなタイミングでチェックされていますか?

仕事をやり始めるときに、どんな動きがあったかは必ず全てチェックするようにしています。夜閉める前にも、必ずチェックします。すぐに答えられないような内容なら「それは見ましたよ」と返信はとりあえず送って、内容を付箋に書いてモニターに貼っていますね。

例えば「9月11日に取材どうですか?」というご連絡が入っていたとして、夫が帰宅するまでその日の予定がわからない場合でも、すぐに「明日の朝一番にはお返事します」とメッセージを送っています。付箋にも書いて貼っておいて、付箋が貼ってあるところから取り掛かります。終わったら付箋はどんどん外して、安いノートに貼っていって2ヶ月は保管しています。連絡の日時が一目でわかるので、それも長年続けています。

ーーライターとしてのキャリアを重ねるために気をつけているポイントはありますか?

ズバリ、辞めないことです。メディアさんからお話を聞くに、やっぱり、フェードアウトしていくライターさんが多いんだそうです。たとえば、他に割りの良い仕事が見つかったからといって、ふっつり連絡が途絶えてしまう、というような。

もちろん、良い仕事を見つけるのは大事なんですけど、プロなので、他の仕事を不義理なままで放置するのはどうかなと思います。対応できない期間があるのなら、率直に事情を伝えても良いのでは。たとえ少し期間が空いても、長く続けてくれるライターというだけで、大切にしてもらえる可能性はアップするはずです。

体調が悪かったり家庭の変化があったり、フリーランス生活は多忙なもの。そんなときでも、先方が「OK」と受け入れてくれるのであれば、月にたった1本でも書いて、関係をつないでいくことが大事かな。たとえはじめから文章が上手に書けなかったとしても、いずれスキルは上がっていきます。だから、放置してしまうことだけはしないようにしています。

あとは、自分の強みを活かせる仕事をなるべく増やしていくようにしています。ただ、駆け出しの方なら、最初は“書く量”を増やして行った方が良いかなとも思いますね。

ーー最初はジャンルの選り好みをせず、なんでも書いていった方が良いんですね。

「何でも屋になれる」というのは案外すごいことで、オールマイティーに何でも書ける人ってすごく尊敬します。「専門性がない」と悩む方もいると思うのですが、「何でも書ける」は十分強み。そうした強みを発揮できる働き方と、クライアントが求めているものが合致すると、キャリアを重ねやすいと思います。

ただ、年齢を重ねるにつれ、生活そのものが変わってくるので、ずっと同じでいる必要性もないかなと思います。私だって、30代は「土日もガンガン仕事を入れてください」と言っていましたが、今は逆に「仕事を入れないでほしい」と伝えたりもします。ときどき働き方を見直さないと、書く気力が枯れてしまう時も、いずれ来てしまうような気がするので。

ーー私は「webライターは何歳まででも続けられるからやってみよう!」と思い始めたんですが、大橋さんは何歳まで続けたいというのは考えていますか?

うーん、30代の時に思い描いていた50代と、リアルの50代って全然違うんです(笑)。30代のときは、50代って「すごくおばちゃんなイメージ」なんて思っていたけれど、実際には50代でバリバリ働いている人も多いし、成功して社長になっている人もいます。今のところは、65歳まではライターとして仕事をしたいと思っています。

その後は、好きなことを書いて、好きな人が見てくれればそれで良いって思うか、仕事をある程度減らして本当にやりたい仕事をそこそこ続けていけたらいいですね。逆に、お金が必要になってバリバリ働くかもしれませんが。

あとね、今の50〜60代って、ネット環境がわかる・インターネットが当たり前のツールとして使える世代なんです。そういった世代が70代になると、近所の自治体のサークルでeSportsの大会があるかもしれない(笑)。そうなると、「記事を書いてください」というお誘いがあるかもしれないしね。ざっくり、65歳になったら一度考えるんだろうなあと思っています。ほかのことは、健康次第です。子どもの教育費が終わるときが次の節目になると思うので、そのときどんなことを考えるのかは、私自身も未知の世界ですね!

ーー本日は、ありがとうございました!


ライターとして書き続けることの大切さ

どんなときでも、ライターとして書き続けることの大切さ。今回の取材では、そんなプロ意識を大橋さんから教わりました。第一線で活躍されているライターさんの書くことへの姿勢や仕事術を伺える機会はなかなかなかったので、「私も仕事に取り入れていきたい!」と思うポイントがたくさんありました。

次回は、育児にも積極的に取り組みながらライターとして活躍されている、原由希奈さんに取材させていただきます。
お楽しみに!

 

 

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