一次創作、古代中国風伝奇ファンタジー小説『群雄列伝』。
内容その他の詳しいところは過去記事(拙作語り㉟)を見て下さいという話ですが、そのうちの『下天の章・三 群雄割拠譚』は、中央政権が衰退し地方の有力氏族が帝都と天下を窺うようになった群雄割拠の人間界が舞台。
三回に分けて篇ノ四の前半部再掲、今回はその3、すなわち目下書いてある本編本文打ち止めです(何気に自爆)。
毎度の断り書き。
R指定まではいかないのですが、PG-12くらいはあっていいのかなと筆者的には思っています。
更には、やはり15年とか前の筆なので、当世のあれこれに抵触するような表現もあるかと思いますけれども、基本「原文ママ」を通したことを念のためお断りしておきます。
古代中国風の興亡史=戦記ということもあり、多少残虐・悲惨なシーンが入るかと思われます。
どうしても残酷なのはダメ、という方は読み進めないほうが良いです。
以上、よろしくお願いいたします。
『群雄割拠譚』本編
篇ノ四
秋の声と共に、複数の勢力が次々と対峙する緊迫の時が幕を開ける。
(玉輅亡欠三年)
<前>(3/3)
渡誼橋の攻防
毀棄の背負うもの
陥険の抗争
※註:
・陥険〈かんけん〉:
八卦の一・坎〈かん〉の卦徳。坎は五行の水、さらに北、黒と結びつく。
※註:
媳婦〈シーフ〉:
息子の嫁。現代の親族名称。指示称であり呼称ではないので、こういう風に本人への呼びかけには多分使わない。
水精の申し子
※註:
水精〈すいせい〉:水の精。
新姓・集、興る
※補注:
非常に今更で申し訳ないのだが…
夫君を「他人の夫の敬称」とするのは日本の用法で、中国では「妻が自身の夫を呼ぶ」敬称であるらしい。なので、家臣その他が柳發を「夫君」と呼んでいるのはいかにも日本的な使われ方であるらしいからして要注意。
もっとも、全編を通してそういう事例がこの物語中には多いのだけれど…書いているのが日本生まれ日本育ちで中国史・中国文学を専門に学んだでもない人間だし、読み手としての想定も日本の人だから仕方ない(開き直り:爆)。
再会を約して
※補注:
啓蟄〈けいちつ〉の末候を薔薇〈しょうび:ばら〉の咲く頃とするのは、「二十四番花信風」という花暦に依っている。南宋のものだし、華中の気候基準らしいので、時代が地理がって感じはするのだが(自爆)。啓蟄の末候は陽暦3月16日頃、旧暦だと2月半ば頃になるだろうか。
西岳の書庫にて
それぞれの道
※補注:
五節句とは一年間の重要な五つの節句のことで、一月七日・人日〈じんじつ〉、三月三日・上巳〈じょうし〉、五月五日・端午〈たんご〉、七月七日・七夕〈しちせき〉、九月九日・重陽〈ちょうよう〉。
* * *
以上、篇ノ四<前>…すなわち、本編本文を書いた箇所全てを再掲したこととなります。
そういえば。一般的に弓は左手で持ち、矢を持った右手で弦を引きますが、毀棄は逆になっています。これはミスではなく、彼が右利きでなく左利きであるという設定を反映したものです。どうして左利きにしようと思ったのかは、今となっては筆者自身にも分からんのですが(墓穴)。ちなみに、どうでもいい補足事項ですけど、日本の座敷からくりの最高傑作と呼んでいいであろう『弓曳童子(弓射童子)』は、矢を持った右手はほとんど動かず、弓を持った左手を前へ出すことで弦が張られた状態を作りだして矢を発射する構造のように見えます…その方が実現性が高かったのかもしれないとも思ったり。。
それにしても文官の奥様方が朝から集まって粽づくりしてるっていう河西のアットホームかげん(悪口ではない)…あ、いや、名前が挙がっていないだけで、もしかしたら馬宗ら武官の奥様方も手伝いに行ったのかもしれないし(苦笑)。役人の妻であっても家庭的なのは、帝都ではなくあくまで地方の有力氏族の在地だからなのか…。。
そして以下、キャラデザ画を兼ねた、どうでもいい内容の1P漫画を2本ほど。どちらも何故か微妙に艶笑系(墓穴)…いや本編本文ではあまり羽目を外しすぎることは出来んので、筆者自身こういうところで息抜きしてたとも(何気に自爆)
2コマ目右が馬宗、左が弟・馬鑽。
4コマ目で更に増えて文官・華弼、一番左は維繋…となります。
一般論として文句なしに文武両道のイケメン、しかも非凡すぎて抜け目ない柳發なのだが、なんか妙なところで抜けていたりズレていたりする(苦笑)。
そうそう、これ描いた頃はまだ楽太郎さんだったんですよね圓楽さん…笑点への復帰を待っていたけれど叶わず…御冥福をお祈りします。。
そんな本に関し、姉・水月に「僕はこれを読んだほうがいいんですか止めたほうがいいんですか!?」と心の中で訊いてしまう…こういうところが、毀棄はなんだかんだ言っても生まれも育ちも良い証拠な気がする(苦笑)。
結局、彼がそれを読んだのか否かは不明なままだけど(爆)。
柳發の遠い親戚にあたる方士・柳擶もまた文武両道のイケメンなんだけども、この御方もなかなか色々あるよなと…。
実を言うと、不空に関しては現在の呉家の者たちは直接の血縁にある実の子孫にあたるのですが、柳擶の場合は結婚し子供をもうけるより前に中庸界に入って方士となっているので、柳發など現在の下天に居る柳姓の者および柳家から分かれた楊姓の者(柳發の伯父で毀棄の師である楊匡とか)は直接の子孫ではなく、自身の兄弟の子孫であり。ただ本文中でいちいち「兄弟の子孫」と述べるのも長いかなと思い…。
つまり柳擶は皇子だったんだなと…出自も才能も容姿も、どれもこれもに恵まれたプリンスながら、かえって虚しくなって中庸界に入ってしまったと(微笑)。。
1P漫画というと、こんなのもあったなと…
伝渥と桓娃を現代風に置き換えて描き…同じ雰囲気のままにオマケまんがも(苦笑)↓
筆者による自己ツッコミの激しさよ…(墓穴)
次回以降、下天の章 第三部・群雄割拠譚よりも前の時代の物語的な外伝を再掲し、ヘッダーに使用のタロット絵の解説を述べて、人名録を載せ・・・その後で、以降書こうと思っていた展開の概略を述べて、この『群雄列伝』の拙作語りは終えようかと。そのような予定でおります。。