一次創作、古代中国風伝奇ファンタジー小説『群雄列伝』。
内容その他の詳しいところは過去記事(拙作語り㉟)を見て下さいという話ですが、そのうちの『下天の章・三 群雄割拠譚』は、中央政権が衰退し地方の有力氏族が帝都と天下を窺うようになった群雄割拠の人間界が舞台。
今回は、下天の章・第三部にも登場する人物たちの過去というか、第三部以前の物語とでもいうべき外伝を再掲します。
茉莉花の咲くころ
こちらは、中庸界の方士・不空の下天時代の話となります。
ゆえに、主に下天の章 第一部・易姓革命譚の人物が登場することに。
主要人物の概説が、以下。
◆永初〈エイショ〉:太祖・興穏帝
永震より八歳年上の兄。西将・永智〈エイチ〉の嫡男。志半ばで死去した父の跡を継いで胤王朝を倒し、新たに永王朝を立てた。永智の子女は娘ばかりで、息子は二人だけ。
予知の力を持っていた父同様、いやそれ以上の「見通し」の力を持ち、自身が予知した将来下天に起こる様々な事件を書物に残した。この『太祖の予言書』、後に令宣帝〈レイセンテイ〉が見たり偃月〈エンゲツ〉の手に渡ったりで第二部・撥乱反正譚へ繋がるわけだが…
◆故瑚=趙故瑚〈チョウ ココ〉:趙皇后・趙皇太后
永震より十歳年上。兄である永初こと興穏帝の正妃で、彼から見れば義姉(嫂:あによめ)。夫より二つ年嵩の「あねさん女房」。
手裏剣その他の手投げ武器を使う美貌の女将軍として、易姓革命を戦い抜いた女傑。
◆老爺〈ラウエ〉
生後間もない永震を引き取り、中庸界の雷響洞で育てた方士。彼からすれば、育ての親であり師匠でもある。中庸界でも相当な古株なため、この爺様の下天時代を誰も知らない。老爺とは母方の祖父の呼称だが、皆そう呼んでいて本名を知らないというお爺さん。
◆伝威〈テンイ〉
東将・伝獅〈テンシ〉の次男。ただし胤王朝末期、東将家は大尉〈たいい:軍事を司る官職〉直属の将軍として帝都に駐留していた。永王朝が興ってから、伝家は元々の在地である河下〈かか〉へ戻ったのである。永震より八歳年上、つまり兄・永初と同年。
竜王の妹を本気にさせた男(実話)。天界の竜女は下天に降り人間の絵師として河下の伝家に仕え、二人は夫婦となるわけだが…第二部・撥乱反正譚最強の将軍・黄洸〈コウコウ〉こと輔竜王・天昴〈ホリュウオウ・テンボウ〉の父親とは彼のこと(それは即ち、第三部・群雄割拠譚に登場する半竜の娘・委順の祖父にあたる人物とも)。
◆伝徳〈テントク〉
東将・伝獅〈テンシ〉の三男。武将の家に生まれたものの、彼にその方面の才能は無く、武功を輝かす兄弟(※彼には四歳下の末弟が居る)に挟まれ嘆くばかりだった。しかし奏楽に打ち込み、それにより味方を癒し敵を害す力を得る。永震よりも五歳年上。第一部の天才楽師。
争乱終結後、老いも若きも次々と逝去していく中、還暦ばかりか古希まで通りこし天寿を全うした唯一の人物。
◆琉瑠=泉琉瑠〈セン ルル〉:氷晶公主〈ヒョウショウ コウシュ〉
胤王朝最後の皇帝の寵妃・鮮皇后〈セン コウゴウ〉こと罌粟〈ケシ〉と相対する『興起の吉星』を受け、鮮皇后より四年遅れて下天に生まれた娘。永震より八歳年上、つまり永初、伝威とタメである。本性は訳あって天界から下天に降された天父・遍照〈ヘンジョウ〉の養女で、冬を司る漆黒の竜女・氷晶公主。
鳥王・金翅〈コンジ〉は、彼女を捜して下天にやって来て、当地の争乱に飛び込んでいき、軍師・飛鷹として胤王朝が倒れるまでを戦い抜いた。
下天・三の本編本文でも述べているように、有翼種と竜族とは昔から仲が悪く、しかし竜族も有翼種の頂点たる鳥王の持つ剣は怖いという構図がある。天父の養女ではあるが竜族の氷晶公主を誰より気にかけて下天まで行ってしまっただけでなく兵乱にまみれた後でようやく彼女を連れて天界へと戻った当代の鳥王・金翅……今頃どうなっているのだろう、的な(率直な感想:爆)。いや終章(過程を飛ばして、そこはメモがある:自爆)での彼の発言を思うに、姉・水月同様まだ独身らしいんで余計に謎。。
わたしと、あなた
こちらは、第二部・撥乱反正譚と第三部・群雄割拠譚を繋ぐ、鬼籍宮の方士・泰衡と鄒家の面々との関わりを書いた外伝です。
中庸界、方士・方姑―詳しく言うと柳擶・鄒頌・泰衡・景瑛の関係が、実は色々と面倒なことになっているのだなと(大困)。才色兼備な実の姉にそっくりな景瑛に対し、遠慮なく「バーカ」と言える鄒頌の図太さな…(微笑)
後の構想話になりますが、篇ノ六くらいで景瑛は密かに食糧や医薬の援助をしていた城砦を呉燎(「下天に戻れば、お前は今回の兵乱の中で死ぬことになる」と不空に留められるも、中庸界の雷響洞を去ってしまう)に殲滅されて怒り嘆き。天界・中庸界として下天に在りながら方術を使い続ける呉燎に対し「これ以上は許すな」と裁断が下り、景瑛が自ら志願し彼と戦うこととなり。呉燎優位かと思いきや、景瑛の能力が暴走し本人では収められなくなり、危険を感じた泰衡が
「彼に引導を渡すのは君じゃない」
と自ら負傷しながらも身を挺して止め、そこで生じた隙をついて鄒頌が天界の創草王の従者である範佐から預かっていた釧を彼女の腕に通して暴走を封じたという…(本来は創草王の子息・毀棄の為に用意された制御装具だが…実はこんなことに使われた)。つまりは方士二人掛かりでどうにか収めたと…。
「わたしのせいで…申し訳ないことを…」
と泣きながら傷の手当をしてくれる景瑛に、泰衡も「彼女は風尚様とは違う」と頭では理解しながらも恋慕の思いは強くなる一方、という・・・二人きりになったら危険な状態(何をもって危険というか分からないけど;←おい)。
一方、生け捕られた呉燎は伝家に引き渡され、そこで最期を迎えることに。
第二部・撥乱反正譚で反皇帝軍の軍師をつとめた鄒玲は、虎賁=異母妹・永芳薫より五歳年上。実は第三部本編にも登場する偃月や薊軻と同い歳だったりする。年齢設定に筆者自身も驚いた(自爆)。
・・・という感じで、掘れば掘るほど色々出てくる深淵世界、それが群雄っワールドであり大風呂敷であります(何気に墓穴)。
先日物置の整理をしたら二昔くらい前のワードファイルが入ったFD〈フロッピーディスク〉が出てきて(時代…orz)…しかし現状FDを読み込むハードウェアが無い(切実)。見ようと思うならばFDドライブを入手せねばならず…フリマアプリなら500円ほどからあるようだけれども…どうしようかと。見たいような、見なくてもいいような…(困)。