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拙作中での雪女郎のイメージ

拙作うちで、雪女郎の昔話、雪女郎のイメージを被せた件は大きく2つあ
り。
ネタバレにならないように、一応作品名や人物名は伏せておきます。。

その1:
ある雪の日に「私」が出会った、一人の女。


彼女と初めて出会った日、雪が降っていた。
 
ひっそりと目立たないところに咲く野の花のようでありながら
不思議な強さを秘めた、
どうしようもなく惹きつけられる美しい娘だった。
しかし、そうかと思えば
春の訪れと共に解けてなくなる雪のように、
春が来たら私の目の前から消えてしまうのではないかと
不安にさせる儚げな娘でもあった。
 
時は過ぎ、やがて再び冬を迎えた。
彼女が母親となった夜も、雪がちらちらと舞っていた。
「緋色の雪 降り積むとき 雪おなごは ややを産む」
昔話の一節を、私はふと思い出していた…


「私」と彼女の出会い、そして二人が結ばれ子をなしたことは、運命の皮肉としか言えず、のちに悲劇を呼ぶことになるのですが・・・。


その2:
男は秘密を抱えていた。
死ぬべき運命にあった妻が、冥府の女神のお目こぼしもあり命を繋いでもらったことを、決して話してはならぬと。
彼女は、その事実を知る由もない。


(まるで、雪女郎の昔話だ…)
 言葉にしたなら、今の彼女は消えてしまう気がした。
(俺が黙っていれば…自分自身の胸の中にだけ留めてさえいれば、このささやかな幸せはこれからも続いていく…)
「隠し事はしないでね。もし、わたしよりも心惹かれる誰かが現れたとしても」
 彼女は、以前そんなことを言っていた。
 もし、自分が彼女より先に逝くのであれば明かすことはないだろう。彼女が先ならば、その時は話せると思った。「今まで隠していて済まなかった」という詫びとともに。
「どうしたの。寒かったでしょう?ここで温まってて。食事の支度をしてくるから」
 針を置き、縫い物道具を片付けて、彼女が立ち上がる。
 変わらない、冬の夕刻。これからも、ずっと。

彼は秘密を守り通すことが…妻に人生の美しき終幕を見せることが出来るのか。
彼ならば出来る、と筆者は信じてます。。

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