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拙作語り㉞~時代小説風BL実験作構想メモ

こちらも、かれこれ15年ほど前、招待制創作コミュニティに所属していた頃に、やはり他の創作者様が日記に書かれていた一言二言から妄想に妄想を重ねて大筋だけ作った実験作的な構想メモです。
他の創作者様としては多分「え!あのフレーズから、こんな和時代小説風の世界観?」だったろうと思うのですが…なんかそうなってしまったんで(自分で言った!)。
タイトルにもあるようにBLありの内容です。成人指定ほどではないのですが、それらしい件はあるので、苦手な方は避けていただく&R15(
高校生以上推奨)
とします。
了承いただける方のみ、以下お読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

翡翠色の浮橋(仮)

 葦原国あしはらのくにには、天皇すめらみことをいただく勢力が西の都に、公方くぼうを中心とした武家勢力が東の吾妻あずまに並び立つ。
 更に、その間に位置する第三の勢力と呼ばれるものがあった。
 彼らは金山と翡翠を産する川という資金力を持ち、優秀な忍の者をしたがえ、天皇も公方も彼らの動きには注意を払っていたのであった。
 
 その第三勢力・こしの国の若き棟梁・玉樹たまきは、都にのぼった際にある一派から襲撃を受け、命からがら川に飛び込み、難を逃れる。
 側近の輔伴すけとも一蔵いちぞうは主君を探すが、見付からない。
「まさか…もっと先に流された!?」
 二人の見遣る先には海があった―――
 
 数日後。
 玉樹は、あばら家の一間に横になっていた。
 彼が目を開けると、枕元に座っていた純朴な少年が笑顔で言う。
「気が付いたんだね、あんちゃん」
 体を起こしてはみるが、すぐにふらつき、少年にもたれかかって止まる。
「駄目だよ、無理しちゃ」
 少年に促され、渋々再び布団に横たわる。
「俺は…」
 何も思い出せない。自身が何者であるか、名前すらも――
 愕然とする玉樹。
「心配しちゃなんねえよ。そのうち思い出すかもしれんし…こんなとこだけど、養生してよ」
「…ありがとう」
「おいらは彰秀あきほ。そう呼んでな」
 かいがいしく自身の世話をしてくれるこの少年に、玉樹は尋ねる。
「なぜ、俺にそこまで…?見ず知らずの、何処の者とも分からない俺に…」
「海の向こうからやって来るものは皆尊い存在だ…って、浜住まいの人間は揃ってそう言うよ」
「なるほど。俺はさしずめ、蛭子えびす…『寄り神』といったところか」
 何気ない彼の言葉に彰秀は目を丸くした。
「あんちゃん、難しいこと言うなあ…学者様なのかな?」
「…さあ。どうだろうな」
 彼は笑みを浮かべた。
 
 更に数日。
 ようやく起き上がれるようになった玉樹の許に、輔伴と一蔵が現れる。
「ようやく見付けましたぞ!ささ、急ぎお戻りに」
 だが玉樹は首をかしげ、
「お前たちは俺を知っているようだが…誰だ?」
 二人は顔を見合わせる。
「まさか記憶をなくされたとは…」
「しかし、ここでぐずぐずしてはおれまい。荒療治だが、いくぞ!一蔵、そちはその小倅を押さえておけ」
「はっ!」
 引き離される玉樹と彰秀。
「待てよ!あんちゃんはまだヨレヨレなんだ!なんてことすんだよ!」
 彰秀が止めるのもきかず、輔伴は彰秀の小舟に玉樹を乗せ、沖へと漕ぎだしていった。
 
「手荒い真似をして申し訳ありませんが…お許しを!」
 壮年の側近・輔伴の手で、舟から海へ投げ落とされる玉樹。
 数瞬のあと水面に顔を出した彼の表情は別人のようになっていた。
「思い出されましたか、ご自身のことを」
「…ああ」
「あなたさまに代わりうる者など、今の越の国には居りません。この数日ほどでよう分かりました。早く戻りましょう」
 舟に上がり、玉樹が思い出したように問う。
「なら…彰秀は…?」
「お館様が何者であるかを他所者に知られてはならぬ、というのが我々の定めたるところです」
 玉樹は血相を変えて輔伴に掴みかかる。
「駄目だ、それは許さん!何も知らぬ命の恩人を口封じの為に手にかけるなど、俺は…!」
「…ならば、一蔵の報告と併せて決めるといたしましょう」

 浜辺に残されたのは二人の若者…一蔵と彰秀である。
 心配げに海を見つめる彰秀に、一蔵が尋ねる。
「あんた、漁師らしいけど…こんなとこに一人住まいかい?」
「ああ。爺と婆が死んでもうて、妹は商いに出ると一月は戻らない。おいら一人、だよな」
 一蔵は違和感を覚えていた。入り組んだ岩陰の砂浜にぽつんと立つ小屋で一人暮らすよりも、村に在って幾人もで漁をすればよいのだろうに、と。
(…何か、衆人と関わり合いたくない事情でも抱えているのか)
『お館様について何か口外されうる危険があれば、拙者が戻る前に消せ』
 そう輔伴から言われていたが、一蔵は彰秀に斬りかかるのを見送った。
 最終的に、集落から離れて住むこの少年に人付き合いと呼べるものもないと分かり、玉樹が下した結論は
「ならば、共に連れていく」
であった。
 
 越の国、宗主の館。
 慌しく郷里に舞い戻った玉樹は彰秀に直接詫びの一言も伝えたいと願っていたが、不在中に滞っていた雑務の処理に追われて果たせずにまた幾日かが過ぎていった。
 ようやく息をつき、明日こそは彼と会って話そうと決めた夕刻。一蔵に、今夜は寝酒でも飲みたい気分だと伝えた。
 日が暮れて月が煌々と輝く宵、瓶子へいじ〈酒を入れて注ぐのに用いる器。徳利とっくり〉と杯を載せた盆を手にし玉樹の私室に現れ、部屋の隅に座ったのは一蔵ではなかった。
「…お前は?」
「私です。彰秀ですよ」
 玉樹は素直に驚いた。宗主の侍者に相応しい装束をまとった彼の姿は、初めて出会ったときのみすぼらしくもある平民とは似ても似つかなかったからだ。
「だが、どうして…」
「『ここに居るのならタダで飯が食えると思うな。お館様の傍で働きたければ、侍者として恥ずかしくない身なりをし、それに見合った立ち居振る舞いをせねばならん』…と言われましたから」
 この越の国に連れてこられて早々、輔伴に「運命の悪戯とはいえ、お館様を知ってしまった以上、お前はこの越の国で生きていくほかない。帰ろうとするならば国の境を越える前に斬り捨てねばならぬ」と言い渡された彰秀だった。
「あんちゃんは元気にしてるのか?あんちゃんに会わせてくれ」と願い出たが、
「そんなお前がお館様と共に在っては、お館様の品格が疑われる。元々どこの馬の骨とも分からんお前だからな」
 悔しいが事実なので何も言い返せず黙り込んでいるうちに、輔伴は部屋を出て行った。その後、すぐにやって来た一蔵が一揃いの装束を突き出し、
「お前にその気があるなら、二、三日で最低限のこと叩き込んで『にわか侍者』に仕立ててやるぜ?」
 彼の提案に乗った結果が、これだった。
「そうだったのか…。彰秀、お前には本当に済まぬことをした。俺を助けたばっかりに…」
 この心優しい少年に不自由な思いをさせ、本人が望まぬ生き方を強いるよう仕向けてしまった自分だ。玉樹は彰秀の正面に腰を下ろし、深々と頭を垂れた。
「やめてください。こんなところを輔伴様に見られたらボコボコに叩かれてしまいます。それより…」
 彰秀は盆を差し出し、
「一蔵さんから、これをお持ちするようにと言われました。…何です?これは。変わった匂いがしますけど」
 首をかしげる彼に玉樹は微笑み、
「酒を知らないか、お前は」
 部屋の上座へ戻って再び腰を下ろし、手招きする。戸惑う彼を傍に座らせ、
「…お前も飲むか?」
 十代も半ばを過ぎ、ひとかどの家に生まれ育っていれば元服を済ませた年頃と見取り、玉樹は彼に杯を取らせた。言われるままに注がれた酒を恐る恐る口に運んだ少年は、一舐めしてすぐ顔をしかめる。
「別に、お前をからかった訳ではない。これが美味いと思える…いや、これに溺れたくなる時があるのが大人というものかもしれぬな」
 笑って彼の手から杯を取り、玉樹が残っていた酒を飲み干す。
 何かを思い出したかのように、彰秀が向こうに置いた盆へと振り返る。小さな灯火の、赤みのある光にほのかに照らされる彼のあどけなさを残す横顔に、玉樹は不意に胸を突かれた。我に返ったときには彼の背に腕を回し、その耳許に唇を寄せていたのである。
「…すまない、酔いが回ってしまったようだ」
 玉樹は苦笑いすると慌てて腕を離す。
「なあ、彰秀。そのように慣れない服装に言葉遣いをしていては疲れるだろう。俺と二人きりの時は、以前のように話してくれて構わない。…もう夜も更けてきた。退がって、お前も休むといい」
 退出して良いと伝えたのに、なおもその場から動かない少年に、怪訝な顔で尋ねる。
「どうした」
「あの…さっきのは本当に『お戯れ』だったのかと」
「戯れでなければ何だというのだ」
「…私は、構わないのです。私は…賢くて、強うて、優しゅうて…そんな玉樹様が好きだから。だから、もし…」
 あれこれ思うより早く、伏し目がちに答える彼を抱き寄せていた。
「言っただろうに…俺と二人きりの時は以前のように話してくれ、と」
 少年の、使いなれぬ言葉を紡ぐ哀れな唇に、己が唇を重ねる。
「た、まき…さま…」
 繰り返される口づけのなか、途切れ途切れにつぶやく彰秀に、
「玉樹とは、越の国の棟梁が代々名乗り続けてきた称号のような名だ…。本来の俺の名は、勇魚いさなという」
「イサナ…?」
「ああ。『くじら』や『ふか』と呼ばれるような…大きな魚のことだな」
 彰秀は笑みを浮かべ、
「なら、やっぱり海の向こうからやってきた幸の神なんだ」
 越の棟梁を務める若者の首筋に嬉しげに両腕を回し、身体を寄せた。
  
 その晩、二人は一つ床で眠った。
 勇魚は彰秀に、寝物語のように越の国の棟梁についての因習を話した。
 棟梁は、世襲制ではなく一代限り。当代に死が迫ると、この重役を務めうる才知をもつ若者が領内から選ばれて「玉樹」の名と職務とを引き継ぐ。棟梁の館には百を超える人間が出入りし各々の職務に励んでいるが、棟梁その人と対面しうる者はごく一握り。また、妻子を持つとどうしても彼らに情をかけてしまうがゆえに、棟梁は妻帯を禁じられている。
「…じゃあ、勇魚どんは『ひとを知らない』んだ。おいらもだけど」
「言いにくいことを言うなあ、お前は。だが…この網をかいくぐり、女君と子をなした棟梁がかつて一人だけ居たそうだ」
「え…?誰?」
「先代…俺の親父さ。まあ、顔も知らないがな」
 ひとしきり忍び笑いをし真顔に戻った勇魚に、彰秀は微笑み返すと、 
「他言無用、だよな…分かってるよ。どうせ、おいらがここで話をするのなんて三人だけだし」
「輔伴と一蔵、それに俺…で三人か」
 彼はうなずき、
「おいらは、もうここから死ぬまで出られなくても…いや、骨を埋めるのもここでいい。お館様の秘密を知ってしまったから諦めてる、とかいうんじゃなくて。ただ…」
「何かあるか」
「妹が…まろやがどうしているかが気がかりなんだ。商いから戻ったら、おいらが居ないんだから…」
「そうか。お前こそ、妹思いの優しい兄だな。輔伴か一蔵に頼んでみよう、彼女がその後どうしているか追ってくれるように」
 返礼とでも言うように、彰秀は勇魚の胸に頬を寄せ、その肩に手を添えた。
 
 彰秀は元々海暮らしの少年である。館に閉じ込めて身辺の雑用ばかりさせているのも気の毒になり、ある日玉樹は彼と共に駿馬に乗り、越の国の浜辺へ駆けた。
 言葉少なく、海を眺める二人。
と、突然白銀の刃を手にし玉樹に襲いかかる影。
「彰秀兄さまを返せ!」
「…まろや!?」
 しばしのもみ合いの末、玉樹に取り押さえられ、頭巾を剥がれる乱入者。玉樹はその姿に息を呑む。
 異常なまでに白い肌と髪、そして赤い瞳。
(まるで、神使の白蛇が人となったかのようだ…)
「まろやを放してくれ!そいつは…おいらの『妹』だ」
(妹?…いや、これはまだ子供だが、いっぱしのくノ一だぞ…)
 一蔵の「お館様。それがし…あの漁師という少年、何か人に知られては困る事情を抱えていると見るのですが」という言葉が今更ながら思い出された玉樹だった。
 
 館に戻ると、ここ幾日も姿が見えなかった輔伴が居た。
「一蔵の報告が気になりまして…彰秀少年について調べてまいりました」
「で…結論は?」
 訊かれて輔伴は声を落とし、
「まだ確証はございませんが…斎王と公方家の若君との忘れ形見、との可能性が」
「なに!?」
 斎王は宮社に奉仕する未婚の皇女。そんな女性が、よりによって対立勢力であるはずの将軍家の御曹司との間に子を残していたなどとは―――
「訊いてみれば良いでしょう、この小娘に」
 一蔵が、まろやの腕を引いて現れる。
「一蔵さん、まろやにそんな乱暴しないでくれ!」
 彰秀が、幼さの残る少女の細腕をわし掴みする一蔵を止めに入る。
 
 都、吾妻、越。鼎立の均衡が、今、崩れ動き出そうとしていた―――

『翡翠色の浮橋(仮)』概説

この『翡翠色ひすいいろ浮橋うきはし(仮)』の本ネタというのは、件の創作コミュニティで某創作者様が日記にちらりと書かれてた「ハーレクイン的BL」なところを、何故か中世日本風でやってみました、てなことなんですよ。。て、何故こうなる自分!(墓穴)
それにしても、越の国の妻帯しないお館様ってのが(越の国…この場合越後国つまり現在の新潟県を想定している)どうにも歴史上の某人物を想像させるなぁと(大困)。別にそこまでの意図は無いのですが。時代設定も、とくに何時代とか具体的なとこまでは決めてませんし。。ただ、京都と関東の間で資金力がありそうな場所といって思いついたのが佐渡金山と糸魚川の翡翠とが存在する越の国ってことで…(鉱山が開かれた年代とかいう考証は一切ないし:おおいに自爆)。。。
キャラ造形で言うと…玉樹(勇魚)が結構情けないとこもあるキャラだな、とか。彰秀のヒロインっぷりと田舎もん加減に笑う、でも流れ的にすげぇキーパーソンじゃないの?とか。側近ズも優秀なんだけど何だろうな、とか。まろやのアルビノ(白子)っぷりが人間としてはどう考えてもムリだろう、とか。まろやは『雨月物語』に出てくる蛇の怪の一体すね……
ツッコミどころがありすぎる(困)←ウチの子・オリキャラには辛口な筆者(墓穴)
しかも、この後の何となくのイメージでは、その…斎王と将軍家の御曹司を出会わせた、だけでなく実は玉樹(勇魚)の両親の縁結びまで手引きしたらしい旅の大僧侶・貞観じょうかんが出てきたりするのである。そこまでは本文に書くの諦めたんだが。。一体、彼は何を目指していたんだろうかと(困)
ともあれ、更にツッコミどころ満載で「で、その後どうなんのよ!?真剣に」と(大困)

蓮花なる君(仮)

 芸と酒色を売りつつ諸国をめぐる旅の一座に在って、ひときわ美しい容姿に音楽・舞踊の優れた才能を備えた少年・弥栄やえ
 次の権力の座をうかがう有力氏族・池辺いけべ氏の邸に招かれた折、弥栄は女田楽に扮して舞い、棟梁・隆義たかよしの絶賛を受ける。
「おや、あの女田楽は男子おのこだったのか。女子おなごなら一、二年の後に儂が『男』を『教えて』やろうと思ったのにのう」
 
 棟梁の孫・隆興たかおきもまた、弥栄の舞姿が心に残って離れない。
 だが、彼は幼く、彼ら一座の本当の姿すなわち『音楽を奏で舞い、芸事を披露して宴を盛り上げ、また求めに応じて春を売る』という裏の顔を知らなかった。
 一座の女たちが命じられれば誰とでも一夜の相手をつとめ「遊び女」にもなることも、男児たる弥栄もその美しい容貌ゆえに衆道を好む富裕な男たちの慰みものにされてきたこともである。
 
 数年の後。元服を済ませ、大人の事情も分かる年頃となっていた隆興の前に、再び旅の一座がやってくる。
 隆興は弥栄に詰め寄り、訴える。
「僕は、君を今のような境遇から助け出したい」
 しかし弥栄は笑い、
「世間知らずのお坊ちゃんが何を言うか。俺は、この泥沼に生まれ、一生そこで暮らすだけしかない人間だ。お前みたいな小倅に何が出来る」
「今は無理でも、いつか必ず変えてやる」
 少年の真っ直ぐな眼差しが、荒んだ彼の心を動かす。
 どちらからともなく腕を伸ばし、抱きしめ合う二人。
 その夜、彼らは共に夜を過ごす。
 弥栄にとっては、初めて「意に染まぬ、命じられ押しつけられた相手」以外と――真に心を許した者と一つ床に眠った夜だった。
 
 時はまさに下剋上の世へと流れていく。
 池辺氏は隆興の祖父・隆義そして父・隆康たかやすが計略をめぐらし、また他氏族との合戦を重ねる間にのし上がり、やがて一大権勢となって敵となるものはもはや国内に無くなる。
 亡くなった父の跡を継ぎ、泰平の世の足がかりを築く役割を担った隆興は二十歳を過ぎ、既に幼馴染の時姫ときひめを正室に迎え子女をもうけていた。
 だが、隆興は弥栄との約束を忘れたわけではなく、時機をとらえて一座から彼を大枚と交換にして引き抜き、召喚する。
「俺を『身請け』したという公方様は、どこのどちら様だ」
 毒づく弥栄の前に、隆興が姿を見せる。
「私だよ」
 驚く彼の前に隆興は腰を下ろし、
「ようやく約束を果たせたね、弥栄」
「隆興…」
「今度は、君が約束を果たす番だ。生計たつきを顧みずとも済む暮らしの中でなら、その技量を芸術の域まで研ぎ澄まして確立させ、次の世代へと残し伝えていくことが出来るはずだ」
 言葉に詰まる彼に、更に続ける。
「もう、意に染まぬ男と『夜伽』をする必要もないだろう」
 
 世に、「泥中から蓮が咲く」などと言う。
 世俗の金と権勢にまみれた情欲という名の泥の沼から清き池辺に移りし弥栄という名の蓮が、後世に語り継がれる独自の舞踊と謡曲とを重ねた美しい大輪の華を咲かせるのは、更に数年の後のことである。

『蓮花なる君(仮)』概説

この『蓮花はすはななる君(仮)』に関しても、やはり某創作者様が日記に書かれてた「芸と酒色を売る流浪の民」「旅芸人と貴族の恋」というフレーズから妄想特急がスタートし(爆)…
イメージとしては室町時代頃の日本的な空想世界。
というのも、義満と世阿弥あるいは尊氏と藤夜叉(@太平記)のイメージによるところが大きい気がするから←言っちゃった!(おおいに自爆)
…まあ拙作のお約束として「明らかに歴史上の誰それがモデルだよね?」って件でも別名で出しますんで。。
 
他、多少詳しい設定的なものを書いておくならば、隆興のほうが弥栄より4歳くらい年下というイメージで。
初対面時、御曹司・隆興は8、9歳くらいかなと…それより4歳ほど上で既に衆道を好む男たちに何されていた弥栄というのが当世何かとセンシティブな例の件にかかりそうで冷や汗ものですが(切実)…あくまで時代風小説構想メモであり推奨意図などは無いということで(汗)。
概ね、出会い・再会・大人になってからの再々会という3場面ってか3シーズンから成る話ですが、筆者として見せ場と思うのは中盤…二人とも若さでいたしてしまうところじゃないかなあと(腐)
いや、大人になってからどんどん燃え上がって政治も芸事もレベルアップさせてく二人もイイと思うけど(さらに腐)

自分、年がら年中・春夏秋冬のBL描きではありませんが(自分で言った!)、アタマに腐った部分があるので、時々こういう妄想をすることがあるんだろうなと。。
 
今は離れてしまいましたが、そういう創作者の集まるコミュニティやSNSに所属・参加していた頃は他の方々とのやり取りの中で色んなネタを提供していただくこととなったというか、自分一人では思いもつかなかった話を色々と描くきっかけにはなっていたと感じます。今より若かったから出来たことでもあるのかなと……(何気に墓穴)

ともあれ、これも自分の「一言二言から一本組み立てられる」センテンス妄想人間たる姿を見るような思いです…ほんと始まりはそんなもんであるケースばかり。着想から形を変えつつ今も継続する六花シリーズも端緒は「俺、落武者の末裔なんよねぇ」という上司の一言だった(しみじみ)。
あと、自分でも思うのは、設定やストーリー構成は緻密な計算で組み立てるものではなく、思いつきをひたすら積み重ねて適宜軌道修正しつつ、何となくまとめていくスタイルなんだよなと(墓穴)。
・・・まあ、そういうスタイルもあるという話です。。

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