一次創作、古代中国風伝奇ファンタジー小説『群雄列伝』。
内容その他の詳しいところは過去記事(拙作語り㉟)を見て下さいという話ですが、そのうちの『下天の章・三 群雄割拠譚』は、中央政権が衰退し地方の有力氏族が帝都と天下を窺うようになった群雄割拠の人間界が舞台で。今回は篇ノ三の後半部を再掲します。
毎度の断り書き。
R指定まではいかないのですが、PG-12くらいはあっていいのかなと筆者的には思っています。
更には、やはり15年とか前の筆なので、当世のあれこれに抵触するような表現もあるかと思いますけれども、基本「原文ママ」を通したことを念のためお断りしておきます。
古代中国風の興亡史=戦記ということもあり、多少残虐・悲惨なシーンが入るかと思われます。
前回・今回と掲載の篇ノ三は、そういう場面が多めかなと筆者的にも感じます。
どうしても残酷なのはダメ、という方は読み進めないほうが良いです。
以上、よろしくお願いいたします。
『群雄割拠譚』本編
篇ノ三
北方の遊牧民族と、西方の有力氏族・梁家とその領土の民らにより綴られた、支配と兵乱の記録。
(ノヤン・秦・河北・河西/掩哀帝六年~玉輅亡欠二年)
<後半部>
策謀の時
架け橋の花嫁
山中の邂逅〈かいこう〉
※註:
邂逅=偶然の出あい。めぐりあい。
遊撃部隊=あらかじめ攻撃する目標を定めず、戦況に応じて敵の攻撃や味方の援護に回る部隊。
鬼宿の積尸気=
鬼宿は西洋の星座で言えば蟹座に対応する、二十八宿と言われる星座の一つ。積尸気はその中にある散開星団プレセペにあたる。
その先に在ったもの
訪れし春
※註
●伯楽
馬の良否を良く見分ける人。また、馬や牛の病気を治す人。更に現在、腕ききのコーチや監督を「野球界の名伯楽」などと言うが、そもそもは古代中国、周の時代に居たという馬を見分ける名人・孫陽〈姓は孫、名は陽〉で、中国の天馬を守る星の名からの称らしい。
…つまり、馬陽はその名人から名を拝借しているワケで…(汗)
●呼称いろいろ
大老は優れた老人、老年の賢者を言う言葉。大爺は「爺(おじいさん)+尊敬の意の接頭語・大」。なんとなく中国読みになんてしているが、実際中国で呼称として使うかは保証の限りではありませんので、要注意です(おい!)
特に大爺は現代中国では伯父(父の兄)の呼称らしいですからね…(汗)
●喜寿の計都
喜寿とは、数え七十七歳の異称。ということは満年齢七十六だよー…てなわけで、七十六年周期で地球に近付くハレー彗星を元ネタにしていたりする(自爆)。
ちなみに、古希=七十歳などはともかく、喜寿に関しては中国には無く日本生まれらしい(汗)
* * *
篇ノ三は以上になります。
また舞台と登場人物が増えまして…(滝汗)
篇ノ二の中で發が語った「北胡が河北や河西ではなく西方の秦に侵攻した」件の経緯を追ったのが篇ノ三、ということに。ゆえに、篇ノ二終了時から少し時を戻って始まるのが篇ノ三でした。
次は篇ノ四へ入ります。
筆者がこんなこと言うのも何ですけど、展開として しんどさも少なめで、一番面白いのがここじゃないかなと(謎だらけ発言)。
篇ノ一そして三と、既にやりたい放題だった中庸界の方士・鄒頌ですが、篇ノ四になると更に過熱し「もうどうにも止まらない」感が…だから筆者自身この箇所が好きなのかも(苦笑)。