『時間衝突』の思い出のつづき(2016年9月)

バリントン・J・ベイリー『時間衝突』(大森望訳/創元SF文庫)刊行の前年だったか前々年だったかに日本で開催されたサイバーパンク・イベント(というものが東京でいくつかあったのです)に来日して、小浜も挨拶ぐらいはしていたブルース・スターリングに、その友人であった翻訳家・小川隆さん経由で序文をお願いした(発案は訳者の大森望)のですが、これがなかなか届かない。思いたってスターリングの家に小浜は自宅から海外電話をしたのでした。初めて体験する、外国人との電話。恐れを知らぬ振る舞いです。敬愛する波津博明(はづひろあき)さんに学生時代に教わった「ディス・イズ・オーバーシー・コーリング・フロム・トウキョウ」と挨拶したように記憶しています(波津さんは八王子住まいで、勤務先の読売新聞本社からかかってくる電話の第一声がこれだった)。電話をとった第一声は「ハイ・ブルース」だったか「イエス・ブルース」だったか。「もう書いてるよ。ぼくのアップルの中にあるよ」と言ったのは聞き取れたので、「じゃあこの番号に国際FAXしてください」と。実際に、翌日にFAXが届いたのは素晴らしかったと思います。元気だろうか、ブルース。

(初出:2016年9月14日、Facebook)

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