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11-5 生殖補助医療

不妊症

夫婦が妊娠を希望し、1年以上性生活を行っているにもかかわらず妊娠しない場合を不妊症といいます。年齢が上がると妊娠しにくく、治療効果も得にくい傾向があるため、1年以上妊娠しない場合は不妊症に該当するので、悩んでいる方には早めに相談するように勧めるのがよいです。
不妊症の原因には、女性側の要因と男性側の要因、両方があります。

不妊症の要因

不妊症の要因には、以下のようなものがあります。

  • 内分泌・排卵因子

  • 卵管因子

  • 子宮因子

  • 頸管因子

  • 男性因子

内分泌・排卵因子は、内分泌機構の異常により、卵胞発育・排卵、子宮内膜に障害をきたしている状態であり、その原因に、ストレス・体重減少・肥満・高プロラクチン血症などがあります。
不妊治療において、何らかの内分泌・排卵因子により、無排卵となっている場合には、その治療法として、ホルモン関連薬を使用して、薬物による排卵誘発を行います。

排卵誘発・卵巣刺激法

無排卵の対策として、または、体外受精や顕微受精を行う場合に、排卵がある場合でも、複数の卵子を採卵するために、卵巣刺激を行うことが多いです。
主な方法に、クロミフェン療法とゴナドトロピン療法があります。

クロミフェン療法

作用機序
視床下部で抗エストロゲン作用を示すことで、エストロゲンが少ないと負のフィードバックが働くことで、FSH や LH の分泌が増加します。
類似の作用を示す薬に、シクロフェニルがあります。

ゴナドトロピン療法

作用機序
ゴナドトロピンは、FSH や LH の分泌を促すホルモンです。
FSH 作用を有する hMG 製剤や、FSH 製剤によって、卵胞発育を促した後、LH 作用を有する hCG 製剤で排卵を誘発します。
なお、FSH 製剤には、自己注射が可能な皮下注ペン型製剤もあるので、勤労女性には有用といえます。

排卵誘発の代表的な副作用には、多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群( OHSS)があります。OHSS は、排卵誘発剤によって過剰に刺激されることで、卵巣が腫大し腹水が溜まります。これを防止するために、エストロゲンを測定しながら治療法を選択すること、さらに、初期症状として、腹部膨満感に注意することが重要です。



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