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11-4 経口避妊薬


経口避妊薬

望まない妊娠を避けるための手段として、避妊は非常に重要です。
事前に可能な避妊法として、経口避妊薬のほか、子宮内避妊具(IUD)、コンドームなどがあります。経口避妊薬は、女性主体にできる避妊法であり、正確に服用すれば、確実な避妊効果が期待できます。
避妊をしなかった、または避妊に失敗した時、望まない性交渉の後などから、妊娠を阻止する緊急避妊法には、緊急避妊薬や銅付加 IUD の装着があります。

経口避妊薬(OC)

低用量経口避妊薬や低用量ピルとも呼ばれます。
成分としては、低用量の合成卵胞ホルモン製剤と合成黄体ホルモン製剤の合剤です。成分は、LEP とほぼ同じです。
元々は、OC の副効用として、月経前症候群(PMS)を軽減する作用がある、とされていましたが、月経困難症の改善を目的として使用される製剤のことを LEP と呼び、OC とは区別されます。(OC と LEP は成分は同じだが、保険適用が異なるので、OC として承認された製剤は、経口避妊薬の目的で使います)

”低用量”とは、11-3 で触れたように、副作用を軽減するために、エストロゲン含有量を減量(50μg/錠未満)しつつ、避妊効果が十分得られるように調整されたものであり、低用量 OC(低用量ピル)とよばれます。
毎日服用することが重要です。
正しく服用すれば、99%の避妊効果があると言われています。

妊娠を希望する場合、服用を中止すると、妊孕性は、回復します。

緊急避妊薬(EC)

モーニングアフターピルや、アフターピルと呼ばれます。
リスク行為から72時間以内に服用すると、97% の確率で避妊できると言われています。

合成黄体ホルモン製剤の一つであるレボノルゲストレルを1錠中に 1.5mg 含んでいる。リスク行為72時間以内に、レボノルゲストレル単剤1.5mgを確実に1錠服用します。(できる限り速やかに服用する)

以前は緊急避妊薬として、ヤッペ法(中用量ピル)が使われていました。ヤッペ法には、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの両方を含むプラノバールを、リスク行為の72時間以内に2錠服用し、その服用12時間後に2錠服用する方法です。ヤッペ法の主な副作用には、吐き気があります。
ノボノルゲストレル 1.5mg は副作用が少なく、避妊効果が高いため、こちらが主に使われるようになりました。
入手には、診察を受ける必要があります。(外国では診察を受けることなく薬局で入手可能なところもありますが、日本では現在検討が進められている状態です。)

作用メカニズム

経口避妊薬(OC)

黄体ホルモンと卵胞ホルモンの合剤であり、投与すると、負のフィードバックにより抑制がかかることで、排卵・受精・着床の3つの過程を抑制するため、避妊効果が高いです。

  • 排卵の抑制

  • 受精の抑制

    • 頸管粘液の粘稠度を増加させることで、精子の侵入を抑制する

  • 着床の抑制

    • 子宮内膜の増殖を抑制することで、着床を抑制する

緊急避妊薬(EC)

着床阻害よりも、排卵の抑制あるいは排卵の遅延により、避妊効果があるとされています。

月経移動

適応外使用ではありますが、低用量ピルを服用することで、月経移動可能です。
①月経を遅らせる、または、②月経を早めることが可能です。

日本では、低用量ピルが正しく理解されておらず、普及していません。安全に月経移動できることを、ぜひ、ご理解いただきたい。

(適応外使用である、というのは、危険などという意味でなく、保険診療は病気の治療が目的であるので、保険適用ではないという意味)


エストロゲン製剤について(誤解のないように)

エストロゲン依存性腫瘍は、エストロゲンによって発育・増殖が刺激されるもので、乳癌・前立腺癌・子宮内膜癌があります。
(治療として、エストロゲン製剤を使用すると、エストロゲン依存性腫瘍リスクが増加することを懸念する誤解もあるが、対策をしていることを理解してほしい)

その対策として
①副作用が出にくいように、工夫されています
薬効が得られつつ、副作用が出にくい用量まで、低用量化している
配合剤にしている
②危険性のある人には使わないように対策されています
例えば、すでに発症している乳癌や子宮体癌には禁忌であり、そもそも、使わないようにされている
新規発症については、乳癌を新規発症させることはないことがわかっており、内膜癌や卵巣癌は、むしろ長期エストロゲンでリスクが減少すると言われている。
③使用中は、早期発見のために必要な検査を行います
子宮頸癌については、長期使用するためには、定期的に検査を行う。



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