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看護薬理学

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【医療・介護関係者向け】看護学校での薬理学授業の参考資料として作成したものです。 実際に医療現場で活用するには、もう一歩、各薬剤について踏み込む必要がありますが、あくまでも、導入…
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#医薬品

2-3 薬物動態の個人差

薬物動態には個人差があります。その要因となる、代表的な事項を説明します。 小児小児に対する薬物治療の考え方として、よく言われるのが、「小児は成人のミニチュアではない」ということです。 つまり、薬物の成人量を、小児量に体重換算しさえすれば良い、ということではありません。 薬物の代謝・排泄機能が未熟、などといった、小児特有の生理機能を考慮して、薬物治療をしましょう、ということです。 つまり、「量」だけでなく、「質」的にも、配慮が必要です。 小児の薬物動態の特徴 小児の

2-2 薬物動態学の指標

<あらかじめご理解ください> 詳細な部分は省いて、薬の効果と結びつけてイメージとして捉えることを主眼にして、資料を作成しています。 薬物血中濃度解析薬を経口投与した場合、体内に吸収され、全身循環血液中に薬物が移行するに伴い、薬物血中濃度も上昇していきます。それと同時に、体外へと排出されていきます。 吸収が終了すると、排出されていく一方なので、それに伴い薬物血中濃度も減少していきます。 この薬物血中濃度を解析すると、その薬物の効き目の現れ方の特徴が見えてきます。 この特徴を、

2-1 薬物動態と薬物相互作用

ここでは、 ・薬物の ADME の過程の詳細 ・薬物相互作用の機序 について、特に経口投与の時の流れを説明します。 吸収吸収過程では、消化管側から、細胞膜を通過して、吸収されます。 したがって、細胞膜を通過しやすい物質が、吸収されやすいといえます。 細胞膜の構造は、脂質二重膜構造の中に、機能を有するタンパク質が埋め込まれた構造をしています。脂質二重膜は、リン脂質がモザイク状に並んでおり、外側に向けて、水に溶けやすい部分が並んでおり、脂質膜の中央部分は、疎水性の部分が並んで

1-4 薬の投与経路と特徴(まとめ)

各投与経路とその薬物動態の特徴の一覧まとめ ・初回通過効果の有無 ・作用発現部位:局所作用を目的としているか ・全身作用を目的としているのか ・作用持続時間 の特徴を理解することが重要です。 経口投与全身循環血液中に移行した後の過程(DME)については、どの投与経路も同様ですが、吸収から移行までの過程が、それぞれに特徴的です。 経口投与 非常に簡便で安全性に優れた投与経路であり、広く使われています。 特徴は、[1-3]で詳細に説明しているので、そちらを参照してくだ

1-3 薬の投与経路と特徴(経口)

ADME(アドメ)薬物動態学とは、生体に投与した薬物の体内動態とその解析方法について研究する学問を言います。 つまり、投与した薬物が体内に入ってから、出るまでの過程のことを体内動態といいます。 体内動態は、過程の頭文字をとって、ADME(アドメ)と称します。 A:吸収 投与された薬物が、全身循環血液中に移行する過程のこと D:分布 薬物が、全身循環血液中をめぐる中で、組織に移行する現象のこと M:代謝 薬物・毒物などの生体内物質を、分解・排泄するための反応 ※幾つかの

1-2 医薬品の名前

医薬品の名前医療用医薬品には、二つの名前がある 医療用医薬品には、 ・製品名・・・製薬会社が決めた製品名(独自の銘柄名) ・一般名・・・有効成分(化合物)の名前 という二つの名前があります。 例えると、絆創膏とバンドエイドの関係のようなものです。 「絆創膏」は、”テープにガーゼを貼り付けたもの”というような、製品の特徴を定義づけるような名称(つまり、「一般名」) 企業が独自に命名し、商標登録を取っているブランド名にあたるのが、「バンドエイド」や「カットバン」「リバテープ」

1-1 医薬品とは?

医薬品の定義「医薬品」とは、法律で、定義されています。 その「法律」は、正式名称は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で医薬品医療機器等法とも言われます。略称として、「薬機法」と呼ばれます。 以前は、「薬事法」と呼ばれていました。 2014年の法改正で、「薬機法」という名称に変わりました。 薬機法の第2条に定義があります。 人の治療だけでなく、 ・人又は動物の疾病を対象としたもの 治療だけでなく ・診断 ・治療 ・予防 が目的である、