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看護薬理学

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【医療・介護関係者向け】看護学校での薬理学授業の参考資料として作成したものです。 実際に医療現場で活用するには、もう一歩、各薬剤について踏み込む必要がありますが、あくまでも、導入…
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#抗悪性腫瘍薬

4-3 抗悪性腫瘍薬 支持療法②

前項では、以下の化学療法の代表的な副作用を説明しました。 ・造血幹細胞:骨髄抑制 ・消化管粘膜:口内炎、下痢 ・毛母細胞:脱毛 ・生殖細胞:妊孕性 ここでは、引き続き、代表的な有害事象について説明します。 ・悪心・嘔吐 ・皮膚障害 ・末梢神経障害 ・心毒性 ・投薬時の注意点 悪心・嘔吐がん患者の40〜70% で悪心・嘔吐が起こると言われています。 その原因は、がん、がん治療、がん以外があります。 がんが原因で起こる悪心・嘔吐とは、がんが消化管を閉塞したり、圧迫してい

4-2 抗悪性腫瘍薬/支持療法①

抗悪性腫瘍薬前項の通り、抗がん薬は有害事象は起こるものと考えて、対策を取ることが重要です。 薬物の薬理作用から起こると想定される有害事象について、説明します。 化学療法薬と有害事象 がんの化学療法で使われる化学療法薬(殺細胞性抗がん薬・細胞障害性抗がん薬)は、がん細胞は細胞増殖が盛んに行われている特徴を利用して、細胞増殖を止めることでがん細胞を抑える薬物です。 したがって、細胞増殖が盛んな正常細胞にも作用する可能性があります。 細胞増殖が盛んな細胞としては、下記のようなも

4-1 抗悪性腫瘍薬

抗悪性腫瘍薬/基本的な注意事項抗がん薬に関しては、「毒性があるもの」という前提を理解した上で、安全管理を行うことが非常に重要です。 薬の用量と、それによって起こる反応について、説明します。 用量と薬の効果の関係を、青色のグラフで示しています。 薬が効く量には個人差があります。量が少ないと、一部の人には効きますが、大半の人には効果はありません。量を少しずつ増やしていくと、薬が効く割合も徐々に増えて行きます。 50%の人に効果が現れる時の量を、50% 有効量(ED50)と