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超短編集

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自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
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2021年8月の記事一覧

瞳は黒色

  入れ替わるとしたら、何がいいと思う? 不意にそんな言葉をかけられて、僕は相手の居るで…

sai
2年前

ディスライク

俺には嫌いなものがたくさんある。 食べ物も、人間も、服装も、もっともっとあげればたくさん…

sai
2年前

祭りよりもゲーム

今年は夏祭りに行かないのかと、両親に聞かれた。 行かないと答えたら、折角の青春がもったい…

sai
2年前
1

幽霊への道

歩く時に前を見ないのは、小さい頃からの癖だった。 前を見て歩かないから道に迷うのよと、母…

sai
2年前
4

入門

指先から何かが出てきているのを彼はじっと見つめていた。 彼女が動かない彼に気がついてそっ…

sai
2年前
1

付人の戯言

十六時の神様が眠ってからもう何年も経っている。 神様が眠ってしまっているせいで、世界も眠…

sai
2年前

十三時の三姉妹

左クリア、右もクリア。 あたしの視界はいつだってクリアだ。 ただし、あたしがクリアなのは視界だけ。 他は全部クリアじゃない。 妹は視界がクリアじゃないけれど、耳はクリア。 耳だけがクリア。 姉は目も耳もクリアじゃない。 どちらも閉じられている。 でも姉はあたしや妹よりも特別だ。 姉には人々を導く力が、あたしたちよりも強く与えられているのだ。 あたしたちは三人とも、それぞれ特別な力が与えられている。 妹には偽りのない真実を聞き取る力が与えられていた。 そ

太古の人

夜はどうして暗くなるのか君が聞いたから、僕は星が存在を示すためだと教えた。 子供だましの…

sai
2年前

意地でも終わらせない

栞をはさんでおけば、物語が終わることはない。 それがあの人の口癖だった。 あの人はいつも…

sai
2年前

ノーリラックス

素晴らしき休日を彼女は満喫しようとしていた。 すくなくとも、起床してから二時間が過ぎるま…

sai
2年前
1

起こしたけど遅刻した

妹が朝に起きれないのは、いつものことだった。 でも不思議と妹は一度も遅刻をしたことはない…

sai
2年前

外側

宇宙がバブル構造だと考えた人間は、そのバブルが存在する数以上に存在する。 だが、その中の…

sai
2年前

タグ

私は、ちょっと変わった地域に住んでいる。 国はまあわりとメジャーなのだけど、その国の中に…

sai
2年前
1

ロール

世界がすでに終わっていることに気がついている人間は少ない。 現在、彼等が認識している世界で普通に生活していると思っている人間の八割は本物の人間ではない。 本物の人間は二割である。 もっと正確にいうのであれば、本物の人間は一割しか存在しておらず、残りの一割は遺伝子カクテルで創られた偽物である。 そして偽物は彼等、つまり本物の認識している世界に基本的には存在していない。 そもそも本物の人間は安全なカプセルの中で眠っていて、創られた偽物たちがそれを管理している。 とても