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超短編集

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自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
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2021年6月の記事一覧

雨の盾

雨の日が僕の安息日だった。 テレパスの僕にとって、無理なく過ごせる唯一の日だからだ。 ど…

sai
2年前
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トゥレチェリィ

ぼくたちは今から、千年分の予定を組み立てなければならなかった。 前に話し合いをして予定を…

sai
2年前
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惑星Sの特別なリンゴ

あたしたちは、新しいリンゴを創り出そうとしているところだった。 地球産のリンゴは美味しく…

sai
2年前
1

チェイン

彼の家は雨漏りしていた。 だから彼は今日の午前中、私の家に転がり込んできた。 今は晩御飯…

sai
2年前
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イータ星人の箱庭

大きな衝撃の後、僕はよろよろと船から外へ這い出た。 宇宙船のエンジントラブルによって機体…

sai
2年前
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心との連動

気がつけば、毎日同じことしかしていない。 起きて、ご飯を食べて、職場に行って仕事をする。…

sai
2年前
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氷の中の夢

パチパチと火がはじける音が室内に響く。 なんでさー、夏なのに火なんて焚いてるの? しかも暖炉とかさー、だるくない ぶつくさと文句を垂れているが、一番暖炉の近くに居るのはどういうことなのだろうかと頭の隅で考える。 火、つけないと凍え死ぬと思いますけど消します? めんどくさいなあなんて思いつつ、彼女にそう告げると間髪入れずに消さないと返された。 毎回寒いとか文句だけ言って、火をつけるのは僕の役割なのだ。 そもそもさー、なんでこんなことになっちゃったわけ? どっかの

カゲトリ

最近、弟が妙な遊びを覚えて帰って来た。 なんでも学校で流行っているとかで、登下校中も休み…

sai
2年前
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涼しい場所がいい

彼はいつも眠たそうな顔をしていた。 目がぱっちりと開いていて、やる気全開モードです! と…

sai
2年前

魂の捕食者

彼女は、小さな頃から周りの人間が恐ろしかった。 それは家族だけではなく、幼稚園や学校の友…

sai
2年前
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アースワーム

一日中雨の降った次の日が、あまり好きではないという話を友人としていた。 雨の降った次の日…

sai
2年前
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選択ミス

僕たちが第三惑星から一部を盗んで、どれくらい経っただろうか。 あの星でわんさか増えている…

sai
2年前

聞こえないふり

今日は朝から体の調子がイマイチで、午後になるにつれて頭痛まで出始めた。 頭痛薬なんて手持…

sai
2年前
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星獲りの遊び

僕たちは彼等を失明させることにした。 もともと目が開いていても見えていないようなものだったのだから、失明させても問題ないだろうという判断だった。 一部からは、それはやりすぎではないかという声も上がった。 ただ、それを押しのける形で強硬的に失明の判断が下ったのだ。 彼等はやり過ぎた。 だから彼等は光を失うことになった。 それだけのことなのだ。 それでも彼等の守護者たる僕たちが、彼等を見捨てるようなことをするという行為が非難されている。 見捨てるという言葉は、僕た