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体験型ゴッホ展でみる絵画鑑賞の進化

 7月22日、角川武蔵野ミュージアムで行われているゴッホ展に行きました。そこで感じた絵画の楽しみ方の変化を書いていく。

体験型とこれまでの違い

会場につくとそこには、ゴッホの自画像とヒマワリが出迎えてくれる。
これからゴッホの世界に入るのだという期待感を膨らませてくれる。

ゴッホ展入口

最初に案内される第一会場では、空間全体に映像が映し出されている。
四方の壁・床・4本の柱にプロジェクターで作品が流れ、入った瞬間に圧倒された。「絵画を見る。」というより、「絵画を浴びる。」という不思議な感覚になった。

壁に映し出された作品の一部
4本の柱の1本

 これまで美術館や企画展では、壁に飾られた絵を楽しむといった形が普通だった。直接間近で見られることが、醍醐味だが興味がないと何が面白いのかさっぱり分からず、詰まらないと感じる方が多いだろう。
 今回のゴッホ展は、従来の広い会場を歩く、静かな空間で厳かに楽しむといった人によっては退屈に感じる部分を払拭している。会場には、曲が流れただ作品の垂れ流しにするのではなく、映像作品として楽しめるように様々な工夫が施されている。

退屈させない映像・空間づくり

 先ほど述べた通り今回の展示は、見ている人を退屈させない工夫が施されている。
 1つ目は映像を床・柱に映し出している点だ。会場全体を利用する今回の展示の場合、壁のみではモニターに黒いドットができた時のように空間に間ができてしまい、作品に集中できなくなってしまう。床・柱にも映像を映すことによって、適度な圧迫感を見ている側に与え作品の中にいるような感覚にさせてくれる。冒頭で「絵画を浴びる」という表現をしたのはこのためです。

会場の床の様子

2つ目は、映し出される映像にある。私は、今回の企画展をYoutubeで知ったのだが、その時は作品が順に流れているだけだと思っていた。しかし、実際には、見るものをくぎ付けにする工夫がいくつもありました。映像は約20分でループとなっている。その中にある工夫の一つが、絵を人物、小物、背景といった形でパーツごとに分割し動きをつけている点だ。雲があれば動き、夜であれば空気の流れを感じさせ、鳥がいれば空を飛ばせる。これが、次は何が来るのだろうというワクワク感を出してくれる。

川の部分のみリアルな水のような表現に変えられている

まとめ

 今回のようにとてもリラックスして絵画を楽しんだのは、初めてでした。プロジェクターを利用しているため、色遣いが明るいと会場も明るく、暗いと会場も暗くなるといった変化も非常に楽しかった。見るときのおすすめは、柱の間にある長椅子に座ることです。腰を据えて、プラネタリウムを見るように無駄な力をぬいて会場全体を見ることができます。
 開催期間が、2022年11月27日(日)までと長いので、機会があれば足を運んでみてはいかがでしょうか。


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