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2019年の新聞発行部数(総数&前年比)

日本新聞協会から、2019年10月時点の新聞発行部数が発表されました。読売、朝日など各新聞の詳細部数もそろそろ発表になると思いますが(1/18時点)、私は日本ABC協会の会員ではないためデータの取得ができません。ですので、日本新聞協会で発表されている数字のみを使い前年比等を考察します。

2020.2.8  発表値が一部訂正されたため、記事の数値も修正します。

2019年の新聞発行部数の内訳

合計 37,811,248部
種類別内訳/一般紙:34,877,964部、スポーツ紙:2,933,284部
発行形態別内訳/セット部数:8,422,099部、朝刊単独部数:28,544,249部、夕刊単独部数:834,900部
1世帯当たり部数:0.66

2018年 39,901,576部
2019年 37,811,248部
前年比  -2,090,328部(約5.2%減)

1年で約209万部の減少です。2018年は約222万部減となり大きな話題になりましたが、それを超える部数減にはなりませんでした。減少率は昨年とほぼ同じです。

一般紙(-1,945,057部/5.3%減)は昨年並の減少、スポーツ紙(-145,271部/4.7%減)は大幅減だった昨年より減少数が半減しています。セット部数(-603,047部/6.7%減)、朝刊単独部数(- 1,449,403部/4.8%減)、夕刊単独部数(-47,878部/5.4%減)は全て昨年とほぼ同比率の減少です。

新聞用紙の出荷量からもっと減ると予想(290万部減)していたので意外な数字になりました。

新聞用紙出荷量とのつじつま

では新聞用紙の出荷量と差はなんなのでしょうか。日本製紙連合会が公表している2019年1〜10月の新聞用紙の国内出荷は前年比7.8%減です(2018年1〜10月は5.9%減)輸入は0.1%に満たないので除外するとして、紙の軽量化やページ減、駅売や号外・別刷りの減少を考慮しても、発行部数との差が2.6ポイントも出るのはなぜ?と考えたところ「セット部数」のカラクリに気がつきました。

「セット部数」は朝刊と夕刊のセットで「1部」とカウントします。これに朝刊単独、夕刊単独を足して合計部数を出します。この計算方法の場合、朝・夕刊セットで新聞をとっていた人が朝刊(あるいは夕刊)単独に切り替えても全体の部数は減りません。夕刊をなくす新聞が増えてきているので、この現象が大きく部数の減少<用紙の減少として出てきたのでは?と推測しています。

しかし部数を見ると朝刊単独比率が大きく増えているわけでもないので、新聞用紙の値上げ対策としてのページ減などが大きかったのかもしれません(追記:日本製紙連合会のレポートでは広告出稿減によるページ数の低調な推移をあげています)。用紙の出荷量と乖離が出るときは何かしらの要因があるはずなので、今後も両方チェックしていきたいです。

2020年の新聞考察

オリンピック効果は一時的なもので、朝日新聞のリストラ、産経新聞が今年中には全国紙から首都圏・関西圏のみの地方紙になるなど、今後も業界の縮小と緩やかな部数減少は続くでしょう。地方新聞社の消滅や押し紙問題がクローズアップされて大炎上したりすれば、一気に激減する可能性もあります。

デジタル版への移行は2020年もそんなに進まないと思っています。新聞を読みたい人というのは「セレクトした情報を印刷して手元に届けてくれる」ことに価値を置いているので、小さい画面で読みたい情報を自分で探す方向にはいきそうにないからです。そういう意味では、高いお金を出してもそれだけのサービスを提供してもらいたい人のための商品として、新聞は残ると思います。

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