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私の、すべらない話 ① あんぱん

その日、私は、阪急梅田駅から兵庫県の三田に向かう電車に乗っていた。

ゴールデンウィークの真っ只中ではあったが、空席が目立った。

私は、4人席の窓側に座ることができた。

一駅、二駅と、乗客が入れ替わる。

三田へは、大体1時間弱

私はスマホを片手に、暇を持て余していた。

すると、電車に乗って、20分ほど経った頃だった。

私の座っている向かい席に、1人の若い男性が座った。

パッと見た感じ、ハライチの岩井さんに似ていた。

少し、うつむいている感じも岩井さんに似ている。

10分ほど経った頃、岩井さん(便宜上岩井さんで通します)が、ガサゴソと彼のバッグを漁り出した。

菓子パンシリーズの「あんぱん」を取り出したのである。

そして、岩井さんは、むしゃむしゃとあんぱんを食べ出した。

あんぱんのあんこの香りがする。

あっという間に、岩井さんはあんぱんを平らげてしまった。

一息つくのかと思いきや、再びバッグを漁り出した。

2個目のパンか

と、思ってふと岩井さんに視線をやると、同じあんぱんを食べていた。

2個もおんなじの食べるんや笑

好き好きだから、そういう人もいるだろう。

また、同じあんぱんの香りがする。

ゆっくりと外を見ながら、岩井さんはパクリ、パクリと美味しそうにあんぱんを食べる。

そして、2個目のあんぱんを食べ終わると、缶コーヒーを一口飲んだ。

私は、同じ菓子パンを2個食べている人を、あまり見たことがない。

もしかしたら、たまたま、私が出会わなかっただけなのかもしれないが。

そうだとしたら、連続で同じ菓子パンを食べた人との初対面だということになる。

そしてその、菓子パンはあんぱん

ふと、そんなことを1人で考えていた時、再び岩井さんの手が動き出した。

まさか・・・

岩井さんがバッグを漁る。

やばい

やばい

やばい

かさかさと、パンの袋の音がする。

そして出てきたのは、メロンパンだった。

いや、あんぱんちゃうんかい!


おしまい。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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