足部を分解!!足部の機能解剖
こんにちは。コゴです!!
機能解剖ってワードはよく聞くけどもぶっちゃけ機能解剖って何?ってきかれたら、機能の解剖だよ!!とかってなっちゃいそうです。
機能解剖学とは・・・調べてみましたが明確な定義はないようです。
私なりに機能解剖と名の付く書籍をみて、思ったのは解剖学(生物の正常な形態と構造を研究する学問)に動きを結び付けた学問であると思いました。
要は解剖学×運動学って考えるとわかりやすいかなぁと。
なので、解剖学と運動学を繋がりを持って理解する必要があります。
足部の中で理解すべき重要なポイントとして3つのアーチ構造があると思います。アーチ構造についての解剖とそれに付随した歩行の話をしていきます。
1.3つのアーチ構造
足部の重要な構造として3つのアーチ構造があります。
内側縦アーチが注目されがちですが、外側縦アーチや横アーチも忘れずに覚えておきたいですね。
まず足部は三点支持になっています。母指球・小指球・踵骨の三点です。
この三点で支えることによりカメラの三脚のような安定感が生まれます。
四点支持でないのはアーチ構造を作るためと言われています。アーチ構造があることにより上からのしかかる重さに耐えることができます。
四点ではつぶれることができないためトラス構造、ウィンドラス機構を活用するために三点支持になっていると考えることができます。
霊長類においては縦アーチ構造がないため蹴りだし時に膝の伸展と足底腱膜による蹴りだし歩行ができない。
(荻原直道 ニホンザルの二足歩行分析とシュミレーションから探る直立二足歩行の起源と進化,バイオメカニクス学会誌 Vol38, No3, 2014)
それを考えると足部のアーチ構造は人間に特化した機能であり、二足歩行を行う上での必須機能であると考えられます。
ほかに三点支持のメリットとしては地面のいろんな状況にも対応できることですかね。まさに足に必要な機能そのものと言えるでしょう。
○内側縦アーチ
内側縦アーチは主に筋に支えられている動的安定機構と筋ではなく靭帯などの組織による、静的安定機構とに分かれます。
筋に関しては
・スリングを形成する後脛骨筋-長腓骨筋
・足底を走る長趾屈筋、長母趾屈筋
・母趾に直接関与する母趾外転筋
・内側を引き上げる前脛骨筋
などが挙げられます。
足部内在筋の中では特に母趾外転筋が内側縦アーチには重要であるという報告が多いです。
母趾外転筋の疲労が舟状骨低下に関与する
Heeldlee Dl et al:Musle Alive Their Functions Revealed by Electromyography Fifth Edition. Wiiliams&Wilkins,Baltimore,1985,pp340-347
母趾外転筋の収縮により内側縦アーチが挙上した。
Wong YS. Influence of the abductor hallucis musle on the medial arch of the foot:a kinematic and anatomical cadaver study.Foot&ankle international.2007;28(5)617-20
母趾外転筋、短趾屈筋、足底方形筋への電気刺激で内側縦アーチの低下に抵抗した。
Kelly LA et al. Intrinsic foot musles have the capacity to control deformation of the longitudinal arch. Journal of the Royal Society, Interface.2014;11(93):20131188
ただこれらの文献は静止位での足部内在筋と内側縦アーチの関係性をみたものであるため、歩行時ではないというのがポイントであると思います。
その他の組織を考えると動的な部分に関わっているのは
バネ靭帯
長・短足底靭帯
足底腱膜
が挙げられます。
ただどちらが必要とか必要ないとかそういうことではなく、どちらも重要であると思います。
内在筋、外在筋、その他の組織どれが欠けても内側縦アーチを支持することは難しいと思います。
歩行においての内在筋の役割はアーチの低下のタイミングをコントロールすることで、そうすることよって足底腱膜や靭帯への過剰な負荷をさけているのではないかと考えます。
○外側縦アーチ
外側縦アーチは結構軽視されがちですが、三脚の構造で考えてみてください。1つでもアーチが崩れれば他の2つも破綻しますよね?というか立ってられない?
外側縦アーチが崩れると、内側縦アーチや横アーチが潰れちゃう可能性があります。
扁平足だから内側縦アーチ、開帳足だから横アーチとかではなく、3つのアーチを複合的にみていくのが大切なんす。
外側縦アーチは動的な支持として
小指外転筋
長・短腓骨筋
があります。
小指外転筋
長腓骨筋は
さらに静的な支持として
・前距腓靭帯
・踵腓靭帯
・二分靭帯
・背側踵立方靭帯
・長・短足底靭帯
があります。
これを考えると捻挫で前距腓靭帯や踵腓靭帯を損傷した場合外側縦アーチは破綻すると考えることができます。
外側縦アーチはアーチパッドで補正すると浮き趾が改善したとか、歩行時の推進力が増加したという話もありますので、外側縦アーチに着目してみると結構面白いと思います。
阿部真典 外側縦アーチパッドが足趾に及ぼす効果
新潟医療福祉会誌 15(2)2・7 2015
大山貴裕ら 外側縦アーチパッド付加による歩行の変化
靴の医学 19(2): 37-40 2005
○横アーチ
足の剛性に関して縦アーチの研究は多くなされており、剛性の約25%は縦アーチが担っているとされています。
新しい研究でより顕著な横アーチが、剛性が高いということが判明しました。(ここでいう横アーチはおそらく中足部)
より顕著な横アーチを備えたプラスチックモデルでは、より平坦な足のモデルよりも剛性が高く、曲げの影響を受けにくい
(Natureに発表された研究 マヘッシュ・バンディ 沖縄科学技術大学院大学)
横アーチ中足骨頭レベルは
第 1 中足骨頭,第 2~5 中足骨頭からなり,第 2 中足骨頭を頂点とする.
この 部分は足指の配列を整え,中足骨頭部での荷重に深く関 わりをもつ.
歩行の立脚後期には主として前足部での体 重支持と蹴りだしが要求されるので,前足部横アーチが 崩れやすいと中足骨頭部での荷重が大きくなり,胼胝形成や痛みなどが生じやすいです。
2.歩行時の足部
歩行時の内側縦アーチの役割として有名なのがトラス、ウィンドラス機構ですね。この2つはセットで考えましょう。
トラス構造
トラス構造とは立脚初期から中期に足部接地時の衝撃緩衝に作用し、立脚中期に荷重分散を担っています。この作用は足底腱膜が遠心的に作用することにより、アーチがゆっくりつぶれていくことによって起こります。
そのため、トラス構造を働かせるには
・アーチ構造が成り立っている
・足底腱膜の適切な柔軟性がある
・距骨下関節と横足根関節の回内、足根中足関節の背屈
が必要になってきます。
アーチ構造が最初からつぶれていたら、ゆっくりつぶれることはできませんし、足底腱膜が伸張されないとアーチがつぶれていけません。そして足底腱膜が伸張していけるような骨関節の動きも必要ですよね。
ウィンドラス機構
ウィンドラス機構(巻き上げ)とは足趾背屈した際に足底腱膜が緊張し、内側縦アーチを挙上することにより、足部の剛性を高め蹴りだしにおける推進力を確保します。
ですが内側縦アーチだけでなく外側縦アーチや横アーチも成り立っていないとこの機構は弱くなると考えています。
当然このウィンドラス機構はトラス構造があることが前提となります。
足部の剛性について
足部は歩行時にrigid(剛性が高い)な状態とflexible(剛性が低い)な状態を繰り返して、荷重の分散と力の伝達を巧妙におこなっています。
まず踵接地の直前にrigidな状態を作り、踵接地の衝撃を緩衝します。踵接地後に徐々にflexibleな状態になり、トラス構造によって荷重圧を分散する。その後再びrigidな状態となって蹴りだしの動力を前足部に伝えます。
このrigidとflexibleな状態をコントロールをしているのが後脛骨筋といわれています。
後脛骨筋が機能不全を起こすと衝撃緩衝ができない、荷重圧の分散ができない、蹴りだしができなくなると考えると重要な要素ですよね。
また後脛骨筋と対称にあり、足底でスリングを作っている長腓骨筋も同様にチェックしておきたいところです。
足部がrigidであるかflexibleであるかは、入谷式足底板の考え方でいくと距骨下関節の回内か回外かで決まります。
距骨下関節の回外では足部の剛性が高くなり、回内では剛性が低くなるとされています。
入谷式足底板基礎編
なぜそうなるのかを考えてみましょう。
足部において距舟関節・踵立方関節(ショパール関節)は鞍関節でありこの2つの運動軸が直交するとショパール関節はロックされ、rigidな足となり、逆に平行になるとショパール関節はロックは解除されflexibleな足にになる。つまり、距骨の動きで二つの関節の関係性が変わるというのは言うまでもない。
ただそう考えると前・中足部の問題も考慮すべきだと思う。とういうのも舟状骨と、立方骨のアライメントもこれに関わるからです。
この考えかたで重要になってくるのが先ほど書いた後脛骨筋と長腓骨筋です!!ドンッ!!
後脛骨筋は脛腓骨、下腿骨間膜に起始し、舟状骨・楔状骨・立方骨・第2・3・4中足骨に停止する。長腓骨筋は脛腓骨に起始し、内側楔状骨・第1中足骨に停止する。この両筋は足底で交差しスリングを形成する。
つまり中足部のアライメントを調整していると考えられます。
あくまでスリングなので引っ張り合いではなく、どちらも機能していることが横アーチの形成に関わり、rigid・flexibleのコントロールをしていると考えましょう。
長腓骨筋を牽引することによって横アーチが高まる。その作用が後脛骨筋の牽引が伴うと強まる。
(足アーチ構造の機能 , 橋本健史 Jounal of the Keio Medical Society Vol81 2004.3 17-21)
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