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033 [教える技術] スライドからマップへ

授業や研修、また講演でスライドを提示しながら進める人は多いでしょう。今回は、スライドを提示しながら話をすることの効用について紹介したあと、スライドをマインドマップ形式に変更することでどのような効果が生まれたのかということについてお話しします。

スライドを作って話をしよう

挨拶などの短いスピーチではスライドを使う必要はありません。しかし、それ以上の長さのなんらかの構造を持った話をする場合は、可能な限りスライドを使うことをお勧めします。スライドには次のような効用があります。

1. 話し手の台本となる
2. 聞き手のマップとなる
3. 話した内容の資料として残る

1. 話し手の台本となる

まず、スライドは話し手の台本として使えます。ある程度の長さの話の流れを頭の中に記憶することは負担がかかります。つい、次に話す内容を忘れてしまうこともあります。そういうときは、スライドを見ればいいのです。スライドに次に何を話すべきかというヒントが書いてあります。スライドを作っておけば、話し手は記憶の負担から解放されて、のびのびと話をすることができます。

2. 聞き手のマップとなる

次に、スライドは聞き手にとっても効用があります。話を理解するために役に立つマップとして機能するからです。話し手の方は、自分の話の流れと構造がわかっていますが、聞き手は話が終わるまではそれを知ることができません。しかし、スライドによって常に全体のどこの部分を話しているのかということを視覚的に示しておけば、それは聞き手にとっての「話の地図」として助けになります。「今、話していることは全体の中のこの部分だな」ということがわかっているので安心して聞くことができるのです。

逆に、スライドに書いていないことを話しているとすれば、「これは脱線した話だな。あるいは今思いついた話だな」ということがわかります。講演では、脱線した話や余談の方が面白いことがしばしばありますが、余談であるということを示すマーカーとしてもスライドは役に立つのです。

3. 話した内容の資料として残る

最後に、スライドをまとめて資料として配付すれば、それは聞き手の手元に残ります。それはのちに資料として役立つかもしれませんし、また話の内容を思い出すためのきっかけとなるかもしれません。ですので、スライド資料を印刷して配付することをお勧めします。

スライド資料を配付するとき、話の前に配ってしまうのが良いのか、あるいは話が終わったあとに配るのが良いのかという問題があります。私は、話の前に配ってしまうことをお勧めします。自分の話が「ネタバレ」してしまうことを嫌う話し手もいるでしょうけれども、その「ネタ」がよほど面白いものでない限り、バレてしまっても問題はありません。

逆に、スライド資料が事前に手元にあれば、聞き手はその内容を予習することができますので、それは話への集中力を高めるものとなるでしょう。資料が手元にない場合は、話し手はウォーミングアップとしての導入の話をする必要がありますが、資料が事前に配付されていれば、「前置きなしに」本題に入っても大丈夫です。

ブック形式のスライド資料を先渡しする

私のセミナーでは、スライド資料は先渡しです。その資料もホチキスどめではなくて、中綴じ形式のブックレットです。スライドの並べ方は、Keynoteではスタンダードな、ページ左には、縦にスライドを並べて、ページ右には、ノートが取れるスペースを罫線付きで置きます。

こんな感じです。

ブック形式のスライド資料

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