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027 [おとなの研究] S-C-Qモデルで研究の導入部を書く

研究論文に限らず、どんな文章でもその書き出しが大切です。すべての読者はまず文章の書き出しの部分を読んで、その先を読むかどうかを決めるからです。書き出しで、文章全体の意図を伝えることに失敗すると、そのあとどんなに素晴らしいことが書いてあっても読まれずに終わってしまいます。

それほど重要な書き出しの部分は「導入 Introduction」と呼ばれています。導入には「はじめに」や「まえがき」、「序論」といった見出しが付けられています。今回は、文章の導入部分の書き方について実例を挙げて説明します。

・「まえがき」を書くのは難しい

文章を書くのは何か伝えたいことがあるからです。これを「主張 Claim」と呼びます。たとえば今あなたが読んでいるこの文章で、私が主張したいことは「まえがきはS-C-Qモデルで書くといいですよ」ということです。しかし、この主張をいきなり書いても、読み手はなんのことだかわかりません。ですので、この主張に導くための「導入 Introduction」つまり「まえがき」が必要です。

文章の出だしである「まえがき」を書くのに苦労する人はたくさんいます。ワープロを開いて白いページを見たとたんに頭が白くなってしまうという人もいるでしょう。最初の文が浮かんでこないのです。このように文章の出だしをどういうふうに始めるかで悩んでしまうと、なかなか先に進みません。

・導入を書くための「型」

そういうときには、文章の出だしはいつもこういう「型」で始めると決めておくことが助けになります。そうすれば、悩むことなく書き出していくことができます。その「型」のひとつが、バーバラ・ミント(『考える技術・書く技術』ダイヤモンド社, 1999) が提案している「状況・焦点化・問い」モデル(Situation-Complication-Question Model=S-C-Qモデル )です。このモデルは非常に応用範囲が広いので身につけておく価値があります。

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