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アドラー心理学はじめの一歩/アドラー心理学を実践する

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アドラー心理学を理論と実践の両側面から学んでいきます。質疑応答やワークも含めて再現されていますので、分かりやすく学ぶことができます。第1部「アドラー心理学はじめの一歩」と第2部「…
読んで学ぶアドラー心理学です。アドラー心理学の基本理論から始めて、どのように実践すれば良いかを学び…
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2020年9月の記事一覧

[コラム1-1] 100年を経たアドラー心理学を21世紀の私たちがどうとらえるか

アドラー心理学は、ベストセラー『嫌われる勇気』によって広く知られ、コミックでも読まれ、テレビドラマにもなり、さまざまなセミナーで「アドラー流」や「アドラーに基づく」とタイトルで使われるに至りました。その背景には、フレーズとして切り出してきただけでも斬新なものとなるアドラー心理学独特の考え方と理論があるからでしょう。 確かに、「あなたの人生はあなた自身が決める」や「過去は変えられない。未来を見よう」や「他者に貢献することが幸せにつながる」と言ったフレーズはインスタントに勇気を

[コラム1-2] 幸福の7つの要因「ビッグ・セブン」

今回は「幸福の経済学」について書きます。 リチャード・レイヤード、デイヴィッド・M. クラーク『心理療法がひらく未来――エビデンスにもとづく幸福改革』の紹介記事の中でこう書かれていました。 最近ではレイヤードは「幸福の経済学」の提唱者として知られる。幸福は主観的なものではあるが、客観的に幸福の社会学的要因を分析することもできる。2005年に出版した『幸福――新しい科学からのレッスン』(未邦訳)という本は世界20カ国で翻訳されたが、そのなかでレイヤードは、実証研究にもとづい

[質問01] アドラーはどのように目的論に至ったのか?

質問 (2020/09/15) 目的論が好きです。どんなときでも理論に破綻がないように思えるからです。アドラーはどのような経緯でこの考えに至ったのでしょうか。 回答 質問ありがとうございます。アドラーの理論について一段深く知るためには、アンスバッハー&アンスバッハー編集による『アルフレッド・アドラーの個人心理学』(頭文字をとって通称IPAA)を参照するのがお勧めです。 この本はAmazonでも品切れになっていることが多いです。たまにマーケットプレイスに流れますので、高

[コラム5.2] ネガティブ感情は注意を集中して問題を解決しようとする

Fredrickson の「ポジティブ感情の拡大-構築理論 (broaden-and-build theory) によると、 ポジティブ感情は、その時々の思考-行動レパートリーを広げ、個人の資源を高めます。 今回はその反対であるネガティブ感情の働きについて書きたいと思います。 感情や気分(mood)を簡便に測定するための質問紙としてよく使われるものにPANASがあります。この質問紙は、佐藤・安田(2001)によって日本語化されています。 これによると「びくびくした、心配

[コラム5.3] 「不安」を利用して自分を訓練する

不安やイライラするというようなネガティブ感情は、「そこに問題がある」ということを私たちに知らせてくれます。そうすると私たちは、それを解決しようとして、注意の資源(注意力)をそこに集中します。このようにして、その問題をなんとか乗り切ろうというわけです。 ネガティブ感情は「何か問題がある」ということを知らせてくれるので、それ自体では悪いものではありません。問題は、注意をそこに集中しすぎてしまうので、しばしばまずい対応になってしまうことです。怒りのあまり、言わなくてもいいことまで