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法制審議会家族法制部会第7回議事録7~武田委員・棚村委員・池田委員

12月になってる驚き

そして、飛び込んできた、国際問題に衝撃を受けつつ、議事録読んでいく


○武田委員 

すみません,このパートで,最後にちょっと述べさせていただきます。
 柿本先生から,いきなり私に連絡があったということに対するコメントありましたけれども,事実を申し上げますと「2年ぶりぐらいにいきなり連絡があった」です。常日頃コミュニケーションがあったわけではありません。話したことはないですけれども,妻が恐らく思っていたのは,夫婦関係は夫婦関係,今でも多分,妻は私のこと大嫌いです。ただ,「この男は,子どもが困難になった時に,決して子どもを見放すことはない」,多分こういった理由から連絡してきたと,私自身は理解をしています。
 今日,余り細かい話,個別の医療行為どうだとかという話が余り出なかったんですけれども,恐らく個別に,棚村先生がおっしゃったように,迅速性,重要性,相反する関係を整理していくということかなと思います。ただ,根本にあるのは,例えば,医療行為の話でいいますと,生命に,もう一刻を争う手術の判断が必要と,法的にそれが法定代理になるかどうか,私は存じ上げませんけれども,それって,私,婚姻時の共同親権状態と同じだと思うんですよね。多分そういう状態というのは,いつなるか分からない。そのときにつかまる親が判断するんでしょう。それは,主たる決定権者とかという考えに,多分そぐわないと思います。恐らく生命に関わるような話であれば,そういうふうに整理するんだろうなと,思います。
 そのほか,例えば,実は今日,細かく紹介しなかったですけれども,冒頭紹介しました米国の同意事例,あれ,実は歯医者とか入っているんですよ。歯医者,あとサイコロジストとかも入っていましたね。基本的に,私,そこは主たる監護側の決定でいいと思っています。多分,そういうところを個別に,いろいろな考え方があると思いますので,ケースごとに抽出していくと形が見えていくのではないかなと,そんなふうに感じております。
 最後,ちょっと少しだけ,資料6のテーマだと外れるんですけれども,いろいろな子の決定に関しての御意見が出ましたので,この子と離れて暮らす親が,現行法に対してどう思っているのかと。これは後々アンケートを取ろうと思っていますが,恐らくこの決定権が欲しい,拒否権を発動したい,おそらく極めて少数だと思います。これは追って,この法制審の会議が行われている間に別途,我々累計2,000人弱の会員がおりますので,そこから集計を取りたいと思います。
 こういう離れて暮らす側の立場で言わせていただきますと,やはり民法819条により離婚後親でなくなる,ここが根本的につらいと思っています。法的には,親権がなくなっても父母であるではないかとか,又は,扶養義務の規定はきちんとあるではないかとか,そういう御意見,指摘もあろうかと思いますが,いわゆる世間様からはそう見られません。ずっと接触がなく,数か月や数年,そういった場合,学校へ行くんですね。それって,情報というより元気かどうか知りたい,きちんと学校へ行っているのか,知りたい。でも,学校へ行ったら,私みたいにいきなり不登校の事実を知らされたりします。知らされないケースも往々にしてあります。そうした場合,学校からは,「あなたは親でないので教えられない」と言われます。これ,議論になった子の重要決定に関わり得る情報ということかなと思います。
 教育基本法第10条ですかね,「父母その他の保護者は,子の教育について第一義的責任を有する」という規定があります。こういう規定がありますが,今の法体系による解釈は,子と離れて暮らす親は,教育基本法で言われる父母その他保護者ではありません。これが現実です。運用は学校長に一任されているということなので,一概には言えませんけれども,離婚後はまだ「親権者でない,親でない」と言われるのも少しは分かります。しかしながら,離婚前の別居状態でも,やはり「親でないので答えられない」と言われること,往々にしてあります。私は,幸いかな,不登校になった事実も分かりましたけれども,学校からは一切情報がなく,不登校の事実がわかったなどの報告を多く受けております。「離婚後のみならず別居後ももはや親ではない」,繰り返しになりますが,これが現実でございます
 このような事実に直面して,我々,私の後ろにいる当事者の皆さんとか,理解を示してくれる弁護士先生からは,親でないのに一度も子どもの姿を見ることもできないのに,なぜ養育費を払うのかと,やはりそういう素朴な声が出てまいります。我々は子どものためだということで払うように話しますけれども,やはりそういう声も理解できるところでございます。更に申し上げると,これ,具体的に子と離れて暮らす,更にその親ですね。私からいうと,私の父,母ですね。大体みんな言われます,「もう子どものことは忘れて,再婚して新しい家庭を築きなさい」と言われます。再婚の是非,これは個人の自由なので,再婚の是非は別にしまして,実の子ども存在を忘れるということが,子どもの福祉に本当に資するのかと疑問に思いますこの考え方,やはり819条の規定,家制度から連なるこういった文化,温存している要因ではなかろうかと,そんなふうに思っております。
 今回この議論では,ここのところはテーマに挙がりませんでしたけれども,前回申し上げたとおり,また二巡目以降,タイミングは分かりませんけれども,監護の分担,親権概念,親権名称,こういった議論の際に,改めてこの辺りのところも議論できる機会を頂ければなと思います。
 すみません,最後余計なことを申し上げましたが,以上でございます。
○大村部会長 ありがとうございました。御自身の経験について補足された点を除きますと,この先の議論の仕方に関する御意見と,それから非監護親が望むことについての御認識を御披露いただいたと理解いたしました。また,最後の点につきましては,この先の個別の問題について議論する際に,御発言を頂ければと思います。
 それでは,よろしいでしょうか。次の第5に進ませていただきたいと思いますが,第5の父母の双方が重要決定事項について決定責任を負う場合の関与の態様,18ページ以下ですが,既に皆様の御発言の中に出ておりますので,ここの部分について,更に加えて御発言があるという方は,御発言を頂くと形で進めさせていただきたいと思います。何かありましたら,御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。

○棚村委員

 早稲田大学,棚村です。
 先ほども重要事項,それから日常的事項,随時事項という分類自体は,整理する上で重要ですけれども,やはり迅速な決定とか,そういう緊急的な決定というのは,ある程度優先せざるを得ないだろうというお話をさせていただきました。御提案のように,重要事項で決定する場合の関与で,緩やかな規律というのは,19ページにあるように相手方への通知ということで,主たる決定者が決めるのだけれども,通知でいいということになっています。それから,中間的な規律がこういうような形で,事前にやはり協議とか通知をして話し合わなければいけないのだけれども,話し合いが整わなければこういうような形でやりますという案になっています。それで,最後は強い規律といって,子どもの利益を害するというキーワードになっていますけれども,それを除けば,やはり合意でかなり決めなければいけないし,合意ができなければ裁判所が関与するとなっています。この3分類も,先ほどから言うように,一つの目安として提案をしていただいて,議論のためのたたき台と理解をしています。ですから,この組合せも,内容によって具体的な事項ごとにさらにバリエーションがあるだろうなという理解でおります。私からは,ちょっと質問ですけれども,そういう理解でよろしいでしょうか。
○北村幹事 事務局でございます。
 今,棚村委員の方から御指摘あったように,飽くまでもこちらはたたき台でございまして,お示しした上で,様々な御議論をいただければと思っております。


○棚村委員

 ありがとうございます。一応,質問と確認ということでさせていただきました。そうでないと,何か最後は中間の規律や制度でいいのかなという話になってしまうのではないかと危惧した次第です。先ほどから述べさせていただいておりますように,私としましては,事項によって,それから,子どもによって重要度とか切迫度とか,いろいろなものを組み合わせていくと,父母にどこまで関与してもらい,どういうふうに,最終的には,意見が合わないときには誰がどんな基準で決めるかということも非常に重要だと思いますので,一応目安ということで受け止めたいと思います。もちろん,個々にいろいろな問題を想定しながら具体的な議論をしていくと,場合によっては,これは緩やかなもので本当はいいのではないか,これはむしろしっかりとした厳しい規律やルール,場合によっては,後で違反の場合も出てきますけれども,親権者としての適格性を疑われるという場合もあるかもしれません。ですから,子どもの問題についてはいろいろバリエーションがあって,一律で固定的に考えないで議論をさせていただければというのが意見です。
○大村部会長 ありがとうございました。19ページに出ている規律についてのモデルのようなものについて,どういう性質かということを御確認いただいたと理解をいたしました。
 事務当局からお話がありましたが,先ほどの決定事項の分類にしましても,決定方法のこの分類にしましても,たたき台として出されているものであると受け止めています。組み合わせて議論することも必要でしょうし,最後に,それに基づいてより分かりやすい整理をすることも必要だろうと思って,伺っておりました。
 第5の部分につきまして,ほかに御発言ございませんでしょうか。


○池田委員 

弁護士の池田です。
 どの重要事項によってかということで,この規律の種類というのが変わってくるということもあり得るかなと考えています。例えば,生命に関わる医療,武田委員は先ほど,それは誰かが決定,どちらかに決定責任を最初から決めておくというのはふさわしくないとおっしゃったところですけれども,仮にそこを双方で決定するという形にしたときに,比較的時間の余裕があるような場合だとすると,例えば,③のような規律,強い規律を採るということもあり得るかもしれないなと思います。
 それに対して,進学などのことについて言えば,非常に長い経過があると,双方でここという局面で何か決定するということもふさわしくないのかもしれませんので,一定の協議が可能になるように,事前の通知をするという形で,協議がその後行われていくという前提で,①のバリエーションですけれども,そのような形を採るということも考えられるかなと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。先ほど話題になった決定事項について,重要決定事項であると分類されていても,事柄の性質によって,どのような決定方式を採るのかというのは違ってくることがある,そういうことも含めて議論はすべきだという御意見を頂きました。


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