3月の推奨香木は、久々に「甘」を特徴的に具える真南蛮♫

すでに公開済みの真南蛮のうち、元々の塊が2.5㎏を超えていた「仮銘 白雲」や、「仮銘 惜しむ心」・「仮銘 木の間」と一緒に某藩の家老職の家柄から手付かずの一木で無銘のまま見つかった「仮銘 朧月夜」は、まだまだ安定して分木が可能ですが、香気の特徴は、いずれも「さほど甘味を感じさせるタイプではない」と言えます。
どちらかと言えば「鹹」が目立ち、「甘」は中ほど以降に控え目に出て来るように思えます。

3月に推奨したい香木は、古木と言い切れる材料は見つかっていないものの樹脂化の度合いは進んでおり朽ちた内部に滲み出るほどで、堂々とした貫禄さえ感じさせます。
一方で、その香気は柔和な穏やかさをも持ち合わせて優雅さを発揮します。

輸入される以前に念入りに掃除されたと思われる綺麗な木肌です
内部は朽ちて無くなっており、一部に樹脂の滲出痕が見られます
全体的に高度に樹脂化を遂げており、極めて無駄が無い塊です

立ち始めから「甘」を優しく放ち、心身を温めてくれるようにさえ感じさせてくれる稀有な真南蛮として、「仮銘 苑の朝風」を推奨します。
いわゆる「シャム沈香」が具える「甘」でも真那賀のそれとは微妙に異なる絶妙な味わいを、ぜひお愉しみ下さいませ。

この時季の京都御苑に一斉に咲き誇る紅・白の梅林をそぞろ歩いた記憶から
次の和歌を探し出し、仮銘を採らせていただきました。

こころおそき花の木ごとに梅が香の春をつたふる苑の朝風  (橘千蔭)  




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