見出し画像

映画『ミッドサマー』被害者の会 活動報告

何より先に申し上げておくが、今回の出来事の大半は私の体調管理が出来ていなかったことに起因するので、映画自体や、Twitterで大喜利をしていた人たちには罪はない。本当に。恨んでないし、大丈夫。大丈夫………。ぜんぜん大丈夫。

ミッドサマーを見た。そして、過換気症候群で倒れて救急車で運ばれてしまった。

実を言うとこの症状で運ばれたのは今回が初めてではない。だから、予兆があった時にもあぁまたコレかと多少余裕を持てたのだが、この余裕が良くなかった。

私は映画が大好きだ。新作、旧作、外画、邦画、基本的になんでもござれで、映画館で見るのが大好きだ。ただし、ホラー映画を除いては。

ミッドサマーもその話題性から、なんとなく見ておくかくらいの軽い気持ちだった。Twitterでは公開から連日取り沙汰されているし、感想やネタバレのイラストなどをよく流し見ていた。

見る麻薬?山田上田が参戦?お祭り男のアカーン?セラピー映画?
なぁんだ、全然ホラー映画じゃないんだ。

「私でも見れるやつだ!」

その判断が全ての間違いだった…。



以下、ほんのりとネタバレを含むので未見の方は注意してほしい。


まず、主人公がめちゃくちゃ鬱だった。状況的にも鬱だし、胸糞悪い。ここからのスタートかよと正直この時点で後悔する。
そして最高にマズかったのは、この映画が「見たくないものをご丁寧に見せてくれる映画」だったということだ。私が見てきた映画であれば、そういう音だけ、グロテスクなものを見て叫ぶ主人公の顔だけ、そんな描写が多かったように思う。
しかし、ミッドサマーは全部見せるのだ。本当に全部。しかもたっぷりと時間を使って。

そんなにご丁寧に説明されなくたって!!痛いとか!!!不気味とか!!!!死んだとか!!!!!分かるから!!!!!!!本当にさぁ!!!!!!!

視覚的な情報というのはやっぱり強烈だ。

ホラー映画って、くるぞ…くるぞ……みたいなタイミングがなんとなく音楽とかで探知できたりする。この映画には親切な炭鉱のカナリアはいなかった。前触れもなくいきなりスクリーンいっぱいのグロ画像を見せられる。しかも、いつ出されるか分からない。これが本当に堪えた。

ではずっと目を閉じてればオッケーかと言われるとそうでもない。効果音や音楽が全部「少し不安になる」状態が続くやつだった。少し不安、少し不気味、あれ?もう大丈夫?やっぱダメだった、そんな時間の連続である。
思い返せば2時間極度の緊張状態であったと思う。
終わる頃には息が荒かった。

ここで少し休憩を取れば良かったのだが、前述の通り経験済みだから対処できるだろうという浅はかな余裕と、周りに迷惑をかけてはいけないという気持ちから家路を急いだ。
結局多大な迷惑をかけることになったのだが…

劇場から家までおよそ30分。
自宅の最寄りまであと5駅ほどだったと思う(正確には記憶していない。)

ここまでなんとか誤魔化してきた呼吸が最高潮に荒くなり、手足が痺れてて完全に感覚が無くなってしまった。完全無感覚ドリーマーである。(?)
なんとかその駅で降りると、車内から気にかけてくださっていたであろう数名の方が介抱してくださった。
ここから記憶が曖昧だが、ただただ息が出来なくて全身が痛いくらい硬直して寒くて怖くて申し訳なくて、謝りながら息をすることに徹していた気がする。
遅い時間で駅員さんがいなかったので通りすがりのサラリーマンらしき人が救急車を呼んでくれた。
ここで2、3受け答えをした気がする。

それから気が付けば病院のベッドの上で吐いていた。酸素が無くなると頭は痛いし吐き気はするしで、本当に最悪だ。みんなも酸素に感謝して生きてほしい。

運び込まれてから2時間程で立ち上がれるくらいには回復したが、まだ手足が痺れて辛い。
翌日も予定があるし終電も近い。頑張って帰ってしまおうとするがその道中でも何度か危うい瞬間があった。
呼吸をゆっくりすることでしか改善されないとの言葉を信じ、じっくり吸って吐いてみるが帰宅後も3時間は手が痺れたままだった。
人間ってのは存外簡単に死ねるもんだと感じた。

一人暮らしなので面倒を見てくれる人間もおらず、友人に報告すると爆笑されてしまったが、それがかえってありがたかった。
映画を見て運ばれるような大迷惑な奴は、いっそ盛大に笑ってもらうことでしか救われない。

以上、倒れた翌日に大急ぎで書き留めたものである。

これから観賞する上でホラー、グロ耐性のない人は次の事項を守ると私に約束してほしい。
これら全てを無視して搬送された女からの忠告である。

①前日に睡眠をしっかり取る

②バランスの良い食事を取ってから見る

③観賞後に食事の予定を入れない

④一人で見に行かない

⑤連続で映画を見ない

⑥マズいと思ったら退場する

ちなみにこの日ミッドサマーの前に見たパラサイトは非常に良かった。よく考えれば陰鬱な映画二本立てである。もう少し計画性のある人生にしていこう。私は刹那的に生きすぎている。

そんな人生への思索までも可能にする映画、ミッドサマー。
見るなとは言えないが、見なくても良い映画である。
振り返ってみれば「被害者の会」なんて言いつつ悪いのは私だったので本当に作品自体は何も悪くはない。

出来れば一緒に笑い飛ばしてほしい。そしてまた明日からハッピー映画ライフを送りましょう。
健康第一ですね。それでは、ご自愛ください。