【川柳】盗泉(30句)

コーヒーにとけるつもりで家を出た

娘時代のトーマス・エジソン

特異日が再現された窓ガラス

不審者を見かけるだけの一生だ

小学校まがいの星に近づいた

そっくりな男の髪が伸びている

奥行きに見覚えがある深海魚

くちびるを駐車場にも書きました

要点を磯の香りで伝えたい

坊さんにまたがるように馬に乗れ

銃身がきみの手紙を出し渋る

花園に反撃されて泣き寝入り

先進国首脳会議が借りにきた

福笑いどうしで話し合ってくれ

純粋に五叉路であって苦しいよ

一端を担っているが焦げている

かにみそと三度唱えて手放した

大袈裟にはこばれてくる北極星

潮騒をあなたの声で聴いている

物語がみんな似ていて木の葉柄

ほどくときこすれるリボンうそだから

草餅のカースタントのある映画

忽然と消えたかどうか聞いてくる

カーテンを抱え一人ずつの太陽

王様が刺さった枝を抜いてくれ

四年後も金魚鉢だと言えるのか

歯ぎしりが降らせてしまう紙吹雪

いい音のする乗り物で来てほしい

しあわせだし灰皿に何もかも映る

すったもんだあって中二階の泉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?