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「福岡市 教師によるいじめ」でっちあげ事件報道検証 4~完全にでっちあげの小学校教師のマルチ商品勧誘

デタラメな事実で小学校教師の懲戒免職が当然であると主張する西岡研介さんの記事

 週刊文春に掲載された西岡研介さんのデマ記事は、ろくに取材をしていない結果導かれた事実をもとに次のように主張します。なお、記事において西岡研介さんは小学校教師の実名を記載していますが、このnoteでは「X」と替えて記載します。

 X教諭が担任を外された二カ月後の八月二十二日、事件を調査していた福岡市教委は、全国で初めて「教師によるいじめ」の事実を認定。X教諭に対して懲戒処分を下した。ところが、その処分内容は驚くほど甘いものだった。地元の市教委担当記者が語る。
「処分は『停職六カ月』。つまりXは、来年二月末には復帰する。市教委は『直ちに教育現場に戻すわけではない』というが、二月末からは彼に我々の血税が払われるんです。
 また市教委幹部は『懲戒処分に次ぐ重い処分』などと胸を張っているが、本来、子供を守るべき教師が、子供をあれほどまでに虐待し、なぜ懲戒免職にならないのか。
 またXは、事件発覚直後のA校の内部調査に対して体罰の事実を認め、臨時保護者会でも『いじめだった』と認めていたにもかかわらず、市教委の調査には一転して否認を続けている。
 市教委はXを担任から外した後、『市教育センターで研修させ、今まで自分のやってきた事を振り返ってもらっている』などとヌルいことを言っているが、自分の罪も認めないような輩が一体、何を振り返り、何を反省するのか」
 この処分内容について、小誌も市教委を質したところ「保護者の証言を得、他の児童の聞き取りをしながら、事実認定を進めたが、確認ができない部分も多くあるので、懲戒免職ではなく、停職六カ月が相当と判断した」という。
 教師が児童を、自殺寸前に追い込むまで虐待した事実だけでは、懲戒処分には不十分とでもいうのだろうか。

「死に方教えたろか」と教え子を恫喝した事情最悪の「殺人教師」(週刊文春2003年10月9日号)

 この記事を見て感じるのは、西岡研介さんの社会経験の無さです。公務員の停職6月は退職勧告であると言われています。その理由は、停職期間は給与が支払われることがないうえに、この小学校教師は、副業禁止の規定に基づき、6か月無収入で生きていかなければならないからです。週刊文春の記者として安定した収入を得て、権力など持っていない市井の人である小学校教師にまともな取材を行うこともなく誹謗中傷して何の制裁も受けることがない西岡研介さんには想像もつかないと思いますが、この小学校教師は6か月無給という理不尽な懲戒処分に対して血の涙を流すような思いをして耐え、民事訴訟で名誉を回復した上で、懲戒処分を撤回させたのです。それは、真実を書くというジャーナリズムの鉄則をねじ曲げる西岡研介さんのようないい加減な仕事への思いとは正反対の、とにかく教壇に戻って児童への教育に携わりたいという小学校教師の真摯な思いが根底にあったものと思います。そして、停職6月がどれほど重い処分であるかがわかっていれば、西岡研介さんのように軽々しく懲戒免職にすべきであるなどと言えないはずですし、当時週刊文春編集部と西岡研介さんとの間に雇用関係があったとすれば懲戒免職となるべきは西岡研介さんであったのではないかと私は思います。

小学校教師が「ネットワークビジネス」を行っていたというデマを書いた西岡研介さん

 西岡研介さんが書いたデマは、小学校教師が児童をいじめたり虐待していたりしたというものに留まりませんでした。禁止されている副業、それも「ネットワークビジネス」と称されるマルチ商法を営んでいたというデマを週刊文春に掲載したのです。

 ならばもう一つ、この「X」という人物に、教育者としての資質がかけらもないという”証拠”をお見せしよう。
 なんとX教諭は教師という立場を利用して、保護者らを対象に”副業”を営んでいたというのだ。X教諭の「副業の被害にあった」というA校の保護者が証言する。
「X先生は二、三年前からダイエット食品などアメリカの商品を扱う『ネットワークビジネス』を始めたそうです。
 名目上はX先生の奥さんが販売していることになっているのですが、実際に保護者に薦めるのはX先生本人。ネットワークビジネスといっても、『子』を増やしていくネズミ講まがいのもので、X先生から勧誘された保護者は数えきれないほどです。
 またそのやり方が強引で、保護者に直接電話して勧誘したり、車で保護者を家まで迎えに行ってセミナーに送り届けたり、果ては子供に対し『君のお母さんは太っているので、このままだといつ死ぬか分からない。先生の薦めるダイエット食品を飲んだほうがいい』などという脅迫まがいの勧誘をしていたとも聞きます。
 これらのX先生の強引な勧誘にはさすがに保護者からも苦情が出て、A校の前校長、前教頭から何回も注意をされたにもかかわらず、止めようとはしませんでした。
 アメリカ人に対する差別意識を振りかざす輩が、その国の会社のネットワークビジネスに嵌っているとは笑止千万だが、この保護者の中には今も、五、六年生の保護者を中心に二十人近くの、X先生の「子」がいるという。
「X先生の問題が発覚した直後、一部の保護者の間で、X先生の職場復帰などを求める署名を市教委に提出しようという動きがあったのですが、呼びかけの中心メンバーがX先生の『子』の保護者だったんです」(前出・保護者)
 教師も教師なら保護者も保護者・・・。開いた口がふさがらないとはこのことだが、この件について福岡市教委は『ダイエット食品の販売は妻名義で行っており、妻の仕事を手伝っているだけで、自分は販売していない』と答えたため、(公務員の兼業を禁止する)地方公務員法には抵触しないと判断した」と答えた。
 しかしX教諭は、なんと『停職六カ月』の処分を受けた後も、ネットワークビジネスの「子」である保護者宅でダイエット食品のセミナーを行っているというから驚く。
「X先生が処分を受けた約二週間後の九月初めのことでした。A校近くのマンションの傍にX先生のマイカーが路上駐車してあったのを複数の保護者が見ています。
 それでX先生の『子』の保護者に聞いてみると、その日はこのマンションに住む『子』の自宅で『お茶会』名目でダイエット食品のセミナーが開かれたというのです。
 司会はなんと、X先生本人。これだけを見ても、X先生が全く反省していないことは明らか」(前出・保護者)

「死に方教えたろか」と教え子を恫喝した史上最悪の「殺人教師」(週刊文春2003年10月9日号)

 そして、週刊文春のデマ記事に疑問を呈する日本テレビ「ザ・ワイド」やテレビ朝日「スーパーモーニング」への批判記事においても次のように書いています。

 小誌十月九日号が報じた史上最悪の「殺人教師」ことX教諭(46)が遂に提訴された。壮絶ないじめを受け、今なお深刻なPTSDに苦しむ九歳の児童を励まそうと五百人以上の弁護士が原告代理人に名を連ねたが、対するX教諭は、福岡市教委が下した大甘処分すら不服として申し立てを行い、さらにはこの「殺人教師」を擁護するテレビ局まで出てきた。

 その一つが、十月十三日に放映された日本テレビの「ザ・ワイド」。番組の中で。X教諭はカメラに背を向け、音声を変えて登場し、「『血が穢れている』とは言っていない」、「『死ね』という言葉は一切使っていない」などと釈明した。
 事件発覚当初から、児童と両親の代理人を務める大谷辰雄弁護士は、X教諭の言い分をタレ流すテレビ局の姿勢にこう疑問を呈する。
「彼(X)の釈明を報じることも、『報道の自由』なのでしょうが、彼の言い分を公共の電波で流すのなら、なぜ同時に、これまでの彼の証言の移り変わりや、証言の信憑性を検証しないのか。それをせずに、彼が今何を話しているかを報じることに一体、何の意味があるのでしょうか」
 福岡市教委はX教諭に対し、「停職六カ月」の処分を下したが、処分理由には次のような言動も含まれている。
《当初は事実と認めていた内容の多くを否定または変更し、関係者全般に混乱をもたらし、校務に支障を生じさせた》
 つまりX教諭は「市教委公認の嘘つき教師」というわけだが、「ザ・ワイド」以上に関係者の気持ちを逆撫でしたのが、テレビ朝日の朝の看板番組「スーパーモーニング」だった。
 十月十四日に放映された同番組に登場したX教諭は、自宅の居間らしき部屋で、リポーターのインタビューに応じているのだが、画面の片隅に、小誌十月九日号が報じた、「妻名義」で行っている「ネットワークビジネス」のダンボール箱がはっきりと映っていたのはお笑いだ。

史上最悪の「殺人教師」を擁護した史上最低のテレビ局(週刊文春2003年10月30日号)

 「ネットワークビジネス」を副業で行っているという部分については、小学校教師は家庭訪問の際に次のように述べただけでした。

 川上は最後に、雑談めいた話をした。
「なるほどですね。アメリカなら家内がハーバライフの販売をしています。ハーバの製品はアメリカで作られているそうですが、アメリカでも有名ですか?」
 ハーバライフとは、アメリカの健康食品である。主にダイエット食品の製造販売で知られているが、その販売方法がいわゆるマルチ商法であるとして、一部に批判もある。
「場所によっては有名なところもあります。ハーバは知っています」

福田ますみ著「でっちあげ」

 無実の小学校教師に停職6月では甘い、懲戒免職が相当であると記事でご大層におっしゃった西岡研介さんは、権力者でもない市井の一市民でしかない小学校教師をろくな取材も行わずに誹謗中傷し、その誹謗中傷の程度はターゲットとなった者がノイローゼとなって自殺を考えても不思議ではないほどのものでした。そのような記事を書いた西岡研介さんは、マスコミから干されることもなく、週刊文春から出入り禁止とされることもなく、「俺たち訴えられました!SLAPP裁判との闘い」において雑誌記者のあり方について自身をまったく顧みないご高説を垂れているのです。そして、その記事を掲載した週刊文春は、現在は「文春砲」などとふざけた名称の記事を公開して意気軒高です。いずれも、小学校教師に対する謝罪を行ったという話は聞いたこともありません。無責任な仕事をしたいならジャーナリストや雑誌の編集者になればよいということなのでしょうか。