菅野完さん、「紐付きの交付税」という新たな日本の暗部を見つけてしまう
菅野完さんのフェイスブックの発信
ずいぶんと週刊金曜日にはご執心のようです。
とにもかくにも、「紐付きの交付税」を探して我々は複雑怪奇な現代日本の探検を始めました。
地方交付税交付金の仕組み
国から地方に交付される資金で補助金や交付金というものは存じ上げていますが、交付税というものが存在するとはわたしはまったく知らず、そのような暗部をご存じの菅野完さんの著述家としての力量には改めて驚きます。
なお、菅野完さんが間違うとは思いませんが、万が一交付金のことをおっしゃっていらっしゃるなら、それは誤りです。例えば地方交付税交付金は、本来は地方公共団体の収入なのですが、地方公共団体の財政規模に合わせて適正な配分をするために国が徴収して交付するものです。
その仕組みは非常に難しいのですが、人口などあらゆるデータをもとに地方公共団体が必要とする経費を算出し、その計算上の経費に比較して収入が少なければ交付団体となるもので、地方公共団体が支出超過であれば交付されるというものではありません。また、経費を節減して運営していれば、収入が経費を上回っていたとしても交付されることもあらます。
今の地方公共団体は独自性を発揮することができないのか
ただ、現在の地方公共団体が紐付きと言われる「交付金」や補助金でがんじがらめとなっているかと言えば、それは違います。
かつては、国の業務を地方公共団体が担っていると認識されていたものがあり、国が地方公共団体の長に命令をしたり、状況によっては罷免することも可能となる制度がありました。しかしながら、現在は地方公共団体の自主性が重んじられるようになり、国から地方に発する業務上の留意事項は「技術的な助言」である旨の断りが必ず付いています。菅野完さんの国と地方の認識はひょっとして昭和で止まっていたりするのでしょうか。
平成以降の国と地方の構図が異なってきたことを示すのが、辺野古への基地移設に伴う国と沖縄県との対立です。国が移設事業を進めるために数多くの裁判を提起して裁判所のお墨付きを得なければならない状況は、菅野完さんが認識している国と地方の関係がもはや存在しないことを明らかにしているのではないでしょうか。
交付金と補助金の違い
念のために触れておきますが、交付金は国がある目的のために交付する資金のことで、前述の地方公共団体の財政の均衡化を図るための地方交付税交付金などがこれにあたります。そして、補助金はある事業のために国が交付する資金のことで、若年被害女性等支援事業に基づいて民間事業者のアウトリーチに対して補助金として資金を交付する仕組みが典型例です。