特例法の附帯決議の意味がわかっていない有識者会議と岸田文雄総理大臣
皇室問題を担当する内閣官房参与が退任しました。皇室問題に関する組織がどのようになるのかを把握していませんので、人事に関する評価は差し控えますが、皇位継承問題に関しては、安倍晋三内閣ではそれなりに動きが見えたものの、菅義偉内閣、岸田文雄内閣では評価すべき点が全くありません。
記事の中で有識者会議の内容を前提としていますが、そもそも有識者会議自身が退位に関する特例法の附帯決議である安定的な皇位継承を全く議論せずに皇族数の減少を議論するという噴飯物の進行を進め、悠仁親王殿下への皇位継承という流れを揺るがせにしてはならないなどという皇室典範の理解すら怪しい結論になっていますから、有識者会議の結論は検討するに値しません。
皇太弟を想定していない皇室典範
皇室典範第8条に「皇嗣たる皇子を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫を皇太孫という。」と規定されています。天智天皇から天武天皇への継承(弘文天皇については、即位そのものが疑われているので考慮しません。)など、歴史上は天皇である兄から弟への継承例は数多くあります。そして、皇室典範制定以前には皇太弟も存在しました。しかし、皇室典範では、皇太子、皇太孫の規定はあるものの、皇太弟については規定がありません。したがって、秋篠宮殿下は皇嗣であるものの、皇太弟ではありません。
この皇太子や皇太孫はもう一つの意味を持ちます。それは、「次に天皇になられる方」という意味です。皇嗣はその時点で皇位継承順位が1位の方ですが、その後皇位継承順位が変わる可能性のある方です。皇嗣である天皇の弟は、天皇に皇子が誕生することにより皇位継承順位が下がって皇嗣ではなくなります。皇太弟という規定が存在しないことから考えても、皇室典範は皇統に属する男子による皇位継承ととともに直系で皇位が継承されることを重視していることがわかります。したがって、天皇陛下から秋篠宮殿下、悠仁親王殿下へ皇位が継承されるという現在の皇位継承順位に沿った流れは揺るがせにしてはならないというものではないことがわかります。