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「chocolat.」を名乗る匿名アカウントが竹田恒泰さんを提訴

「chocolat.」を名乗る匿名アカウントが竹田恒泰さんに対して民事訴訟を提起

 ツイッターアカウントで「chocolat.」を名乗り、noteでは「チョコレートサイダー通信」を名乗る匿名アカウントが竹田恒泰さんに対して民事訴訟を提起したことが明らかになりました。

テレビ出演や著作等の活動を行い、50万人以上のフォロワーを擁する竹田恒泰氏の振る舞いは、SNSという言論空間の安全性を脅かす極めて悪質な行為であると考えます。竹田氏の投稿後、当方には多くの方から「死ね」等の誹謗中傷やプライバシーの侵害等が繰り返し行われている他、事実誤認による無関係の第三者の顔写真等が拡散されるなど、深刻な事態を招いております。
こういった事がまかり通るのであれば、今後私たちがSNSで自由に発言できる機会は減り、人権・政治・社会の問題について議論する貴重な場を失うことになりかねません。これは日本社会にとって大きな損失に繋がると考えます。したがって、私は竹田氏の行いに断固として抗議いたします。
▼取材をご希望の方へ▼
こちらの取材用メールアドレスにご連絡くださいませ。
chocolat.psyder@gmail.com

プライバシー侵害による不法行為を報じる共同通信と東京新聞

 「chocolat.」を名乗るツイッターアカウントの提訴について、共同通信と東京新聞が報じていますが、北新地大学生リンチ事件で株式会社鹿砦社が記者会見を開催することに苦労していたり、記者クラブから相手にされていなかったりするのと比較すると、ずいぶんマスコミから厚遇されているものだという感想が残ります。

 明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏にツイッターで実名を公表され精神的苦痛を受けたとして、大阪府の自営業男性が30日、竹田氏に60万円の損害賠償などを求め、大阪地裁に提訴したことが分かった。投稿の削除やツイッター上での謝罪文の掲載も求めた。
 訴状などによると、竹田氏は7月、自身のツイッターで男性の実名を複数回挙げ「左翼の活動家界隈ではよく知られています」「皆んなで拡散して差し上げましょう」などと書き込んだ。
 取材に男性は「実名を公表され、インターネット上で多くの人から誹謗中傷を受けた。『死ね』などのメッセージも届いた。言論の自由を脅かす行為だ」と話した。
 明治天皇の玄孫で作家の竹田恒泰氏にツイッターで実名を公表され精神的苦痛を受けたとして、大阪府の自営業男性が30日、竹田氏に60万円の損害賠償などを求め、大阪地裁に提訴したことが分かった。投稿の削除やツイッター上での謝罪文の掲載も求めた。
 訴状などによると、竹田氏は7月、自身のツイッターで男性の実名を複数回挙げ「左翼の活動家界隈ではよく知られています」「皆んなで拡散して差し上げましょう」などと書き込んだ。
 取材に男性は「実名を公表され、インターネット上で多くの人から誹謗中傷を受けた。『死ね』などのメッセージも届いた。言論の自由を脅かす行為だ」と話した。

共同通信と東京新聞が報ずる「chocolat.」を名乗る匿名アカウントのプライバシー侵害による不法行為を理由とする民事訴訟は報道する価値がある民事訴訟なのか

 なぜマスコミから厚遇されていると感じるかといえば、「chocolat.」を名乗る匿名アカウントがプライバシー侵害による不法行為を理由として竹田恒泰さんに対して民事訴訟を提起した場合、民事訴訟で勝つことは相当厳しく、通常であれば受ける弁護士を探すのにも苦労するという筋が悪い事件となるからです。それは、竹田恒泰さんがツイッターで実名等に触れるより先の令和3年5月26日に菅野完さんがYoutubeで実名を公開しているからです。(1:37頃から)

一部を抜粋した動画

 その実名は中性的なものではなく、性別が容易に推察することができるもので、男性である菅野完さんはその人物に対して「お前」とよんでいます。菅野完さんは米国で同居女性に対して電話機を投げつけて逮捕されるような人ですが、さすがにYoutubeで女性に対して「お前」とよぶようなことはないでしょう。
 この件では、プライバシー侵害で2件の民事訴訟の被告となった野間易通さんの事件が非常に参考になると思います。この事件の一つでは、野間易通さんによる原告の氏名の公開がプライバシーの侵害にあたるという判決が言い渡されています。野間易通さんはこの事件の続行期日において、本人訴訟であるにもかかわらず、口頭弁論に何の連絡もなく出頭しなかったと聞いていますが、そのため、原告の氏名については先にインターネットで公開した者がいたにもかかわらずプライバシー侵害が認められています。この判決を分析すれば、最初にインターネットで氏名を公開した者に対してはプライバシー侵害による不法行為が認められるということでもあります。更に、この判決では、野間易通さんによる最初にプライバシーの侵害が認められた事項について、野間易通が引き続きなした2回目以降はプライバシーの侵害を認めないという非常に明確な基準が示されています。
 そう考えると、「chocolat.」を名乗る匿名アカウントは、すでに菅野完さんのYoutubeにおいて実名が公開されており、その実名から性別を容易に推察することができますし、「chocolat.」を名乗る匿名アカウントが竹田恒泰さんが繰り返しツイートしたと主張する「居住地域とされる情報」は都道府県すら特定していないものです。そして、雑誌における特定人物への批判とその批判を読んだと思われる人物がなした人格攻撃の因果関係という植村隆さんの民事訴訟ですら認められなかった損害論の論理構成が、一般的に名誉毀損による不法行為より被害の程度が低いとされているプライバシーの侵害による不法行為において争われるわけです。面白裁判を傍聴することが好きな好事家にとっては興味深い民事訴訟かもしれませんが、世間一般の関心が高い民事訴訟や注目すべき判断がなされることが期待される民事訴訟を取材したいはずのマスコミのご歴々が関心を持つのは非常に興味深い出来事だと思うのです。