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伊藤大介さん未だ動きなし ~大阪市北区堂山町傷害被疑事件及び茅ヶ崎市民文化会館暴行被疑事件周辺情報 1~

ほぼ確実に上告するであろう伊藤大介被告人

 12月19日に弁護人側がなした控訴を棄却する判決が宣告された大阪市北区堂山町傷害被疑事件及び茅ヶ崎市民文化会館暴行被疑事件ですが、北嶋直樹被告人はともかく、伊藤大介被告人が上告することはほぼ確実ではないかと私は考えています。なぜならば、12月20日時点でも伊藤大介被告人が代表取締役を務める株式会社ハウスポートと株式会社e-ハウスが、このままの状態が続いていたとすれば、宅地建物取引業法第5条に抵触することとなり、その解消のための手段を講ずるためには上告猶予期間である2週間では足りないと思われるからです。
 宅地建物取引業法第5条は次のように規定しています。

第五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の免許を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合又は免許申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けている場合においては、免許をしてはならない。
(略)
六 この法律若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。第十八条第一項第七号及び第五十二条第七号ハにおいて同じ。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
(略)
十二 法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに第一号から第十号までのいずれかに該当する者のあるもの

 伊藤大介被告人が上告せずに東京高等裁判所が宣告した判決が確定すると、伊藤大介被告人は刑法第205条の傷害罪、同208条の暴行罪によって罰金刑に処せられた者ということになり、伊藤大介被告人が代表取締役を務める株式会社ハウスポートと株式会社e-ハウスは、宅地建物取引業法第5条第12号に基づき、宅地建物取引業の免許の欠格事由に該当することとなってしまうのです。

伊藤大介被告人が刑の確定までになしておかなければならない手続き

 伊藤大介被告人は、自身が代表取締役を務める法人が宅地建物取引業の免許の欠格事由に該当しないよう代表取締役及び取締役を刑の確定までに退任しなければなりませんから、株主総会を開催して伊藤大介被告人が取締役を辞任することを表明し、法人の定款で取締役の員数が規定されていれば、その後任となる者が選任される必要があります。後任となる者が選任されることがなければ、伊藤大介被告人は会社法第346条の規定に基づき権利義務取締役となりますので、たとえ辞任したとしても法人が宅地建物取引業の欠格事由に該当し続けることになるからです。なお、株主総会で伊藤大介被告人が取締役を解任された場合には、権利義務取締役に該当することはありませんが、伊藤大介被告人が株主総会で取締役を解任されるというようなことはご本人のプライドが許さないのではないかと思っています。
 そして、株主総会及び株主総会に基づいて取締役となった者によって開催される取締役会で新たな代表取締役を選任することによって、伊藤大介被告人が取締役でないことになりますから、この変更内容を司法書士に依頼して役員変更登記を申請しなければなりません。この役員変更登記が完了するまでに申請から約1週間かかりますから、伊藤大介被告人を取締役から外すだけでも日程的にぎりぎりです。
 ただ、宅地建物取引業の欠格自由は、欠格自由に該当する者が取締役でなかったとしても、その法人に対して業務を執行する権限を有する者と同等以上の支配力を有すると認められる者を含みます。具体的には法人の本店又は支店の代表者が該当することになりますが、それだけではないのが非常に難しい判断を要することとなります。この役員の範囲について正しく認識しておかなければなりませんから、弁護士などに相談して慎重に手続きを進める必要があります。そして、弁護士も憲法、民法などの基本法の条文については詳しいわけですが、宅地建物取引業法については法令の条文や解釈を再確認してから判断することになりますから、その判断にも時間を要することとなります。

欠格事由は、申請者(法人・個人)だけでなく、法人の役員、法定代理人、政令使用人なども該当してはいけません。
(「役員」には、どのような役名であっても法人に対して業務を執行する権限を有する方と同等以上の支配力を有すると認められる方を含みます。

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 最高裁判所に上告したとしても控訴審の判断が覆る可能性はほとんどないと思いますが、少なくとも手続きを行うための時間として月単位の猶予が与えられることとなります。その間に弁護士と相談して二社の法人が宅地建物取引業の免許の欠格自由に該当しないように慎重に手続きを進めていくことができるようになるわけです。

理解することができない伊藤大介さんの価値観

 今回の事件で最も理解し難いのは、他ならぬ伊藤大介被告人が事件を起こしたことでした。伊藤大介さんにとって最も大切なのは、ひょっとしたらこれまでの一生を注ぎ込んだかもしれない事業であり、ともに働く従業員たちであり、かけがえのない存在である家族であるはずです。反差別運動が重要なものであるというお考えはわかりますが、自らの大切にしているものすべてを失うかもしれない危険を冒してまでやることではないと思います。しかも、今回の荒巻靖彦さんとのトラブルは、明らかに以前に伊藤大介被告人が荒巻靖彦さんの飲食店を訪れた際のトラブルが遺恨となって残っていたことが理由としか考えられませんのて、ますます関わり合いにならずに自分の大切にしているものを守っていくことができなかったのかと思います。しかも、公判での弁論を聴く限り、伊藤大介さんにとっての今の事業とは、学校で法律学を学ぶ機会がなかった中でコツコツと勉強して宅地建物取引主任者(現在の宅建士)の資格を取得して、経験を積んだ後に独立して少なく無い従業員とともに大きくしてきたものだと聞いてますますその思いは強くなりました。