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マイナー裁判シリーズ第9回「元在日特権を許さない市民の会副会長と元友達守る団初期メンバーの民事訴訟の意外な結末」

街頭宣伝活動とカウンターの対立関係から提起された民事訴訟

 マイナー裁判シリーズの第9回は、原告が元在日特権を許さない市民会副会長川東大了さん、被告が元友達守る団初期メンバー井上雅文さんの民事訴訟です。
 この民事訴訟で請求の原因となったのは、平成25年9月29日に兵庫県神戸市で行われたそよ風・関西支部、在日特権を許さない市民の会兵庫支部、歴史捏造を糺す会が共同して行った街頭宣伝活動での出来事でした。この街頭宣伝活動へのカウンターとして参加していた井上雅文さんが述べた次の発言が川東大了さんの社会的評価を低下させ、名誉毀損にあたるとして民事訴訟を提起したのでした。

「おい、川東、お前、人の物盗ったら泥棒やんけ」

 ただ、この民事訴訟は様々な紆余曲折を経ることになっていきます。

川東大了さんの請求の原因を裏付ける書証とは

 どの民事訴訟でも原告が請求の原因とする事実を裏付ける書証が重要であることは言うまでもありません。一般的に訴状に併せて提出する書証は、欠席裁判となった場合に勝訴判決が言い渡される程度のものであると言われていますが、川東大了さんの訴状については請求の原因を裏付ける書証がまったく提出されていなかったからです。井上雅文さんがそのような発言をなした画像データや録音データはおろか、事実経過について川東大了さんが陳述した書面すら書証として提出されていなかったのです。
 しかし、民事訴訟はさらに混迷の度を増していきます。

取り消され続ける初回口頭弁論期日

 このような訴状であるにもかかわらず、大阪地方裁判所の裁判官は訴状審査を完了させて初回口頭弁論期日を平成29年4月20日13:30に指定して被告の井上雅文さんに訴状を送達しようとしました。ただ、そこで大きな問題が発生します。訴状が到達しなかったのです。大阪地方裁判所は原告の川東大了さんに訴状の送達先についての調査を求め、初回口頭弁論期日を改めて指定するということを繰り返しました。大阪地方裁判所が初回口頭弁論期日として指定して取り消した期日は次のとおりでした。

平成29年6月15日13:30
平成29年8月10日13:30
平成29年10月19日11:30

 そして、大阪地方裁判所は、平成29年12月14日11:30の期日を指定するとともに被告に訴状が届く送達先を示すように最終通告をなしました。川東大了さんはその送達先を示すことができず、大阪地方裁判所は平成29年11月20日に訴状の却下命令をなして民事訴訟が終結することになりました。請求の原因を裏付ける書証がまったく提出されないことで十分ろくでもない民事訴訟であったわけですが、最終的に訴状が送達されないままで民事訴訟が終結することになったのは原告被告双方にとってよかったのかも知れません。