天皇の政治利用だけでなく一から百まで出鱈目の高市早苗自由民主党政務調査会長の応援演説

高市早苗衆議院議員の応援演説とは

 衆議院議員総選挙の選挙期間中の10月29日、高市早苗前自由民主党政務調査会長は、京都4区の自由民主党公認候補の田中英之文部科学副大臣の応援演説で次のように述べました。

 田中候補でございますけれども、皆さまご承知の通り、現職の文部科学副大臣でございます。(中略)これは天皇陛下の認証を受けて就任をする認証官です。いわゆる政務官とはまた違って、大臣と副大臣は天皇陛下の認証を受けます。そういうことになりますと、万が一にも、この京都4区・田中英之が当選しないということになると、大変お忙しい天皇陛下にもう一度別の方を認証して頂かなくてはならない悲惨な事態が発生します。

高市早苗衆議院議員の天皇利用発言がなぜ不適切なのか

 この発言が天皇を政治に利用した不適切な発言であることは間違いないわけですが、更に大きな問題点があるということを認識しておかなければならないと思います。
 衆議院を解散した岸田文雄内閣は、憲法第70条に基づき、衆議院総選挙が施行されて最初に国会の召集があったときに総辞職し、国会は内閣総理大臣を選出します。選出された総理大臣は組閣して、皇居で天皇から総理大臣が親任式を、閣僚などが認証式を経て内閣が発足することになります。副大臣の顔ぶれが代わらなかったとしても、文部科学副大臣も同様に一旦辞職し、改めて認証を受けることになるわけです。

憲法第70条 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があつたときは、内閣は、総辞職をしなければならない。

 つまり、田中英之文部科学副大臣が当選しようが落選して別の者が文部科学副大臣に就任しようが文部科学副大臣に対する天皇の認証が必要なのは明らかであり、高市早苗自由民主党政務調査会長の応援演説は一から百まで出鱈目であることになります。高市早苗自由民主党政務調査会長は、近年その激務がしばしば議論に上がる天皇の公務について何ら関心を持っていないからこそ、当選した場合の田中英之文部科学副大臣に天皇の認証が必要であることを認識していなかったでのはないでしょうか。これはしばしば保守的な発言をなしている高市早苗自由民主党政務調査会長が、その根本であるはずの天皇に対する敬愛の念を疑わせるものとなっていると思います。
 なお、私が引用したデイリー新潮をはじめ、東京スポーツ及びコメントした鳩山由紀夫元総理大臣、LITERAに至るまでこのことに触れたメディアやコメンテーターも皆無であったことも指摘しておきます。