普天間飛行場移設問題 2 ~費用の問題へと逃げをうった東京新聞~
耳を疑った東京新聞の報道
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はほぼ一日中ラジオを聴いていて、テレビを観るのは大河ドラマと日曜劇場の週2時間という極端な生活をしています。朝は5時から時計がわりにラジオを聴き始め、その後首都圏、中京圏、東北地方の朝のワイド番組をローテーションで聴いています。その朝のラジオ番組で新聞記事の解説を行なっているコーナーを聴いていましたが、「工事が中々進んでいない」、「当初の想定から費用が膨れ上がっている」などという言葉が流れてきていたので、てっきり大阪の万国博覧会の問題だと思っていたら東京新聞の辺野古基地に関する記事の解説でした。
普天間飛行場の辺野古移設は、世界一危険な普天間飛行場の周辺住民の安全のために計画されたものですが、沖縄県の地元企業のために配慮された公共事業でもあります。すでに地元も米軍も沖縄県知事の同意すら得られていた普天間飛行場の辺野古移設について、何の腹案もなく「県外移設」を唱えてぶち壊した鳩山由紀夫元総理大臣が最後にこだわったのは辺野古基地の海上桟橋方式などによる移設工法でした。しかしながら、海上桟橋方式などとした場合、沖縄県の地元建設業者で対応することができず、大手ゼネコンなどの高い技術力のある建設会社しか受注することができなくなり、地元建設業者はせいぜいJVに加わるぐらいになってしまいます。このように地元の同意を取り付けるということは、様々な面で配慮して可能となるのです。
「安全保障論」が専門のはずの前泊博盛沖縄国際大学大学院教授の首を傾げる発言を持ち上げる東京新聞の愚
この記事では、米軍でどのような立場にあるか明らかにしない「米軍幹部」の発言というものを元に辺野古不要論を唱える前泊博盛沖縄国際大学教授の発言を持ち上げています。この「米軍幹部」は、ドローンが軍事で活用されているから航空基地が不要であるなどとよくわからない発言をなさる非常に不思議な方です。そして、その「米軍幹部」の発言を検証しているはずの前泊博盛沖縄国際大学教授の経歴を見ると軍事や安全保障に関する論文は見当たらず、わずかに九州大学助教授であった1年間のみ「安全保障論」という記載があるのみです。そして、その学歴と経歴は、経済学部を卒業後に琉球新報社で記者を務め、大学の講師と記者の二足の草鞋を履きながら編集委員などを経て沖縄国際大学大学院教授となり、現在に至ります。研究分野や論文などを見ると、その学問的な関心は日米安保や基地にも向けられているものの、基地経済など経済学の分野にとどまっています。つまり、軍事や安全保障が専門ではなく、学歴どおりに経済学が専門の学者であるといえるでしょう。したがって、「米軍幹部」の発言を軍事面や安全保障面から検証することができる専門性はほとんどないといってもよいと思います。そもそも、廃止が前提となっている基地であっても維持管理は必要不可欠なのですが、その維持管理にケチをつける前泊博盛沖縄国際大学大学院教授は、不適切な維持管理で普天間飛行場周辺住民の安全が脅かされてもよいとお考えなのでしょうか。
普天間飛行場の辺野古移設について、無駄な公共事業批判に舵をとった東京新聞の不誠実さ
すでに述べたように、普天間飛行場の辺野古移設は世界一危険な基地から沖縄県民を守るということであり、それに伴って辺野古基地建設という公共事業と移転後の普天間飛行場跡地の開発という地元経済の振興策がついてくるというものとなっています。そして、すでに合意に至っていた辺野古移設を「県外移設」を唱えることによって沖縄県民の微妙な基地に対する感情を逆撫でして御破産にしたのが鳩山由紀夫元総理大臣をはじめとする当時の民主党を中心とした与党の面々で、鳩山由紀夫元総理大臣が結局辺野古海上埋立てしかないと結論づけると、陣笠ではあるものの、民主党衆議院議員の立場で賛同するコメントを発したのが玉城デニー沖縄県知事でした。
そのような背景の中で、辺野古移設反対の論陣を張った上で玉城デニー沖縄県知事の姿勢を擁護し、玉城デニー沖縄県知事が知事として不適切な許認可権の行使をなしていることが法廷の場で明らかになってくると、軍事や安全保障についての見識が怪しいとしか考えられない学者を持ち上げて、辺野古移設を無駄な公共事業として批判する東京新聞に第四の権力である報道に携わる矜持を微塵も感じることはできません。