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株式会社ワンズクエストの取締役の責任をまともに主張することができなかった小西洋之参議院議員と杉尾秀哉参議院議員 ~「Dappi」名誉毀損裁判情報整理~

やはり取締役KM氏を被告として提訴したことにまともな理由などなかった「Dappi」名誉毀損裁判

 ツイッターアカウント「Dappi」のなしたツイートが名誉毀損にあたるとして、小西洋之参議院議員と杉尾秀哉参議院議員が「Dappi」アカウントが発信していた株式会社ワンズクエスト及び代表取締役KKさん、取締役KMさんに損害賠償を求めて民事訴訟を提起していた「Dappi」名誉毀損裁判において、原告らが代表権を有していない取締役KMさんを被告としていた理由がわかりませんでしたが、どうやら原告の小西洋之参議院議員と杉尾秀哉参議院議員も取締役KMさんの責任についてわからずに訴訟を提起していたようです。
 原告らが提訴した訴状で、取締役のKMさんに損害賠償を求める理由として示されていたものは次のとおりでした。

第4被告KK及び被告KMの責任

 被告KKらは、被告ワンズクエストの取締役として、同社の業務の執行として、本件アカウントを通じて、自ら本件投稿を行い、ないし、第三者を通じて本件投稿を行わせた。
 したがって、被告KKらは、民法709条、710条及び719条1項に基づき、原告らが被った損害につき、被告ワンズクエストと連帯して賠償する責任を負う。

 「Dappi」が株式会社ワンズクエストの回線を使ってツイートし、そのツイートが原告らの社会的評価を下落させるものであったとすれば、原告が株式会社ワンズクエストに損害賠償を求めることにはそれなりの理由があってなしたものであると評価することができますし、代表取締役であるKKさんについても、会社を代表する者であるから会社とともに提訴されたのはやむを得ないと考えることができるでしょう。ただ、会社を代表するわけでもない取締役のKMさんを提訴したことは明らかにやりすぎであると私は思っていました。なぜならば、憲法学者を自称する小西洋之参議院議員であれば当然ご存じのとおり、株式会社の取締役はもともと代表権を持っておらず、取締役会等で代表取締役として選任されて初めて代表権を付与される者であるからです。つまり、もともと代表権を有しているものの、代表取締役が選任されていることでその代表権が制限されている他の形態の会社の取締役とは異なるのです。
 そして、取締役はそれぞれ所管する分野がありますから、その分野がツイッターアカウント「Dappi」の発信に何らかの責任を負わなければならない分野を所管する取締役であるならまだしも、所管する分野がまったく無関係であれば原告らがまともに調査もせずに民事訴訟を提起したという評価をせざるを得ないと思います。
 具体的に例を挙げると、取締役のKMさんが人事部門を所管する取締役であれば綱紀粛正が足りなかったとKMさん個人の責任を問うことはそれなりの理由があると評価することができますが、KMさんが経理部門を統括する取締役であった場合には、まったく「Dappi」の発信には関係がないわけで、KMさんにとっては「なぜ?」という感想しかないでしょう。国民から大きな権限を与えられて、その言動一つ一つが国民からの信託を背景にして大きな影響力を与える国会議員が、民間人を提訴するにあたってここまで杜撰な理由でなすことがまずいのではないかという意識はなかったのでしょうか。