一般社団法人Colaboと仁藤夢乃さんが民事訴訟を提起 6~実は公開されている東京都の情報公開の手引き 上~
被告の暇空茜さんが一部開示の概要を公開
一般社団法人Colabo及び仁藤夢乃さんが暇空茜さんを提訴した民事訴訟に関連して、被告の暇空茜さんは東京都が保有する一般社団法人Colaboに関する情報について情報公開法に基づく情報公開請求を行い、東京都が決定した一部開示決定の概要を公開しました。
実は公開されている東京都情報公開の手引
この一部公開について様々な憶測がツイッター上でつぶやかれていますが、東京都が情報公開請求によって一部公開、非公開とする基準についてはインターネット上ですでに公開されています。以下、2回に分けて東京都の情報公開の手引を紹介していきます。今回は東京都公文書公開条例第7条第2号までの解説を紹介します。
第7条 公文書の開示義務
第7条 実施機関は、開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない。
趣旨
1 本条は、実施機関は、開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に本条各号のいずれかに該当する情報が記載されている場合を除き、当該公文書を開示しなければならないという原則公開の基本的考え方を定めたものである。実施機関は、開示請求する都民の権利を十分に尊重し、非開示とする情報を最小限にするよう、本条各号の適用にあたっては、厳格な判断を行わなければならない。
2 開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合の実施機関の責務については特に定めていないが、非開示情報は、開示することの利益と開示することにより損なわれてはならない個人又は法人等の正当な利益や行政事務の適正な遂行等の利益との調整を図るものであるから、第9条の規定の反対解釈として、実施機関は、「公益上特に必要があると認めるとき」以外は開示してはならないこととなる。
適用
1 本条と守秘義務との関係
(1)本条は、非開示情報の範囲を定めているのに対して、地方公務員法(昭和25年法律第261条)第34条の守秘義務は、公務員の職務上知り得た秘密を守るべき職員の服務規律を定めたものであり、両者は趣旨及び目的を異にしている。地方公務員法等行政機関の職員に守秘義務を課している規定における秘密とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものと認められるもの(実質秘)をいうが、実質秘の範囲は具体的に定められているとはいい難い。したがって、本条と守秘義務とはその対象となる情報について重なる部分が多いが、当然にすべてが一致するものではない。
(2)本条各号に該当する情報が守秘義務の対象となるかどうかは、個別具体的な事案ごとに判断するものであり、条例に基づき適法に開示をしている限りにおいては守秘義務違反とはならないものと考えられる。
2 本条と法令との関係
地方自治法第100条、民事訴訟法(平成8年法律第109号)第220条、弁護士法(昭和24年法律第205号)第23条の2の既定のように、法令の規定により、実施機関に対して、公文書の提出又は公開を要求されることがある。この場合における当該法令の規定と本条各号との関係についても、両者はその趣旨及び目的を異にするものであり、本条各号に該当するかどうかをもって、当該要求の諾否の理由とすることはできない。法令の規定に基づく提出又は閲覧等の要求に対しては、要求の根拠となった法令の趣旨、要求の目的、対象文書の内容等を総合的に判断して諾否を決定することになる。
第7条第1号 法令秘情報
一 法令及び条例(以下「法令等」という。)の定めるところ又は実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関(内閣府設置法(平成11年法律第89号)第4条第3項に規定する機関、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第3条第2項に規定する機関、法律の規定に基づき内閣の所轄の下に置かれる機関又はこれらに置かれる機関をいう。)の指示等により、公にすることができないと認められる情報
趣旨
1 本号は、法令及び条例の定めるところ又は実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関の指示等により、公にすることができないと認められる情報が記録されている公文書は、非開示とすることを定めたものである。
2 「法令」とは、法律及び政令、府令、省令その他国の機関が定めた命令をいう。
3 「実施機関が法律若しくはこれに基づく政令により従う義務を有する国の行政機関の指示等」とは、国の行政機関からの指示等であって、法律又はこれに基づく政令に根拠を有し、実施機関を法的に拘束するものをいう。
4 「国の行政機関」については、次のようなものがある。
(1)内閣府設置法第4条第3項に規定する事務をつかさどる機関である内閣府、宮内庁、同法第49条第1項若しくは第2項に規定する機関
内閣の所掌事務をつかさどる機関として置かれる内閣府、宮内庁並びにその外局として置かれる委員会及び庁
(2)国家行政組織法第3条第2項に規定する機関
内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれる省並びにその外局として置かれる委員会及び庁
(4)これらに置かれる機関
府、省、委員会、庁又は人事院にこれらの所掌事務を遂行するため又は分掌するために置かれる機関若しくは部局等
5 「公にすることができないと認められる」とは、法令等の規定が公にすることを明らかに禁止している場合はもとより、法令等の趣旨及び目的から当然に公にすることができないと認められる場合等をいう。
第7条第2号 個人情報
二 個人に関する情報(第8号及び第9号に関する情報並びに事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)で特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれのあるもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
イ 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報
ロ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報
ハ 当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)の役員及び職員、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員並びに地方独立行政法人の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分
趣旨
1 本号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するため、特定の個人を識別することができるような情報が記載されている公文書は非開示とすることを定めたものである。
2 プライバシーの具体的内容は、法的にも社会通念上も必ずしも明確ではないため、本号では、個人のプライバシーに関する情報であると明らかに判別できる場合はもとより、個人のプライバシーに関する情報であると推認できる場合も含めて、個人に関する一切の情報は原則として非開示とした。その一方で、個人の利益保護の観点から非開示とする必要のないものや公益上公にする必要性の認められるものについて、本号ただし書により例外的に非開示情報から除くこととした。
3 「個人に関する情報」とは、個人の人格や私生活に関する情報に限らず、個人の知的創作物に関する情報、組織体の構成員としての個人の活動に関する情報、その他個人との関連性を有するすべての情報を意味する。具体的には、思想、心身の状況、病歴、学歴、職歴、成績、親族関係、所得、財産の状況その他一切の個人に関する情報をいう。
4 個人に関する情報であっても、特定個人情報(東京都特定個人情報の保護に関する条例(平成27年東京都条例第141号。以下「特定個人情報保護条例」という。)及び個人番号(特定個人情報保護条例第2条第4号に規定する個人番号をいう。)のうち死亡した者に係るものについては、本条第8号及び第9号で判断することとし、本号の個人情報の範囲から除外した。
5 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」とは、本条第3号本文に規定する事業を営む個人の当該事業に関する情報と同義であるため、同号で判断することとし、本号の個人情報の範囲から除外した。ただし、事業を営む個人に関する情報であっても、その事業とは直接関係がない個人情報は、本号により、開示又は非開示の判断を行う。
7 「他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるもの」とは、その情報自体からは特定の個人を識別することはできないが、当該情報と他の情報とを照合することにより、特定の個人を識別することができることとなる情報をいう。
なお、個人識別性の判断に当たっては、一定の集団に属する者に関する情報を公にすると、その情報自体からは特定の個人を識別することができない場合であっても、情報の性質や内容によっては、当該集団に属する個々の者に不利益を及ぼすおそれがあり得ることを考慮する必要がある。
8 「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」とは、カルテ、反省文など個人の人格と密接に関わる情報や未公表の著作物等で、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるものをいう。
9 ただし書のイは、法令等の規定によりまたは慣行として公にされている情報又は公にすることが予定されている情報を、非開示とする個人情報から除外することを定めたものである。
(1)「法令等の規定により又は慣行として公にされている情報」とは、法令等の規定や慣行により、現に何人も容易に入手することができる状態におかれている情報をいう。
(2)「公にすることが予定されている情報」とは、開示時点では公にされていないが、将来、公にすることが予定されている情報をいう。
10 ただし書のロは、プライバシーを中心とする個人の正当な権利利益は十分に保護されるべきであるが、公にすることにより保護される利益がそれに優越する場合に、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることがより必要であるとより必要であると認められる情報については開示することを定めたものである。
11 ただし書のハは、公務員等の職務の執行に係る情報のうち、公務員等の職及び職務遂行の内容に係る部分を、非開示とする個人情報から除外することを定めたものである。
(1)「公務員等の職務の遂行に係る情報」とは、公務員が行政機関若しくはその補助機関として、独立行政法人等の役員及び職員が独立行政法人等として、又は地方独立行政法人の役員及び職員が地方独立行政法人として、その担任する職務を遂行する場合におけるその情報をいう。
(2)公務員等の勤務態度、勤務成績、処分歴等職員としての身分取扱いに係る情報などは「職務の遂行に係る情報」には当たらない。
(3)公務員等の職務の遂行に係る情報に含まれる当該公務員等の氏名については、「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」の規定により開示又は非開示の判断を行う。
(4)職務遂行に係る情報であっても、それが他の非開示情報に該当する場合には、その職及び職務遂行の内容に係る部分を含めて全体が非開示とされることとなる。
適用
1 個人情報が記録された公文書の一般的な取扱い
個人に関する情報は一度開示されると当該個人に対して回復し難い損害を与えることがある。個人のプライバシーに関する情報は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の観点から最大限に尊重するものとする。
2 死者の個人情報の取扱い
「個人」には、死亡した個人も含まれる。
3 個人情報に対する本人開示の取扱い
本号は、個人に関する一切の情報は非開示を原則とする趣旨である。したがって、開示請求者が、事故に関する情報について開示請求をした場合であっても、第三者からの開示請求の場合と同様に取り扱う。
個人情報に係る本人からの開示請求については、東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条例第113号。以下「個人情報保護条例」という。)第30条第2項の規定により、個人情報保護条例の定めるところによることとなる。
4 会議費に関する文書及び知事交際費に関する文書の取扱いについて
それぞれ、別途定められている会議費や知事交際費に関する公文書の開示基準によるものとする。