読書録-ローマ人の物語

ローマ人の物語を8巻まで読みました。とても面白かったです。1つ感じたことがあるので共有してみようと思います。

今、ローマ人の物語8巻までの感想として1番大きいのは、塩野さんの視点からローマ史を眺めているような気分になるなあ、です。塩野さんが良いと感じていることは、なるほど良いなと思わせられ、逆もまたしかりです。

これは、塩野さんの技術がすごいのだろうと思います。また、塩野さんが楽しんで、書くことに没入しているからだろうとも思います。

このことはローマ人の物語がここまで広く読まれている理由であると思います。なぜなら飽きないからです。

本を読むときに自分の知らない事実がただ列挙されていたらどうでしょうか。正直読む気をなくすのではないでしょうか。そんな本、読むのは苦痛でしかありません。

僕のイメージするに、歴史に興味のない人にとって歴史とは、事実がずっと列挙されていて、しかもそれを暗記しないといけない、わけのわからないものと捉えられていると思います。

しかし、塩野さんのこの「ローマ人の物語」は、まるで小説のように、こちらの感情や判断が揺り動かされます。そしてこのことが、「ローマ人の物語」の楽しさの根源であると思います。

僕はいつからか、「ローマ人の物語」に感情を動かしてもらいに行っています。「ローマ人の物語」の次の巻を手に取った時、どんな気分に浸れるのか、わくわくしています。

そしてそれは楽しいものでした。「ローマ人の物語」は感情というものを味わせてくれると思います。

同時にこの点は「ローマ人の物語」の批判されている点であるとおもいます。wikiには叙述の根拠が著者の感想にとどまっており、歴史小説とするべきだという批判が載っています。

私はこの点は、「ローマ人の物語」が私たちの感情を揺さぶることと、強烈に客観性を意識することとにトレードオフの関係があるからではないかと思っています。

客観性を意識するとき、主観は排除され、感情なんてものは気にしていられないと思います。けど、その結果、無味乾燥な叙述分が出来上がってしまうはずです。

この「ローマ人の物語」の良さを引き出すには、多少は塩野さんの主観が必要でしょう。

とはいえ、これは歴史書として頭から信じるのは確かにまずいかもしれないです。だから、「ローマ人の物語」は、歴史書と歴史小説の中間にあるようなものだと思えば、いいと思います。

以上が8巻までで、僕の感じたことです。まだあと6巻ありますので、すごくワクワクしています。

またいつか、それぞれの巻の感想も載せたいです。
特に第2巻の「ハンニバル戦記」はおもしろかったですので、ぜひ書きたいです。
また全体を通してティベリウス帝が一番魅力的だと思ったので、「悪名高き皇帝たち」についても書きたいです。ワクワクです!

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