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劇場アニメ「岬のマヨイガ」PVの聖地巡礼記事

本記事は2021年8月27日に公開された劇場アニメ「岬のマヨイガ」と原作小説を読んだうえで、舞台となったスポットについて纏めた記事となります。作品を未読の方でネタバレ等を気にされる方は本記事を読まないよう、予めご忠告させて頂ければと思います。(※1)(※2)

(※1)記事のタイトルに「PV」なる文字列が含まれていますが、記事執筆時点で、PVを含めて公式Twitter等で公開された情報を元に記事の作成を行っております。
(※2)記事のタイトルに「聖地巡礼」なる文字列が含まれていますが、記事執筆時点で聖地巡礼はできておらず、代わりにGoogle マップのストリートビューを差し込んでおります。(将来的には差し替えたいです)


◆ 岬のマヨイガについて

<あらすじ>
ある理由で家を出た17歳のユイと、事故で両親が他界したショックから声を失った8歳のひよりは、不思議な老女・キワさんに導かれ、岬に立つ古民家「マヨイガ」で暮らすことになる。そこは「訪れた人をもてなす」と岩手県で言い伝えられている伝説の家だった。二人の傷ついた心は、マヨイガでキワさんの温かさに触れて過ごすうちに癒やされていく。そんな中、“ふしぎっと”と呼ばれる妖怪たちがキワさんを訪ねて来る。(シネマトゥデイ より引用)
<見どころ>
「霧のむこうのふしぎな町」などで知られる作家・柏葉幸子の野間児童文芸賞受賞作を原作にしたファンタジーアニメ。不思議な伝説が伝わる古民家「マヨイガ」を舞台に、居場所を失った17歳の少女と血のつながりがない新しい家族との共同生活を描く。
監督を『のんのんびより』シリーズなどの川面真也、脚本を『映画「聲の形」』などの吉田玲子、制作をアニメ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズなどの david production が担当。主人公の声を『星の子』などの芦田愛菜が務め、達増拓也・岩手県知事が声優に初挑戦する。(シネマトゥデイ より引用)


「岬のマヨイガ」は東日本大震災で被害を受けた宮城県・福島県・岩手県を応援するフジテレビの企画「ずっとおうえん。プロジェクト 」の一環で制作された背景があり、プロジェクトのコンセプトがアニメツーリズムによる長期的な被災地支援ということで、ノイタミナ枠で放送されていた「バクテン!!」は岩沼市にとどまらず、EDでは登場人物達の個別カットが宮城県内に散在していたりと、企画理念が明確に伝わってきて私個人としては良い印象を受けていました。

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「バクテン!!」も、被災地支援を目的に制作されましたが、内容については、爽やかな青春部活動モノであり、かつ震災から10年経った岩沼市を舞台にしているためか、震災に関わる部分についてはオブラートに包んだ表現がされていました。


上記の通り、企画への知識は少しだけあったので、「岬のマヨイガ」についても10年経った大槌町が舞台として登場するものと思っていましたが、本編を見て初めて震災当時の世界観であることがわかり、序盤の方では直接的な描写が多かったので劇場で驚きました。
脚本の吉田玲子さんが執筆された小説版によると、震災発生から一月半経過している旨の記述があったことと、本編の映像から季節が変わる描写がなかったことから、作品の時系列は2011年4月下旬~2011年6月くらいではないのかと推察しています。


◆ 巡礼マップ

物語のメインとなる舞台は大槌町と遠野市でしたが、本編では盛岡市と釜石市のカットも一部登場していました。岩手県は都道府県面積ランキングで北海道につぎ全国で2番目の順位を誇っているので、スポット巡りをしながら盛岡市から大槌町まで移動するのは少し大変かもしれません。ゆっくりと景勝地を観光しながら旅行する意味でも、一泊二日くらいで旅行の工程を組まれたほうが宜しいかと思います。


◆ 大槌町のスポット

◇ 大槌町について

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大槌町(おおつちちょう)は、日本の岩手県上閉伊郡に所在する町。縄文時代の遺跡が多く見られる。太平洋に面している。振興山村、辺地、過疎地域の指定を受けている。全域が三陸ジオパークの一部をなす。(ウィキペディア より引用)

人口1万人前後の漁業の盛んな地方の港町でもある大槌町ですが、北上山地の一端をなす山々に囲まれた地形のため、海の幸だけではなく山の幸も採れる自然豊かな土地環境が特徴です。物語の中では狐崎(町?)のモデルとなった町として、町の景観がいくつも登場していたのが印象に残っていますが、震災前から町内に道の駅はなかったので、「道の駅 狐崎」は映画オリジナルの設定だと思われます。


◇ <大槌町> 城山公園体育館付近の道路

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高台にある町運営の体育館脇の階段。道端の赤い花は、ヒラドツツジという品種の花で開花時期は4-5月頃とのこと。ちなみに小説版では体育館ではなく中学校という設定でした。


◇ <大槌町>中央公民館

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城山公園体育館内にある多目的な用途で使用される大ホール。3人が初めて出会った場所として登場しました。ストリートビューの画像を拡大して頂けるとユイの背後の格子窓と一致していることがお分かり頂けるかと思います。館内の写真はありませんが、岩手めんこいテレビさんのニュース動画で詳細に説明されていましたのでそちらをご参照いただければと。(1:25から)


◆ <大槌町> シーサイドタウンマスト

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郊外型のホームセンターのお店とショッピングセンターが一か所にまとまった施設。隣のホームセンターのお店も北東北ではお馴染みのお店だったりします。こちらも館内の写真はありませんが、岩手めんこいテレビさんのニュース動画で詳細に説明されていましたので上記のリンクをご参照いただければと。(0:30から)


◆ <大槌町> 大槌北小学校 跡

解体前の大槌北小学校の校舎が、ひよりがバスで通った小学校のモデルかなと思い記事化させて頂きました。間違ってる可能性もありますのでご了承ください。(解体前の校舎が写っているストリートビューのリンクはこちらから)
2017年9月のストリートビューの画像では、学校の跡地に仮設の商店街が立ち並んでいますが、2020年の11月に解体作業が完了している為、現在は空き地になっているようです。

震災後、大槌北小学校の校舎は教育を行う場所として運用されず、また児童も通っていた学び舎で授業を受けることなく校舎が解体されていたことをニュースで見ていたこともあり、該当するシーンを見ていた際は感慨深いものを感じていました。


◆ <大槌町> ファミリーショップやはた

駅メモ やはた

住宅街の一画にある地域志向型のお店。ユイのバイト先のモデルとなったお店として登場しました。こちらも岩手めんこいテレビさんのニュース動画で詳細に説明されていましたので、上記のリンクをご参照いただければと。(3:10から)
また本編にて、バイト先の近くにお蕎麦屋さんがある描写がなされていましたが、震災前から当該地域に飲食店はなかったため、お蕎麦屋さんについては映画オリジナルの設定だと思われます。


◆ <大槌町> 小槌川沿いの景観 ①

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ユイがお地蔵様の襟巻を直す際、場面転換時のカットとして登場していた気がします。本編にて県内各地の川にちなんだ河童がマヨイガに来ていましたが、小槌川の河童だけは狐崎出身なのかもしれません。


◆ <大槌町> 小槌川沿いの景観 ②

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本編後半でアガメが荒ぶった際、落雷した場所として登場。この地点もそうですが、「小槌川沿いの景観 ①」から大槌駅方面に歩いて行った際の情景が、本編中に数カット登場していたのが印象に残ってます。


◆ <大槌町> 吉里吉里海岸海水浴場

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個人的な予想です。手前側の砂浜は一致している気がしますが、奥側の断崖群については他地域のものと思われます。映画のパンフレットによると、「岩手県の沿岸部を北から南までロケハンした」と川面真也監督がコメントしていたので、もしかしたら完全に一致する海岸が県内に存在しているのかもしれません。


◆ 遠野市のスポット

◇ 遠野市について

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遠野市(とおのし)は、岩手県内陸部にある都市である。柳田國男の『遠野物語』の舞台となった町であり、河童や座敷童子などが登場する「遠野民話」が伝わる。(ウィキペディア より引用)

「民話の里」とも呼ばれるほど古い言い伝えがたくさん残る町として、全国的にも知名度があるかと思います。古い言い伝えの中には河童、座敷童子、オシラサマといった妖怪の伝説も含まれており、漫画・アニメ・ゲーム等で「遠野」という単語を見たり聞いたりした方も少なからず居るかと思います。大槌町とは異なり映画本編では遠野市は岩手県内に実在する町として扱われていました。


◇ <遠野市> 六神石神社(境内)

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ユイとひよりが初めて出会った神社。こちらは大槌町ではなく遠野市の神社がモデルになっていると、公式twitterにて紹介されていました。


◇ <遠野市> 伝承園

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3人が共同生活することになる伝説の家、マヨイガ。こちらも公式twitterにて紹介されていました。


◇ <遠野市> カッパ淵

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狐崎から遠野へ旅行に行く際、船で立ち寄った川岸。陸路でもなく空路でもなく川路というのが斬新だなと思って見てました。こちらも公式twitterにて紹介されていました。


◇ <遠野市> 六神石神社(入口)

遠野のマヨイガ向かう際、カットとして登場した鳥居。本編にて「六神石神社」と彫られた石柱が登場していましたが、こちらの神社、入口と境内のスポットが別シーンでそれぞれ使用されているようです。


◇ <遠野市> 遠野駅

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ユイとひよりが遠野から狐崎へ戻る際に利用したJR釜石線の一駅。手前側の石像は「遠野物語」にも登場する雪女がモデルになっているとのこと。


◆ 盛岡市・釜石市のスポット

◇ <盛岡市>田中の地蔵様

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本編後半で活躍した盛岡にあるお地蔵様。正式名称は「大智田中地蔵尊」とのことですが、四ツ家町内に移座したことから「四ツ家の地蔵さん」とも呼ばれているそうです。こちらも公式twitterにて紹介されていました。


◇ <釜石市>釜石駅

ユイとひよりが遠野から狐崎へ戻る際に利用したJR釜石線の終点駅。2012年に駅舎は改装されている為、本編で登場した駅舎は2011年当時のものかもしれません(ちょっと覚えてないです)。本編では駅正面の停留所から2人がバスに乗り込む描写がなされていましたが、釜石駅~大槌駅間は震災の影響で8年間不通の状態が続いており、当時は鉄道による移動が不可能だったため、正確に取材されているなと感じました。


◆ 最後に

記事著者の出身地が大槌町ということもあり、映画を見ていた際は、子供の頃から見てきた景色が、地方の田舎町の原風景として丁寧に映像化されていたので、感慨深いものを感じていました。制作に携わったスタッフの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。
アニメツーリズムによる被災地支援という目的で制作された作品ということで、鑑賞された方が舞台となった岩手県に少しでも興味を持って頂けると嬉しいなと思います。
この巡礼記事ですが、まだモデルとなったスポットがわかっていないカットが多数存在するので、スポット探しに勤しみながら、当該作品のブルーレイディスクが販売されるのを楽しみに待っていたいと思います。

以上、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。(終わり)


※この記事では、Google マップのストリートビューとの比較・検証のため、作品の画像を引用させていただいております。
これらの画像の著作権は、「(C)柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員会」に帰属していることを明示させていただきます。


【改訂履歴】
・2021年9月8日 初版として公開







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