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挑戦してみっぞ、会話劇。(2)


会話 ”だけ” でキャラや状況を表現的なアレ。


▼前回のワシ▼


▼その後、バール=サンから訂正が▼


▼リトライ▼


「さて、みんな! 準備はいいか?」
「ハイ! あの扉の向こうに魔王が…… いよいよですね! リーダー!」
「ああ。みんな…… ここまでよくついてきてくれた」
「つ、ついに、こ、ここまで来たでゴワンスね」
「ふん、魔王なんざドワーフの斧で首をスパーンじゃよ」
「ピピ……ガガ、エネチャージ83パッセント」
「俺様の剣が魔王の首を…… ワクワクするぜぇ!」
「その前にドワーフの斧がスパーンじゃよ」
「俺様の剣が先だぜぇ」
「いいやドワーフの斧」
「俺様の剣」
「どっちでもいいから刎ねてくれ。ほかは? 準備できたか?」
「ready」
「拙者、臨戦態勢ッ!」
「ワオーン!」
「よしよしガブルス。オイラとガブルスはいつでもいけるよ!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。マナポーション飲まないと」
「ハー。アンタはいっつもグズでノロマなんだから。アタイはオッケーよ!」
「なによそれ。わたしのマナを無駄にしてるの姉さんじゃない」
「ハー? アタイはアンタと違って最前列でみんなを守ってるんだし。怪我が多くて当然でしょうよ」
「な、なによその言い方! まるでわたしが、わたしが」
「あーあ。まーたはじまったぜぇ? エルフの醜い姉妹喧嘩」
「やめんか貴様ら! これから決戦ちゅー時に」
「ドワーフは黙ってて! わたしは姉さんに言ってるの!」
「なんじゃとぉ? 100歳そこそこの小娘が」
「な、仲良くするでゴワンス」
「やーめーろ! お前たち!」
「ホラァ、リーダーもお怒りよ? キーキー言ってないで早く飲み干しなさいよ」
「なっ、わたしが悪者なの!?」
「二人ともだ! いいか? ひとつの乱れが誰かの死に繋がるんだ。みんな。思い出せ…… ここに着くまでに仲間の死体をいくつ置いてきた?」
「ハイ! 十六ですリーダー!」
「そう。十六だ。敵に直接やられたのはそのうち六名。じゃあ残りの十名はなぜ死んだ?」
「ハイ! 喧嘩ですリーダー!」
「そう。喧嘩だよ。そりゃあ大所帯だから揉め事もあるさ。種族もバラバラ。目的もバラバラ。血の気の多いやつらの集まりだ。だが衝突するたびに死人が出てる」
「でもさ! リーダーはうまく皆んなをまとめてるよ! オイラなんてガブルス一頭を躾けるので精一杯だもん。よしよし!」
「ワオン!」
「大将、金声玉振ッ!」
「え? あ、まあ…… うん、ありがとう。それよりも。決戦を前に揉め事はよしてくれ。いいな?」
「ハーイ。ほらアンタ聞いてた? 仲良くしろってさ」
「なによそれ! またわたしが悪いみたいな」
「おっ? また始まるぜぇ?」
「やめんかもう! キンキンギャーギャーうるさいのう!」
「ピピ……ガガ、エネチャージ95パッセント」
「ハァ……。勘弁してくれよ。で? 残りは? 準備できたな?」
「あ? オレに聞いてンの?」
「ああ。できてるのか?」
「ったりめーよ。魔王の眉間にこの矢を突ッ立ててやるさ」
「その前に俺様の剣が首を刎ねてるぜぇ」
「あ? オレの矢の速さに勝てるとでも?」
「俺様の剣ならな」
「ワシの斧を忘れるなよ」
「あ? ノロマなドワーフはオレの盾になってりゃいいのさ。あ、小さすぎて盾にもなンねーか。ハハッ」
「なにを貴様!」
「ホホホホホ! 醜い醜い! わたくしはいつでもよくってよ。爺、おかわり」
「は……」
「茶菓子」
「は……」
「ちょっと爺、なにこれ」
「は……。ジャイアントワームの香ばし揚げでございます」
「ハァァァァァ!? キモッ! 食べられるわけないでしょ!? 林檎と蜂蜜の焼き菓子は? この時のために取っておいた」
「は……。実は、前回の休憩時にそこの狼が」
「ハ? ……ハァァァァァ!? ふざけんじゃないわよ!」
「ご、ごめんよ、オイラが目を離した隙に…… ガブルスもお腹がすいてたんだ」
「クソコロはクソでも食ってりゃいいのよ!」
「お、お嬢様」
「クソコロってなんだよ! ガブルスって立派な名前があるんだい!」
「ウォンッ、ガブルゥ!」
「痛い! 爺! 爺!」
「は……!」
「こ、こっちでも、は、はじまったでゴワンスー」
「やーめーろ! やめろやめろー!」
「ピ、ガガ……エネチャージ100パッセント.イツデモ ウテマス」
「あの年増ほんと嫌い。姉さんの方がまだマシだわ。踏ん反り返ってばっかりでちっとも役に立たないくせに」
「まだマシってなにさ。アンタはね、ガキの頃からそうやってグジグジ嫌味ばっかり。だからリーダーにもフラれるのよ」
「ちょ! や、やめて聞こえる」
「高嶺之花ッ!」
「ちょ、盗み聞きしないで!」
「俺様も聞いちゃったぜぇ? そうかリーダーをなぁ」
「やめて! もう死んじゃえ! みんな死ね!」
「やめんかこの馬鹿どもが!」
「あー! やめろー! お前ら落ち着け! イテッ!」
「先手必勝ッ!」
「あ!? オレの弓になにすンだコラ!」
「リーダー! 後ろでゴワンスゥ!」
「ピピガ、ピガッ、ハッシャ カウントダウン」
「what the fuck」

「……はぁーあ。久しぶりにここまで来る奴らがいたと思ったらさ。なにあれ。僕ガッカリ」
「王よ、危険です。扉をお閉め下さい」
「ハイハイ。じゃ、あとはお願いしていい?」
「御意」
「あ、そうだ。あの機械人間は面白そうだからさ」
「捕獲致します」
「頼むよ。他は皆殺しでいいからさ」
「御意」

(完)

え? ズルいやり方?
掌編として成立していない?

……いいんです。

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