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『悪は存在しない』をみてほしい話
ネタバレなしです
なんの前情報もなしに『悪は存在しない』という映画を見に行った。わかっているのは『寝ても覚めても』『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督の新作ということだけ。
濱口監督の作品なら間違いねえと、宮崎駿の『君たちはどう生きるか』公開時のごとく思考停止で見に行った。
Filmarksから引用したあらすじ
長野県、水挽町。自然が豊かな高原に位置し、東京からも近く、移住者は増加傾向でごく緩やかに発展している。
代々そこで暮らす巧(大美賀均)とその娘・花(西川玲)の暮らしは、水を汲み、薪を割るような、自然に囲まれた慎ましいものだ。しかしある日、彼らの住む近くにグランピング場を作る計画が持ち上がる。コロナ禍のあおりを受けた芸能事務所が政府からの補助金を得て計画したものだったが、森の環境や町の水源を汚しかねないずさんな計画に町内は動揺し、その余波は巧たちの生活にも及んでいく。
美しい自然の風景と、美しいけど不穏な音楽。今回もめちゃくちゃ棒読みな登場人物たち(これは演技のウマいヘタではなく、監督があえてそうさせている)
美しい自然もいいけど、そろそろ話進まねえかなと観客が思い始めるあたりで、この町にグランピング場を作りたいらしい都会の人間たちがやってくる。なるほどなるほど…現地人とよそ者の対立と対話。この行く末がこの映画の結末になるのだろう…と思っていたんだ…そのときは……
そのラストは唐突で、エンドロールが流れたとき正直「ウソでしょ」と思った。自分はこれまでに1000作くらい映画をみてきたのもあって、最近では予想した結末を裏切る作品に出会うこと、動揺することがほとんどなかった。でもこのラストは本当にビビった。なんなら怖かった。
や、やりやがったな(?)と思った。
結末についての独自の解釈は別記事で書くとして、いろんな人に見てほしい映画だと思った。
この映画の監督の濱口竜介は、この『悪は存在しない』で銀獅子賞(ヴェネツィア国際映画祭の賞)を受賞し、米アカデミー賞と世界三大映画祭のすべてで受賞をはたした映画監督になった。日本人でこれを成し遂げたのは黒澤明とこの監督だけらしい。
そんなすげえ監督と同じ国、同じ時代を生きているのに、それだけの作品が単館上映ってぇのはちょっと…「うわっ……日本の文化レベル…低すぎ?」と言わざるをえなくないか。残念だけど。
これは前々から思っていたのだけど、映画は基本的に「わかるから面白い」「わからないからつまらない」で語られることが多い。「わからないけど面白い」「わからないから面白い」がもっとあってもいいじゃない。
たぶんみんなわかんないので、安心して観てほしいし、わからないことも味わって受け止めて、一週間くらい引きずるみたいな体験を、みんなにしてほしいなと思った。要するに仲間が欲しいのである。引きずり込みたいのである。みんな早くこっちにこい。
こっちはネタバレあり↓
待ってるからな、ではまた。
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