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せいやの監査は信頼できる

しもふりチューブは霜降り明星二人が出演しているYouTubeチャンネル。登録者数は2023年六月現在200万人間近である。
コラボなしで100万人いったYouTubeチャンネルはお笑いコンビとして初だとか、まあ結構な規模のチャンネルだ。

すごいのは動画を毎日投稿しているところだ。

多忙なのは霜降りのファン全員がわかっているのに、それでも1000日以上連続で投稿されている。

毎日18時に投稿される動画を見るのは自分のルーチンと化していて、流し見とかももちろんあるけれど、多分初投稿からすべての動画を見ていると思う。

なんとなく、そんな惰性で見ている側面もあるけれど、そのリターンとして笑いがしっかり返ってくるから止める理由もない。
ワンピースの回とか見ていると、本当にせいやとの感覚が同い年すぎて楽しい。


動画の内容も多岐に渡るのだけれど、その中で今回紹介したいのはせいやの『監査シリーズ』である。

最初の方こそ、チェーン店であんまり頼まないレギュラーメニューを頼んでその味を監査しようという趣旨だった気がする。

ただ、せいやの頼んだことがないものが、あまりにもメジャーすぎることや、ネタ切れ感も相俟って、最近ではもう普通の食事の時間をただ監査と言い換えて動画にしている場合も多々ある。

実際これがしょうもなくて面白い。

せいやのボケも粗品のツッコミも存分に味わえるし、マックなどの庶民的なチェーン店の新商品を積極的に食べてくれるから有意義な情報も仕入れることができる。


そして、このシリーズのいいところはスポンサー契約や案件ではないところである。

企業にそこまで大きく気を遣わず、とても素直に味を評価してくれるところだ。
美味しくないとまではいかないものの、少し不満が残る場合は「わからーん!」と言ってくれる。

美味いものは「美味いんかーい!」と言ってくれるし、本当に美味いものは「めちゃくちゃ美味いんかーい!」

その上は初期の方に現れていたけれど、もう監査とか忘れて、身体をめいっぱい使って美味しさを表現して、子どものように「いちばん! いちばん!」とか言い出す感じだったと思う。

実際「美味いんかーい!」の評価以上で本当に満足できる美味しさのものが多い。このせいやの評価がめちゃくちゃ信頼できるのである。




生活に不自由はなかったと思うけれど、自分は決してお金持ちの家庭ではなかった。

毎日のように豪勢な食事を取るわけではなく、何かの記念日とかに、少しだけ高級なフレンチに行くとか、たまに贅沢する一般的な家庭だと思う。

そんな折、子どもの頃とかだったと思うけれど、頂き物か何かで松坂牛を自宅で食べる機会が訪れた。
そのとき、自分は松坂牛を初めて食べるとかでかなり期待値は高まっていたと思う。

焼く前から見たことないような霜降りの量、家族が焼き方もこだわってくれた。
色々手を尽くした上で、初めて松坂牛を口にする。



「うーん……」



いや、もちろん美味しかったけれど、期待値が膨らみすぎたのか、なんだかそれほどでもなかったのである。また食べたい、と強くならないというか。

なんなら油が多すぎてあんまり味を感じない。たしかによく聞く「口の中でとろける」という表現は適切だなあとは思った。
じゃあそれが「めちゃくちゃ美味しいのか?」と疑問が残ってしまったのだ。

このときは適切な言葉が見つからなかったけれど、監査シリーズを見た今なら、「わからーん!」と叫んでいただろう。




結局、自分は舌が庶民すぎるのだと思う。

格付けチェックでGACKTが高級な牛を食べて「油が上品」と言っていたのを聞いて「自分には理解できない世界なんだろうなあ」と感じたことを覚えている。

高校から大学にかけてはいつだって金がない。

高級な飯ばかり食べている場合ではなく、安くて塩分が高くて美味しいものを求めていたと思う。

そんな感じだから、嗜好もそちらに移った。安くてしょっぱいラーメンが美味しくてしょうがなかったのだ。

お洒落でわけの分からない料理を食べるのも、最低限のマナーが身に付くくらいには食べてきたとは思う。
けれど、わざわざ高い金払ってたくさん食べたいとはあまりならなかったのである。

自炊にハマった時期にこの動画を見つけた。

自炊を始めた人には恐らくみんなお馴染み「料理のお兄さんリュウジ」である。

バズレシピ、という要は美味しくて簡単なレシピを紹介してくれる非常に有用なYouTubeの料理チャンネル。至高のシリーズもマジで美味しいけれど、その中でも、自分は虚無シリーズが大好きだ。


虚無シリーズは、とにかくもう二日酔いとかで何もしたくねえけど人としてとりあえず何か腹には入れないといけないときに役立つ、超簡単で美味しいレシピを紹介するシリーズである。

リュウジ本人曰く、「虚無ばっかり食ってたら死ぬ」とのことらしい。たしかに栄養とかは何も考えていないレシピではある。
でも実際簡単でめちゃくちゃ美味いから、気を抜くとこればかりになる。実際、虚無焼きうどんとまぜそばを食べ過ぎてか口内炎が大量にできたことがある。

そんな中で、上記の動画はバター醤油ご飯を紹介している。しかもご飯もサトウのご飯をレンチン、味の素とバター、鰹節をかけて完成。

もうこんなの誰でも紹介できる、みんな一度は作ったことがあるはずなのである、それを料理研究家が紹介しているのがまず一個乗っかって面白い。

さて、バター醤油ご飯のコメント欄にこんな一節が載っていた。


「これを美味いと言ってくれるから信頼できる」

このコメントを見た瞬間に「これだ!」と思った。

その通りだ。この誰でも作れるような、雑なバター醤油ご飯を美味いと言ってくれるから、この人が紹介するどんなレシピでも美味しいだろうと思えるのだ。


せいやはそういう感覚をしっかり持っている気がするのである。

せいやが色々やらかしたお詫びにと、スタッフのみんなに高級中華をごちそうする回だ。

このときに、せいやが時価で提供されるアワビを食べるシーンがあった。上記動画の5分くらいからである。

「一口サイズのアワビがウン万円くらいする」というフリを元に、せいやはアワビを食べる。

せいやはそれを美味しいとは言わなかった。やっぱり「わからん」と言ったのである。この動画では店側に配慮して、具体的な店名は動画内で出してはいない。


実際、自分もそんなことが多かった気がするのだ。
もちろん美味しいもの多くあるけれど、めちゃくちゃ高級なものと言われて食べても、「めちゃくちゃ美味いか?」という感覚を覚えることが何回かあった。
実際高い金を払っているから「美味しいね」とは言うけれど、内心「そこまでか?」なのである。

これは少し大袈裟な表現にはなるのだけれど「高級なものがわからないのはセンスがない」みたいな感覚を、時世がやんわり否定してくれるような気がしている。

それがちょっと嬉しい。

もちろん、高級なものを食べてその味を堪能できる舌があればそれはそれで格好いいし、凄いことだとは思うのだけれど、自分の舌が庶民的であることもなんならめちゃくちゃよかったなと思っている。

安くて雑な料理の美味さがわかるのはラッキーだと思うのだ。これは自分のちょっとした自己肯定感である。




最新回の監査シリーズはマックだ。

実際食べてみた。ブラックペッパーはちゃんと美味しかった。
過去の写真フォルダを遡ったらモスバーガーのたまごのテリヤキも、おろしマックも食べていた。どちらもせいやが「美味いんかーい!」と言った商品である。
元々新商品を積極的に食べるタイプではないせいか、最近はせいやが美味いと言ったものしか新商品を食べていない気がする。

霜降り明星はしっかりインフルエンサーをしている。まんまと自分はやられている。


この監査シリーズ、どこかの回では半ば冗談で「企業が震えあがっております」という言葉をせいやは発しているけれど、実際に震えあがっているのではないのだろうか。

人気の若手芸人。ファン層も比較的若い。
平均20万再生されるYouTubeチャンネルで、「わからーん!」と言われるのはかなり怖いと思う。



霜降り明星の二人の評価を信頼できる理由に、「わからん」と言ってくれるというのが大きくあるけれど、ほかにも本当に美味しそうにご飯を食べてくれる二人だから信頼できるというのもある。

上記はバーベキューの回。その中でウインナーの食べ比べ、つまり監査を二人で始めたのだが、本当に美味しい美味しいと食べてくれる。

バーベキューは一応続き物だけれど、めちゃくちゃ笑える動画なのでぜひ見て欲しい。


最後に。

これは上記動画のネタバレにもなるのだけれど、最後はアルトバイエルンが優勝ということになった。
ただ、個人的にはアルトバイエルンとシャウエッセンを焼いた際に取り違えたと今でも思っている。肉がガッツリ詰まっているのはシャウエッセンのはずなのだ。

というわけで、いつもはシャウエッセンだけれど、アルトバイエルンを実際に食べてみた。バーベキューを少しでも再現しようと、結構な火力で焦がすくらいにして食す。


ほんまに美味いんか……?




「美味いんかーい!!!!!」



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