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【読む力】⑤泣けぬ原稿なんて

書く仕事をしている人が生み出す文章は完璧で、
編集者でも泣かされたら、一見わからない。
極限まで磨き上げた文章はそうなるらしい。

完璧な文章は、スラスラ読めてしまうから。
だからこそ、素人でも「私でも書けるかも」って
思えてしまう文章なんだ。

騙されてはいけない。
いくら、TikTokでサラっとダンス動画が流れてきても
あんな風には踊れないだろう。
やってみると、無理ってなる。
それが、文章も同じなのだ。
書いてみたら、無理ってなる。

だからまずは、泣ける文を読んで、感じて、味わって
読めるプロになっておこう。
読めるプロになっておけば、自分の書いた文を読む力が磨かれる。
その力をつかって、推敲できれば作品がキラキラ˖✧光ってくる。

ワンピースの尾田栄一郎も、初期作品はかなりテコ入れされていた。
あれが、最初にジャンプに連載されるときに、編集は2時間会議をした。
そこでは、まっぷたつに意見がわかれたそうだ。
それでも、意見が分かれる作品は大衆に届く確率が高い。
だれか、1人でも強烈に推す人がうまれる作品には何かある。

歌手の絢香もそうだった。
1本のカセットテープ。
そこに吹き込まれたデモ演奏に
ほとんどのプロデューサーがNOを出した。
けど、たった1人が激押ししたんだ。
そうして、世間でも受け入れられた。

自分の中の感情がひどく揺さぶられた。
現実逃避の小説でもいい。
その中の1文が、涙を誘ったなら
その感覚を大事にしよう。
その感覚は、みんな心の底にあるやつだから。
本音に近いから。
だから、揺れる。

本音と建前をうまく使い分ける日本。
今は、感覚が鈍って建前だけで生きている人がほとんどかも。
そうでもしないと、日々のストレスに打ち勝てないから。
不条理で、矛盾だらけの世の中に耐えきれない。
集団生活の中の限界を迎えてる。

人情が溢れる物語には、ストレス緩和の力がある。
ルールがきちんと守られる世界に落ち着く人もいる。

泣けぬ原稿なんて、原稿じゃない。
そこに魂が宿っていないから。
魂が込められた原稿は、人の心に響くのだ。


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