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【読書記録】センスは知識からはじまる

誰も見たことがない企画をつくることが大事なんじゃない。誰も見たことがなくても、狙ったターゲット層にちゃんと「売れる」企画でなければ社会からは求められないんだよ。

センスは知識からはじまる p5はじめにより

はて、「売れる」って何だろう?
それってやっぱり、センスのいいものでしょ?
私には、そんなセンスなんてないし……そう思っているなら違う。
センスは知識なんだ。
それを、「くまもん」を作った人が教えてくれた。


子どもの「センス」と大人の「センス」

絵を描く。歌う。踊ったり体を動かしたりする。
この三つは人間が原始的かつ生理的に求めてしまうものであり、美術、音楽、体育の三教科があてはまるというのが僕の考えです。

センスは知識からはじまる p24

子どもたちは、無邪気に絵を描き、歌い、踊っているように見える。しかし、だんだん評価軸の教育の中で生きて大人になるうちに、この分野は才能がない人しかダメだと思い込んでしまう。この感覚が問題なのだ。

「歴史がうまいね、下手だね」と言わないのと同じように、美術にうまいも下手もありません。
「知識を学んで今に生かす」という意味では、美術はほかのものとなんの変りもない学問であり、誰でも学ぶことで成長できるものだと思うのです。

センスは知識からはじまる p33

この辺りを読んで、「13歳からのアート思考」という本を思い出した。その絵の背景を知ることで、物の見方がかわってくる。もしかしたら、それが「センス」にもつながってくるのかもしれない。

「センスのよさ」がスキルに

人間というのは技術がその時点の限界まで進歩すると、ノスタルジックな思いに身を寄せ、美しいものを求める傾向があると僕は思っています。

センスは知識からはじまる p45

どういうことかというと、著者は戦国時代を例にあげてその後に発展した利休の茶や、ルネッサンス期の「なつかしさ」を求めた文化、産業革命後にウィリアム・モリスが美しいデザインの壁紙を作った例を挙げている。

最初は技術的なものを競い合うように磨いていき、時代が進んできてモノに「美」を入れてデザインが組み込まれていく大きな流れだ。

きっと、今で言うならAIの技術が伸びていく所からだんだん落ち着いてくるであろう。その時、きっと人間ならではの「美しさ」の表現や創造の方が伸びていくのだ。今よりももっともっと多くの人に。

これも僕の持論ですが、「美しい」という感情は基本的に未来でなく過去に根差していると思っています。ノスタルジーやなつかしさもフックになるに違いありません。
技術とセンス、機能と装飾、未来と過去。

センスは知識からはじまる p48~49

何だか、映画「ALWAYS 3丁目の夕日」を思い出す。あれが支持されたタイミングがやってきたように、歴史が繰り返されるのかもしれない。そうか、そういう時代の風を読む力も「センス」なのかも。


「センス」とは「知識」から

「センスがよくなりたいなら、普通を知るほうがいい」と述べました。そして、普通を知る唯一の方法は、知識を得ることです。
 センスとは知識の集積である。これが僕の考えです。

センスは知識からはじまる p74
p77をもとに円グラフ化したもの

まずこのグラフをみて、世の中には「あっと驚く売れない企画」が多いことを知る。その上で、あっと驚くとは?に目を向ける。
そして著者は言うのです。「あっ!」より「へぇ!」にヒットは潜んでいる。と。「あっ!」の中には、ちょっと未知への恐怖が潜んでいるからこそ、そこをとってあげると「へぇ!」まで行くようです。安心ポイントです。「え?」ってなると、欲しがる人は少なくなりそうです。

センスの最大の敵は思い込みであり、主観性です。思い込みと主観による情報をいくら集めても、センスはよくならないのです。

思い込みを捨てて客観情報を集めることこそ、センスをよくする大切な方法です。

センスは知識からはじまる p92~93

ここを読んだ時にふと思った。保育園にはたくさんの子どもたちがいる。毎日、お着替えをするのだ。小さい子は保育士が服を選ぶ。だが、上の服がしましまで、下の服がしましまだったら……ちょっと囚人服みたいになってしまう。だからこういうコーディネートはしないように無意識に気をつけたりするのだ。これが、センスかもしれない。主観性と客観性。
まぁ、子どもが自ら囚人服に身を包みたい!とゴネルこともある。そんな時は、本人の意思を尊重するのだ。子どもにとっては「センス」なんてものよりも、主観的感性(=その時の気分)が超大事なのだから。そんな時は、囚人ではなく、ウォーリーみたいでいいね!っと言ってあげるのだ。言葉の
「センス」だって大事。

話がそれてしまった。本に戻ろう。

効率よく知識を増やす3つのコツ

①王道から解いていく
②今、流行しているものを知る
③「共通項」や「一定のルール」がないかを考えてみる

この3つだそうだ。
①王道とは、定番やロングセラーのこと。「THE○○」だ。
②流行は、雑誌を見るとよい。
最後の「共通項」や「一定のルール」とは、知識を増やすよりも自分で分析したり解釈したりすることだ。

結局、「センスがある人」とは、③ができる人のことをいうのだろう。身の回りのものを吸収して、自分の体を通して調整している人。これを獲得するためには、感覚や気づきに敏感になるといいように思う。

書店を5分で一周してみよう

1万冊扱っている本屋さんであれば、一万人の考え方に触れることができます。書店は素晴らしい知恵の泉です。センスの源となる知識にあふれている場所です。

センスは知識からはじまる p164

素晴らしい本屋さんを5分だけ歩いて、あなたが気になったものは何か?
こんな些細な行動を毎日続けるだけでも、365個の知識のタネがあなたに増えていく。自分の感覚を磨く知恵である。これはメモしておかねばと思いここに書く。

他にもいろいろな知恵がこの本に詰まっているので、気になる方は読んでみるといいだろう。あなたの「センス」がきっと増えていくはずだ。知的好奇心に導かれて、本屋に行くといい。

私は今すぐにでも夏休みの家族の昼ご飯づくりをほっぽりだして本屋に向かいたくてたまらない。うずうずしている。ふと、パソコンの前から逃げるように立ち上がり、青い空が見える窓の外を眺め、セミの声を全身で浴びたのち昨日は全国で40℃だったと思い出し断念する。やっぱり放ってはおけないしと、家族のために冷蔵庫に向かってしまうことになった。

おわりに

私は、料理人ではない。ただの主婦だ。
それでも、レパートリーが増えたら家族に美味しいものをたくさん作ってあげられる。レパートリーとは知識である。料理の腕は、行動でしか磨かれない。幾度もつくってみるしかない。知識ばかりを追うのではなく実践も大事だ。こうやって、たとえメニューが冷やしうどんだったとしても上にネギと揚げ玉をちょこんと乗せたら「美しく」なるというセンスを忘れてはいけないのだ。たとえ、それがあっと驚く売れない企画(料理)だったとしても、世の中の64%はそんなものなのだ。

インスタ映えしていたりヒット企画(料理)は、本屋さんでレシピ集にすでになっている。それを参考にしてもいいが、自分の家族のヒット企画は、お母さんしか知らなかったりする。アレルギーに気をつけて、子どもの好みに合わせて、彩りも重視して、タイミングも重要だ。それだって立派な「センス」だ。大いなる経験値なのだ。

本のベストセラーはたった一人のために書かれているものが多いと聞く。
家で料理をする人は、たった1人のために作ることも多いはずだ。それが夫だったり、子どもだったり、自分だったり。その時に、食べたいものを食べたいだけ作れる人は、まさしくヒットメーカーになれる。
いつもの料理より、ちょっとこだわった美味しい1品は武器になる。あなたという人の評価を爆上げするだろう。
「また、作って♡」と言われたら大成功だ。

誰も見たことがなくても、狙ったターゲット層にちゃんと「売れる」企画が作れた証拠である。







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