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【読書記録】保育士よちよち日記

第1章 保育士の多忙すぎる日々
第2章 保護者には言えない話
第3章 どうしても好きになれない子
第4章 叱る保育士、叱らない保育士
こんな感じの構成だった。気になる方はこちらから

これは、派遣保育士である大原綾希子さんの実体験の記録だ。
読んでみて、だよね!って思う所と
この園だと大変そうだなって所と、
正規職員ではないからこその視点だなっていう所を思う。

私も現場を離れたからこそわかることもある。
あぁ、持ち帰り残業って当たり前じゃなかったんだな。
絵本やおもちゃを自腹で買うのって社会人としては違うんだ。
やっぱりどこも人不足だな。
そういえば、私も叱れない時あったなぁ。

ぶっちゃけ子どもから聞かれて、言葉に詰まる質問もあった。
それは、子どもから親や他の保育士にわざわざ知られたくないことを聞かれたとき。

「先生の好きな食べ物は?」」(これは比較的簡単だが、オムライスと本音を言おうとして目の前の子が卵アレルギーなら配慮してイチゴに変換。個人のアレルギー情報も外部には漏らしてはいけないのでいろいろ気を遣う)
「先生、何歳?」(おそらく、親から聞けと言われている。特に母親が自分の年齢より上なのか、下なのか確認するためだ。)
「先生、彼氏いるの?」(割と、若い先生が聞かれがち。彼氏がいないとなんだかそわそわしちゃって、はぐらかす。それを近くにいるベテラン先生が聞き耳をたてている。)
「先生っておうちどこ?」(かなり個人情報。近くにお迎えの保護者がいたらやすやすとは話せない。まぁ、偶然スーパーで会うこともある)

ちなみに、この本の作者は、ショートヘアだったそうだ。だから子どもからこんな質問をうけたらしい。
「先生って、男?女?」(確認のために胸をさわってこようとする男子)
作者は、やさしく制した。

社会人ならセクハラになるであろうこと。
保育士にやたらキスを迫ってくる子も実際いた。
きっと、おうちでも愛されまくっているのだろう。
鼻水のたれた顔がゆっくり唇に近づいてくるのをスッとよけて他の遊びに誘う技を身につけた。さぁ、おひざの上で絵本タイムだ。
スキンシップは大事だけど、限度というものがある。

子どもたちも色々な子がいるように、
保育士も色々な人がいる。
単純に人手不足で余裕がないから、無駄に叱る人もいるが
雰囲気のいい園というのは、環境も大きい。
残業せずに済むように、必要台数のパソコンがあるか。
先輩から後輩への指導が適切にできるくらいに先輩側に余裕があるか。
園の方針は、現場にあっているものになっているか。
おもちゃや遊具は適切な量、揃っているか。

ただ、この本には現場の解決策など書いてはいなかった。
ただ、作者から見た現場の様子が淡々と描写されている。
私は、すでに知っている。
でもここには、答えは書いてない。

保育現場に17年いた私には、答えがある。
子どもたちは、原石だ。
それを見つけられるのが幼児教育に関わるすべての人だ。
伸ばすのは、先生ではなくその道のプロたちだろうと思う。
教えるんじゃなくて、自分の姿を見せられる人たちだ。
ようするに、原石を伸ばすには、自分を磨くしかない。

先生は、沢山の子どもたちを見て比較ができる。
比べちゃダメとよく言われるが、比べることでその子の好きや得意が見えてくる。逆に、嫌いや苦手も見えてくる。
先生たちは、嫌いや苦手に敏感だ。それを強制しようとしがち。
ただ強制して、みんなと同じでうまくいっていた時代は終わった。
終わったけれど、脈々と続いているだけ。それしか知らないから。
そういう体制だから。
もちろん理想の形にするには多くの人がいる。

おそらく、これからの時代は好きや得意を伸ばせるような環境を
保育園以外の場所と連携して育てていくことが重要だ。
子どもたちの方が大人たちよりも柔軟で素直だから、伸びる。
子どもたちの目から見て、あいつかっこいい!という大人が近くにいることが。あの人すてき♡という大人が近くにいることが一番の学びだ。
ある時は、それが大自然になることもある。ある時は、作品かもしれない。
つまり、子どもたちが自分じゃ到底太刀打ちできない大きなすごい力、大いなるものや人という存在だ。

知恵は老人が身をもって教え、実務は壮年から学び、遊びを青年から盗み、思いっきり楽しんで笑って雰囲気をつくるのが子どもたちだ。
みんなができることを提供する。そうしたら、日本は元気になる。

狭い所に、女と子どもだけを閉じ込めるからいけない。
もっと、沢山の人と協力しないといけない。
守りばかりじゃ、発展はしないから。

知恵の実は外にある。テクノロジーもどんどん進化する。
テクノロジーは子どもの情報を欲しがってる。
子どもをニュートラルな目で記録できる人が足りていない。
親のお金を巻きあげる情報よりも、個別の特性記録の方がよほど役に立つ。
決めつけるのはよくないが、迷っている人の指針ぐらいにはなるはずだ。
社会に居場所がないなら創ればいい。そのために、みんなの理解が進むようにテクノロジーの力を借りればいい。

まぁ、理想論だ。
いいじゃん、理想を語っても。
現状だけを淡々と語っても楽しくないじゃん。

私は、ずっとやってきた。
「楽しくなければ保育じゃない!」って。
それは、今も変わらない。
もがきながら、理想を描いて、遊びながら生きるのを楽しんで
「あぁ、楽しかった!」って思って死にたい。
だから、模索する。
だから、遊ぶ。家族と一緒に。
それぞれが好きなことを思いっきりやっちゃいな!

そんな事を思った。


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