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我が子に教えようとしたら、逆に4つの時間の存在を教えられてしまった


正解だけど、できないこと

やった方がいいのは、わかっている。
でも、できない。
そんなことって誰にでもあると思う。

そんな簡単なこと?
でも、毎日は無理でしょ……。
そう思う。

何が正解なのかは人それぞれだけど
地球に優しくするのが正義だとしたら
皿洗い1つとっても、
スポンジを使わず、庭で育てたへちまを使い、
水に流しても安心な洗剤を選び、
食器を洗った後に、すぐ布巾で拭いて
食器棚にしまい、シンクもコンロもピカピカにして終わる。
これが、普通のルーティーンになっている人は
どのくらいいるのだろうか?

少なくとも、私は違う。
さぼる。
ありがとう、食洗機。
ありがとう、文明の利器。
どこかの誰かさんのお知恵で、
五徳すら食洗機に任せた方がいいと学んだ。
へぇ!これもいけるのか!
ありがとう、SNS上の誰かさん。

皿洗いにしても、
掃除にしても、
ご飯作りにしても、
服選びにしても、
メイクにしても、
勉強にしても、
仕事にしても、
感情コントロールにしても。
いや、最後の感情コントロールが一番難しいのかもしれない。
これができないから、結局もやもやするんだ。

感情コントロールを一番学ぶべきなのは子どもたちだ。
人は、社会で生きていくから。
ある程度は、自分で自分をコントロールできないと
生きにくい。
だからこそ、保育園で教えてきた。
だからこそ、我が子にも教えておきたかった。

定型発達の子はいい。
普通の子は、勝手にそれを学んでいく。
ただ、気質として小さい頃から、
感情コントロールがめちゃくちゃ困難な子もいるのも学んだ。

で、うちの子は?
育ててみてわかった。
普通だけど、ちょい頑固。
つまり、感情コントロールがめちゃくちゃ困難な子に
対応するやり方を少し取り入れた方がいいのだろう。
これは、育てる側のスタンスの問題だ。

だから、私はタイムアウトを使うことにした。

嫌な気持ちをふりまいて

タイムアウトとは、
感情が高ぶってしまった時に一旦冷静になれるように
別の場所で時間をおくこと。
保育現場ではよく廊下が使われた。
マンガでよく廊下に立たされている子が描かれるが、
あれを可哀想な目でみるだけはやめてほしい。

誰もいない、集団から抜けて
少し冷静になれる場所が必要な子もいるのだ。

で、息子の場合。
我が子が兄弟げんかをした時や
自分でいった約束をすっかり忘れて守らなかったときなどに
家族にやいやい言われてしまい、
おもしろくなくなって、
ぷくっと膨れて、泣きわめいて怒る。
そんなことが、時に起きる。

その時、彼は隣の和室で一人丸まる。
これが、タイムアウト。
イヤーな空気が流れるが、口に出すのは我慢する。
彼が自分で立ち直れるように時間をとる。

……。
しばらくしたら、ちゃんと戻って来られる。
この時間が短い子は気持ちの切り替えが早く、
この時間が長い子は気持ちの切り替えがゆっくりだ。
集団生活では、早いのをよしとされがち。
でも、本来はこの時差は個人差だから
ゆっくり戻って来られればそれでよいのだ。
この時間を急かしてはいけない。

それは、頭ではわかっている。
けど、待てない人が多い。
待てない人は、お節介がしたい人だ。
お世話好きがこの罠に陥る。

そんな人が良くわかる、
タイムアウト中の本人の心の内をご披露しよう。
これは、私自身もほぅ、と思ったから。

息子に、聞いてみた。
「もし、友だちが息子君みたいに落ち込んでたら
何て声をかける?」って。
そうしたら息子は言う。
「起きろー!」って。(マジか)
「じゃあ、お母さんが息子くんが落ち込んでいる時に
起きろー!って声をかけてもいい?」
「ダメ。」
ここで、よくよく自分を思い出していたようだ。
そして、本当のことを教えてくれた。

①感情を落ち着かせる時間

「あのね、まずムキーってなったら
感情を落ち着かせる時間がいるの。
それに時間がかかるんだ。」
(ほぅ。よくわかってるじゃん、自分で)
「でね、涙が出てきて……」
(ふむふむ。)

②涙を乾かす時間

「そのね、涙を乾かす時間がいるの。」
(おぅ、ティッシュで拭けばよいのでは?
自然乾燥タイプなのですね。)
「で、涙が渇いてきたら心が落ち着いてきて……」
(それで?)

③勇気が出てくるのを待つ時間

「次に、勇気を出す時間がいるの!
あのね、感情が出ているときはそれができないから。
まず、感情を落ち着けるの。それから勇気が出てくるのを待つの。
これにもちょっと時間がかかるの。」
(おぉ、感情的になっている時は理性で考えられないって
肌でわかってきたらしい!すごいぞ我が子)
「でね、勇気がだんだんでてくると……」
(ふむふむ。)

④元気がでてくる時間

「勇気が出てきたら動けるようになるんだよ。
元気になって。それまで時間がかかるんだよ。」

おぉ、小学4年生なりに頑張って言語化してくれた。
これは、うちの子の場合だが。
感情を落ち着けるクールダウン期、
冷静に考える時、
行動に移す時、
がある。
これって、みんな同じだと思う。

個人的には②涙を乾かす時間がツボだった。
これは、キミだけだ。

タイムアウト時間を言語化してくれてありがとう。

こどもの日

母親自身が嫌なことに出会った時、
おそらく、耐えるか
ストレスを何かしらの方法で解消する。
我慢して何も感じないようするか、
夫に話を聞いてもらって発散するか、
ノートに書き出して昇華するか、
一人で泣いて気持ちを落ち着かせている。
それは、いつの間にか身に着けたこと。

我が子も頑張ってる。
今、そういうスキルを身に着けている最中だ。
ゲームの時間が約束の時間よりオーバーしちゃったり、
友だちとの待ち合わせに遅れちゃったり、
小学生なりにいろいろある。

その中で起こるいろいろな嫌なことを受け入れて
冷静に対応する力を獲得する。
彼の中に涙を乾かす時間が入っているとは思わなかったから
思わずこうやって書き残しておこうとしている私は
きっと、我が子の成長が愛おしんだろう。

それぞれ、嫌なことを昇華する方法は色々あると思う。
自分の心の落としどころは自分で見つけるしかない。
でも、たまにこうやって人の内面を教えてもらえると
よくわかる。
傍から見たら、じっとうずくまっている丸い背中だけ。
でも、内面はぐるぐると螺旋階段を昇っていくように
降りてしまった気持ちを昇らせている。

今日は、こどもの日。
鯉が滝を登って竜に変化する。
そんな伝説からこいのぼりがうまれた。

滝のように上から急激に降ってくる嫌なことだって、
負けないで泳ぐ鯉のように乗り越えて泳ぎ切って
すがすがしい気持ちで龍に変身してしまおう。
そんな経験を積み重ねて大きくなる。

私は、滝の上から登りきることを信じるしかできない。
でも、そういう時間もまたいいものだ。

我が子の腕には、
あいかわらず両手にギブスがついているけれど。
健康で大きくなることを祈って。


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