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給料を下げずに労働時間を1時間短くしたらどうなる?           ~こどもまんなか社会で私たちができること~

こんにちは。一般社団法人こどもの未来につながる働き方研究機構代表理事の菊地加奈子です。
今回は社団についてではなく、私が代表を務めるもう一つの法人、「社会保険労務士法人ワーク・イノベーション」の働き方改革について紹介したいと思います。

今年の秋から、正職員について、基本の労働時間を8時間から7時間に短縮することにしました。現状、私たちの社労士法人では8時間の基本的な正職員の他に7時間・6時間といった短時間正職員を選択できますが、今後はスタンダード(上限)が「7時間」ということになります。

でもそれに伴ってお給料も減らされるのでは意味がない。
 ということで、今回の改定では8時間のときの給与水準は維持したまま、時間だけ短くします。同時に7時間・6時間の正職員は労働時間はそのまま、給与水準をアップします。

こんな感じです。

宣言するのは簡単ですがなかなか大きなチャレンジ。
仕事の質を下げたり、単なる料金引き上げをして売上を確保するのではなく、満足度を高めながらしっかり利益を生み出すしくみをつくるためにかなり思い切った改革を行っているところです(こちらについては形になったら改めてご紹介したいと思っています)。
でも忙しくてスキルアップ・ステップアップする学びの時間も確保できず目の前の仕事で精一杯なのと、学びを深めながらどんどん仕事の質を上げていくのとは長期的には後者の方が絶対に成果が高まる気がするのです。

こどもまんなか社会に対して私たちができること

職員が利用できる保育園をつくったり、時短勤務を小学校卒業まで可能にしたり、フルフレックス・フルリモートなど、仕事と子育ての両立という点ではいろいろなことをしてきました。

でも「こどもまんなか社会」の実現に向けて本気のアクションを起こしていこうという機運が高まる中、これまでのような「目の前の職員の両立支援」にとどまらない意識転換が必要なのでは?
そんな風に考えるようになりました。

では何ができるか?
「労働時間を短くして、生活が充実しているということを誰もが実感できる社会」を社労士事務所のメンバーである我々が率先してつくっていくこと
このシンプルな結論に達しました。

「こどもまんなか社会」って、育児中の人たちに対する限られた支援と、小さな子どもが対象でしょ?って思われているかもしれませんが、こども家庭庁が示している「こども」の定義は心身の発達の過程にある者。明確な年齢の区切りも基本ありません。親として、法人として、職員の子どもたちが大人になるまで全力で支援すべきです。

なぜならば、自分の娘・息子たちがあと数年もしたら社会人になるのです。わたしたちの子どもたちが子育ても仕事も楽しめる世の中にしていくこと
社労士法人がそれを実践する意味は大きいと思っています。

保育・教育の質を高めていくために

そして保育や教育に携わる職業の方々に対しても。
「働いていて子育てが難しい親たちを支えるのが仕事」
「親の代わりに教育を施すのが仕事」
ではなく、
子どもをまん中に、一緒に目の前の子どもたちを育てていくためには、
「保育・教育の受け皿の整備」ではなく、「質の高い保育・教育を社会全体でつくり上げていく」ことが大切。
そうしたことを、親や親が働く企業の意識が変われば変化を起こせるのではないか、
そんな風に思っています。
 説教がましく「子どもがかわいそうだから保育時間を短くしましょう」「子どもの勉強くらい親が責任もって見るべき」なんて言い方はナンセンスであることも分かっています。いろんな職業・家庭の事情がありますから。
でも社会が変わることで保育・教育現場がより良くなっていくのであれば、チャレンジの価値は大きいのではないでしょうか。

保育現場の働き方改革を死ぬほどやってきた中で感じる限界でもありました。「福祉」という役割も担っていることや、福祉の仕事に就く人たちに立ちはだかる「公定価格」という名の待遇の限界。
だからこそ、社会が変わってくれないと、イノベーションは起こせないのです。

これからのスタンダード

1日8時間というのは労働基準法で決められた、いわば「最低基準」なわけで、別に8時間働かないと正社員ではない、なんていうことはないのです。社会保険の適用についても週30時間以上から20時間に変わっていっているくらいですから。
 そう考えると、「何時間だと最大の成果が出せて生活が充実しているという実感が得られるか?」と自由な発想で逆算できるのではないかな、そんな風にも思います。
「時短勤務」とか、「特別な事情によって制約がある人」といったくくりではなく、皆がフェアに充実した職業人生が歩めるように。
そんな環境を作りたいです。

 私たち、とても良いチームなので退職者がいないためにどんどん高齢化していて子どもたちも大きくなっている人も多いのですが(代表の私は開業来、延々と乳幼児を育てていてしっかり高齢化しています)、
一方で、親の介護とか子どもの受験とか、手は離れても心に寄り添ってあげたい時期だとか、自分自身の体調のことだとか、趣味とか勉強とか・・・
仕事に影響を及ぼす何らかの制約は「育児中の職員」にとどまらず、もう誰しもが人生の100%を仕事に捧げられるような人はいないということも切実に感じているところです。

 ということで、仕事の質をしっかり上げてしっかり収入を上げて、本当の意味での豊かな人生をデザインできるよう、
まずは私たちがはじめの一歩を踏み出してみようと思っています。
それが回りまわって、子どもたちに還元されるのであれば幸せなこと。

私たちの取り組みに賛同してくださる方が増えていくと嬉しいです。
社団としても、しっかりと発信・取り組みにつなげていきます。
一緒に取り組みたいと言ってくださる方、ぜひ社団の会員としてお名前を連ねてくださると嬉しいです。
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一般社団法人 こどもの未来につながる働き方研究機構

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