家族のケンカが苦しいと思っているあなたへ

Q  うちの両親のケンカが絶えません。ちょっとしたことですぐ怒鳴り合いになります。最近は、新型コロナの影響で家での仕事が増えたのか、仕事自体が少なくなったのかわかりませんが、お父さんが家にいることが多くなり、ケンカが前より多くなっています。たまにお父さんがお母さんに物を投げたり、殴ったり蹴ったりもしてきます。
 自分に向かってではないのだけど、怒鳴り声を聞いていると、こわいです。
話の内容は自分のことを話していることもあります。離婚という言葉が出てくることもあります。
 正直、両親の怒鳴り声を聞きたくない。でも自分では止められないです。自分のせいで仲が悪くなってるんじゃないかとも思います。
 最近は夜なかなか眠れなくなったり、頭が痛くなったりします。

1 あなたは悪くない。

 両親の争いを目にすると、その声を聞くだけで辛くなってしまいますよね。またお父さんがお母さんに暴力を振るう(逆の場合もあります)のを目にしても、あなたはなかなか助けることはできないだろうと思います。そんなとき、助けられない自分を責めてしまったり、争いの原因は自分なんじゃないかと、罪悪感を持ってしまったりするかもしれません。
 でも、まず知ってほしいのは、あなたは決して悪くない、ということです。
お父さんやお母さんは、いろいろなことを理由に、争っているかもしれません。時には、子育てや教育のことなどにも関係して、あなたのことも話に出しながらケンカすることもあるかもしれません。しかし、理由は何にせよ、暴力を振ることは正当化されないし、あなたが逃げ出せない状況の中で怒鳴り合いを聞かなければならない理由はないのです。

2 「面前DV」という言葉を知っていますか。

 DVとは、「ドメスティック・バイオレンス(domestic violence)」の略称で、「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いとされます。この暴力とは、殴る蹴るといった物理的暴力だけではなく、怒鳴るなどの暴言も含まれるとされています。
 そして、面前DVとは、子どもの前(面前)でそのようなDVが行われる、という意味です。
 つまり、お父さんがお母さんに(逆の場合もありますし、血の繋がりはなくとも、一緒に住んでいる大人、の場合もあるかもしれません。)暴力を振るうのを、あなたが目にすることを、「面前DV」という言葉で表します。

3 「面前DV」は、児童虐待(心理的虐待)にあたります。

 児童虐待とは、保護者がその監護する児童(18歳未満)に行うもので、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待があるとされています。
 この中で、子どもの前でDVが行われること(面前DV)は、子どもへの心理的虐待にあたるとされています(児童虐待防止法2条4号)。
 つまり、あなたの目の前で、家族が怒鳴り合いの喧嘩をしたり、時には暴力を振るわれたりしている場面を目撃しているなら、たとえあなた自身は暴力や暴言を受けていないとしても、それは、心理的虐待を受けている、といえるのです。

4 あなたの不安やストレスは「面前DV」によるものかもしれません。

 「面前DV」による心理的虐待によって、自分では対処することができないような心理的ストレスを抱えたりすることが心配されています。具体的には、不安や心配が大きくなる、おびえる、自分は悪い子だと感じる、自信がなくなる、自己肯定感が低くなる、といった影響が考えられます。
 また,大きすぎるストレスによって、体調が悪くなる、夜眠れなくなる、落ち着きがなくなる、気持ちがコントロールできなくなるといった心身の発達にも影響を及ぼします。さらに、最近の研究ではDVを目撃し続けたり、親から日常的に暴言を受けた子どもは、脳にも影響を受ける可能性が指摘されています。

5 話を聞いてもらうことから、始めよう〜各種相談窓口〜

 これからどうすればいいか、迷っていることも多いと思います。
もし、あなたの周りに相談できる人がいないのなら、下で紹介するいろいろな相談窓口に相談してみてください。あなたが今どんな状況にあるのか、これからどうしたいのかをしっかり聞いた上で、少しでも前に進めるようにアドバイスをしてくれる大人は、必ずいるはずです。

<電話で話せる相談窓口>
電話で相談できる窓口を紹介します。どの窓口もあなたの話を親身になって聞いてくれるはずです。話しやすいところにかけてみてください。

東京弁護士会子どもの人権110番 
TEL 03-3503-0110
平日 13:30~16:30、17:00~20:00(受付時間19:45まで)
     土曜 13:00~16:00(受付時間15:45まで)
普段から子どもたちに関する相談に乗っている弁護士が電話にでます。遠慮なく、相談してみてください。
児童相談所全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」
TEL 189(通話料無料)
「児童相談所」という、都道府県や指定都市等が設置する子どもに関することの専門機関です。 
いのちの電話(一般社団法人 日本いのちの電話連盟)
TEL 0120-783-556
*毎月10日午前8時から翌日午前8時まで
*IP電話(アプリケーション間の無料通話を除く)からは03-6634-7830(通話料有料)

<LINEやチャットで話せる相談窓口>
電話はちょっと…LINEやチャットで気軽に相談したいときには、こちらがいいかもしれません。

チャイルドライン
TEL 0120-99-7777
チャット https://childline.or.jp/chat
18歳までの子どもたちの相談にのっています。チャットは日にちが限られていますので、「チャット」のページで確認してください。
子ゴコロ・親ゴコロ相談@東京
東京都の児童虐待を防止するためのLINE相談です。
第二東京弁護士会有志による「LINE相談」(代表:黒松百亜弁護士)
2020年7月中は、月・火・木・金・日の週5日(水・土がお休み)の、
午後5時~午後7時
こちらも普段から子どもたちに関する相談に乗っている弁護士が相談に乗っています。Twitterでもメッセージを発信しています:https://twitter.com/10LINETokyo1
全国トラブルシューター弁護士ネットワーク(トラ弁ネット)
緊急無料ライン相談
 (対象:知的障害者・発達障害者 診断の有無を問わず)
一般社団法人 若草プロジェクト 【女性】
 LINE・メール相談  (対象)10代、20代の少女・女性
特定非営利活動法人 BOND プロジェクト 【女性】
10代20代の生きづらさを抱える女の子のための支援
◇LINE相談  対象:10代20代女性
毎週 月・水・木・金・土曜日
【第1部】14:00〜18:00(相談受付 17:30まで)
【第2部】18:30〜22:30(相談受付 22:00まで)
◇twitter @bond_project
◇instagram https://www.instagram.com/bondproject/

<メールで相談の窓口>
もちろん、私たちも相談に乗ります。私たちのメールアドレス(kodomototsunagaru@gmail.com)にご連絡ください。
またこのページにも私たちへの連絡のしかたが載っています。見てみてくださいね。