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湯舟


(短歌)


コーヒーのドリップパックのくみたてがなんだかたのしいときづくあさ



(掌編小説)


「ねぇ、おとうさん、おとうさん。それってなんなん?」

「へ?」

カップの上に、ドリップパックの(いただきものの)コーヒーをひとつセットしようとしていると、つま先立ちをしながらテーブルの上を見上げてるこどもと目があった。

「あー、これ?これはコーヒーを淹(い)れるためのものだよー」

「えー。なんだか、おもちゃみたい」

(ずこっ)

「(ふっ)、そういわれてみたらそうだよねぇ」

(いつものと淹れ方がちがうから、なんだかおもしろそうだったのかなぁ?なんてぼんやりと思っていると)

「うん」

といったまま、こどもは、じーっとしてる。くちをひらいたかとおもえば、「それ、つくる!」と、とつぜん言いだす。なんだなんだとみていると、リビングのはしっこにおいてある、いろんなおかしの箱や、さまざまなたべものなんかのつつみ紙、台紙(厚紙)を取っておいてある、まさにトッテオキの宝箱をひっぱりだしてくる。

こうなると、ここは、あっという間に図工のじかんの、はじまり、はじまりー



「どれ、どれ」と厚紙でつくったドリップパックに、ちょうどいいくらいのやかんのお湯をそそいでみる。

ふたりぶんのドリップパックには、澄んだ朝の空気もとけこんでいった。


(了)





※(紙の)ドリップパックって、いつから、いつまでつづくのだろう。こういうシンプルなアイデアとか技術って、すごいなぁって思っています。


※ 11/28 再度手直ししました(すこーしだけ)




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