企画迷子から脱出しよう
(このnoteはエンジニア養成学校G's ACADEMYのアドベントカレンダー20日目の投稿です)
児玉です。年末ですね。
ジーズ創立から4年半、累計1000件ほどの起業や事業企画の壁打ちをしてきました。
ジーズメンバーはみんな入試を突破した優秀な方々ですが、起業や資金調達など華やかな成功もある一方、豊富なビジネス経験があるのに企画段階で迷子になってしまういる方もいます。
なぜそういう事が起こるのでしょうか。
それらの原因と3つの解決方法をまとめました。
事業企画講座は受講したけど、なかなか納得いく企画に辿りつかないー!という方はぜひお読みください。
おさらい:事業企画ってなんだっけ?
● Who/What 誰の、どの課題を
● How どうやって解決するの?
● Why me なぜあなたがやるの?
の三要素を決めて、一連のストーリーを作る事です。
どんな事業でもここがしっかり決まれば、はい出来上がり。この段階では経営知識も経済学も不要です。
でも、3要素は決まっても、なんとなく自信が持てないままの方もいますよね。
エッジの効いた企画を自信満々にプレゼンするクラスメイトや、1兆円ぐらいの市場規模を目指してビジネス用語をいっぱい話す先輩の企画を見ていると、なんか自信がなくなってくる気持ちもわかります。
でも、安心してください。企画は決して難しくありません。
まずは以下の3つをやってみましょう。
01:他のサービスのWhy me(ミッション)を研究しよう
「UBERはUIがいい」とか「インスタっぽい〇〇」「△△のビジネスモデルはキツイね」「□□はスケール厳しそう」とか評論するの、楽しいですよね。
でも、私達はしばしば新サービスに対して、誤った第一印象を持ちます。
・iPhone 発売当初の評判:「おサイフケータイが使えない」「赤外線がないなんてありえない」
・Facebookの2010年ごろの評判:「日本人には実名で登録するSNSははやらない」
未来を読み間違える原因、それは、自分の目の前でいま起きていることの延長で将来のことを考えやすいという人間の性質にあります。
まずは色々なサービスを深く見るクセをつけましょう。
Google が自動運転車の開発をはじめたときも「なぜ、検索エンジンの会社が?」と不思議に思った人は多かったと思います。でも「世界中の情報を整理して誰にでも利用可能にする」という彼らのミッションを理解していれば、どうでしょうか?
自動車から得られる情報を活用した新しいサービスを考えているんだな、ということはなんとなく推測がつくはずです。
サービスの短期的なビジネスモデルや、プロダクトの良し悪しだけではなく、そのサービスの「ミッション」を知ることで、彼らの事業企画(Who/WhatやWhy me)を推測することができます。
サービスを深く知るためには、
1.まずはプロダクトに触ってみる
2.その会社のミッションから、その会社のWhy meや想定ユーザーを想像してみる
というトレーニングをしてみましょう。
これは自分の企画にも必ず活きてきます。
02:1度でいいから1:1で解決してみよう
「マネタイズが全然思いつかなくて…」「スケールしなさそうで…」という悩みの方、よくいます。なんとか捻りだそうとしてビジネスモデル(How)をうんうんと唸って考えています。
でも、ちょっとまってください。
マネタイズ(だれからお金をもらうか)が見つからないときは、ビジネスモデル(How)よりも『Who/Whatが高解像度で見えていない』ケースがほとんどです。
ユーザーがどんな場面で、どんな気持ちでサービスを使うのか、充分に想像できていないんですね。
そんな時にはまず、テクノロジーはほぼ使わずに、想定するユーザーと1:1で、ユーザー課題(What)を自分の人力で解決する、ということをやってみませんか?
例えば、家事のシェアリングサービスを考えたのなら、まずは想定ユーザーに近い知人や親せきのお宅の家事をご自分でやってみるのはどうでしょう?
課題の真因はもちろん、その課題解決のために今ユーザーが使っているサービスと金額もわかるかもしれません。
1:1でWho/Whatの解像度がUPすると、その後には効果的な解決方法「How」を考えることが可能になります。
Who/Whatが浮かばないと『じゃあターゲットは私』となりがちですが、それは妥協です。
自分ではないユーザーの事を真剣に考えるからHowが豊かになります。
とりあえず迷ったら、諦めないで「直接会ってWho/Whatの解像度UP」。
一度でいいので、ぜひやってみましょう。
03:Why meはスタートでありゴールでもある。
事業企画とはすなわち「ストーリー」です。
この「ストーリー」が事業のコアになります。
以下は私の大好きな「サピエンス全史」からの抜粋ですが、「ストーリー」について以下のような興味深い見解をだされています。
私達の言語が持つ真に比類ない特徴は、人間やライオンについての情報を伝達する能力ではない。むしろそれは、まったく存在しないものについての情報を伝達する能力だ。見たことも、触れたことも、匂いを嗅いだこともない、ありとあらゆる種類の存在について話す能力があるのは、私たちの知るかぎりではサピエンスだけだ。
(中略)
虚構、すなわち架空の事物について語るこの能力こそが、サピエンスの言語の特徴として異彩を放っている。 - 『サピエンス全史』
だが虚構のおかげで、私たちはたんに物事を想像するだけではなく、集団でそうできるようになった。(中略) 大勢で柔軟に協力するという空前の能力をサピエンスに与える。 - 『サピエンス全史』
要約すると「架空のストーリーを信じる、というチカラは他の生物にはない能力であり、人類の進化の源泉なんすよ」、ということが様々な事例を用いて、ものすごい説得力で説明されています。(まあもっと詳しい内容はぜひ本を手に取ってお読みください。まだ読んでいない方は年末年始にぜひ。めちゃめちゃ面白いですので)
少し脱線しましたが、人間はこの「ストーリー」に惹かれて、新たな行動を始めます。
それはあなた自身も決して例外ではありません。
特に事業企画は、まずは『自分を動かすための企画』です。
周囲の人達から批判されても、逆風でも、最後までやり切って走り続ける上での軸となって機能します。ぜひ固めておきましょう。
Why me、Who/What、Howができたら、以下のように並べて、ストーリーになっているか確認してみましょう。Why meを起点として、最後もWhy meに帰ってくる起承転結のストーリーに仕立てます。
起承転結とは
黒澤明監督作品の脚本を複数担当した脚本家の小国英雄は、ストーリーの構成における起承転結を、以下のように解釈している
・起: 主人公の置かれている状態、劇の説明
・承: 主人公の置かれている状態にある事件が起こり、これから段々劇が展開して行く過程
・転: 一つの劇のヤマ場で結果に赴く為の転化
・結: 承、即ち事件とそれによって起こった転化によって出された結果
(Wikipediaより引用)
シンプルにまとめると、
『私は△△△な価値観の人間です。だから○○な人の○○の課題を、○○〇〇な方法で解決して喜んでもらえれば、私の△△△が実現して私も幸せになれます』
という架空のお話が事業企画です。
ぜひ小説家か脚本家になった気分でストーリーを創ってみてください。
特に自分が一番感動するストーリーを創りましょう。
最後に:企画をもっと楽しもう
ジーズで成功した人たちに共通しているのは、まだ何も無い頃からめちゃくちゃ楽しそうに自分の企画を語っていたことです。これはみんなそうですね。
自分が誰よりもワクワクして企画を考えるのはほんとに強いと確信してます。
もし事業とかビジネスって言うと固まってしまうなら、『ハッピーエンドのドラマの脚本を自分で創るんだ』ってつもりで取り組んでみましょう。
もし大勢の人に話すのが「恥ずかしい」なら、まずクラスメイトに話して、意見をもらってみましょう。
ともかく想いを口から出すことで、ちょっとづつ変わっていきますので。
では今回はこれくらいで。
またいつでも相談にのりますのでメッセ下さい!
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