ピザ窯イタリアンで熟成酒を楽しむ会ってのを開催してみたよ。

画像1

のっけから美味しそうな写真ですみません。

今年の6月で十周年を迎える地酒屋こだま。もともと日本酒好きが高じて始めた店なので、あっこれ美味しいとかこれは寝かせたら絶対よくなるよなぁとかこれ売るのもったいない(不適切な発言)とか言ってるうちに気がつけば10年で溜まりに溜まった冷蔵&常温熟成の数千本のお酒たち。

すごいのよ、これが(いろんな意味で)。

なので今年はそんな熟成酒たちの楽しさをお客さまと共有できるような会を積極的に開催していきたいなと。そんな思いで今年初めての開催となったのが先日、2020年3月10日に開催したこの会でした。

画像2

会場となった「ワイン処 Oasi(オアジ)」さん。水道橋駅から徒歩2分の入り口のわかりづらいマンションの2Fにちょっと隠れてる素敵なお店。ソムリエ料理人のご夫婦が営んでいるワインとピザと肴のお店なのですが、ご主人は和食もできる方なので月に数回和会席料理の営業もなさっているご縁で知り合い、個人的に好きで何度もお邪魔しているお店なのです。

今回はもちろん貸し切りで、定員めいっぱいの20名で募集させていただきました。が、まさかの募集開始2時間で満席(ありがたやー)。アマチュアの頃から数えると13年くらい会をやってきましたが最近は埋まるのも早くなってきていて、有り難いやら申し訳ないやら。

さて、では今回のお料理とお酒を、せっかくですのでなかなか出会うことのできない熟成酒には少しだけ解説を入れてご紹介させてください。あ、うちの会は基本的にペアリングとかマリアージュとかはやっておりませんので、その観点からのコメントは一切なしとなります、ご了承ください。

ちなみに最初にご紹介したお料理は
前菜3点~バーニャカウダ/イサキのカルパッチョ/レバーペースト
でした。ちなみにこれで一人前、ボリューム感満点です。

画像3

篠峯(奈良・御所)純米 山田錦 超辛無沪過生原酒 2012/24BY(7年熟成)
ナッツを思わせる香りがほんのり、シャープだった輪郭が完全に丸くなっています。穏やかで柔らかで、控えめなのに存在感のある旨みを9号酵母のハイトーンな柑橘系の酸がちゃんと支えています。見事。このスペックは当店では超定番で、シャープでドライな旨みを柑橘系の酸が支える、和食から洋食まで万能の「旨い辛口」として不動の地位を築いています。

画像4

メバルとタチウオとタケノコのフリット
ああ、メバル釣りも楽しそうだなぁ(最近釣りに行けてない)。

画像5

会州一(福島・会津若松)純米生原酒 瑞祥初しぼり 2013/25BY(6年)
こちらもナッツ系の香りがほんのり、軽快ですっきりした旨みをそのままに深みを持たせた熟成です。短いけれど魅惑的な余韻にカカオ感が出ているのは桜井杜氏自ら育てている美山錦の特徴かも知れません。新酒の頃はとにかくすっきりしているだけ(やや暴言)なのでイタリアンに合わせようなんて全く思いもしませんが、今回はいい感じの厚みが出ていました。

画像7

初雪盃(愛媛・砥部)吟醸 寒造り 槽搾り 火入れ 2010/22BY(9年熟成)
今回2本だけ入れた火入れのうちの1本です。開けたてはアルコール感が前面に出てしまい、まとまらずに僕を戸惑わせましたが約7分でこなれてきました。もともとキレイなお酒ではありますが、静寂な湖面のように穏やかで滑らか、控えめな旨みの中にナッツやバニラを感じさせる複雑な熟成味を感じさせる「還暦を迎えた良家のお嬢さま」に。もちろん常温熟成です。

画像8

しらすのピザ
専用のピザ窯から熱々の焼きたてを出してくれるのが実に嬉しいのです。

画像6

天明(福島・会津坂下)焔(ほむら)生酛 特別純米 無濾過生原酒 2015/27BY(4年熟成)
熟した柑橘系の香りがほんのり、天明の生酛らしいクリアな旨みがそのままに、熟成感というよりは穏やかな厚みとなっています。ほのかにブランデーを思わせるニュアンスが混ざってくるのも天明ならでは。昔は天明をガッツリゴリゴリに熟成させようと試みたこともありますが、孝市くんの造りはそうならないよう意識しているため、とにかく美しく熟成していきます。ちなみに4年のうち3年は当店での常温熟成、天明は常温でも崩れないのです。

画像9

笑亀(長野・塩尻)純米 嘉根満 無濾過生原酒 2010/22BY(9年熟成)
これは現在活躍している森川杜氏ではなく、僕が地酒屋こだまを始めた頃に丸山大輔社長が悪戦苦闘しながら造りをしていた頃の嘉根満です。ああ懐かしすぎる。彼は優れた酒ではなく面白い酒を造っていて、僕はそれも決して嫌いではなかった。このお酒についてはあるイタズラを仕掛けたので味わいについてはノーコメント。ちなみに1.2を争うほど好評の1本でした。

画像12

マルゲリータピザ
こうして1枚ずつ切り離されてると見栄えはイマイチ(Oasiさん、ごめんなさい)ですがめちゃめちゃ美味しかったなぁ。

画像17

鏡山(埼玉・川越)純米 搾りたて 無濾過生原酒 2016/28BY(3年熟成)
今回出品の9本の中でいちばんフレッシュ(?)なお酒。バナナ系のフルーティな香りをふんだんに含んだジューシーな旨み、後口のチョコレート系の余韻がまさに鏡山。この年の酵母はたしかM310だったと思いますが、いわゆるカプロン酸エチル高生成酵母での熟成による面白さを僕に教えてくれた1本です。洋食には万能、ホント合わせやすい、ハッピーなお酒です。

画像17

山形豚肩ロースのローストポーク マッシュポテト添え
余談ですが、僕はマッシュポテトはどんぶり一杯イケます。

画像13

分福(群馬・館林)純米吟醸 氷温三年 生原酒 2009/21BY(10年熟成)
記憶によれば当時開催したイタリアンとのコラボ会でセレクトしてあまりのポテンシャルに感動してしまい込んだ1本。酸が特に高くないのにイタリアンとの好相性を示してくれて僕のスキルをアップしてくれました。まったり絡みつくような旨みの中にガッツリ漂うチョコフレーバー、そして長めの余韻。ただ、しまい込んだ7年前と意外にあまり変わってない印象。不思議。

画像17

イイダコのラグーソースのペンネ
ああ、イイダコ釣りもいいn(以下略)。

画像14

辰泉(福島・会津若松)純米吟醸 京の華 別誂 無濾過生原酒 2011/23BY
(8年熟成)
これは開けた瞬間に「うっ旨い~」って言っちゃった。ほんのり香るけど全然嫌味じゃない熟したカプエチ香に、京の華ならではの密度感ある旨みが品よく広がり、適度な重さを感じさせる赤ワイン的な存在。このお酒で僕は京の華というお米の可能性を思い知ることになりました。記憶によると22BYくらいまでは地酒屋こだま専用で出して貰っていたお酒だったはずです。

画像17

レンコンと黒トリュフのきんぴら/グリーンオリーブ/プロシュート
最近のこだま家の流行りはスーパーで買った安い生ハムで日本酒(とワイン)を飲むことです(特に求められていない情報)。

画像16

居谷里(長野・大町)山廃 もち米純米 火入れ原酒 2013/25BY(6年熟成)
熟した果実香、厚みのある旨み、蜂蜜や干柿のようなジューシーな甘さが混じって楽しい熟成になってました。単純にうまーい。これと生ハムで延々飲める。参加者からの「甘いのにくどさがない」というご指摘通り、実はもち米ってどこかすっきりした甘さを呈することが多いのでその結果かなと。今は造ってないこのスペック、また復活してくれないかなー。


いかがでしたか。


って聞かれても「美味しそうですね」としか返答しようがないですよね。だよねー、僕もそう思います。

じゃーしょうがないからとりあえず参加者の笑顔でも見てって。

画像18

ご参加のみなさん、Oasiさん、本当にありがとうございました。


画像20

<data>
ピザ窯イタリアンで熟成酒を楽しむ会
2020年3月10日 19時~22時
水道橋 ワイン処 Oasiさん
会費:7,500円(税込)
内容:Oasiさんのコース料理にこだま熟成酒(非売品)9種類を楽しむ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?