愛知の米宗(こめそう)始まります。

以前から見かけると何度か飲んでいて、いわゆる生酛山廃系の好ましいお酒だなぁ…程度に思っていましたが、まさか「全量酵母無添加」なんて、そんなマッチョな造りをしているとは知りませんでした。

蔵を訪ねた夜にご一緒した名古屋の「おにたいじ」さんにて。

200年以上の歴史がある青木酒造の15代目、若き蔵元杜氏の青木拓磨くんは現在33歳。もともとは米問屋だった当時の屋号「米宗(こめそう)」が主要銘柄。最寄駅から車で約10分、田んぼに囲まれた空の広い場所に立地する小さな蔵元です。年間の生産量は100石未満、名実共に手造りの酒です。

永和駅から蔵の方角を望みます、本当に田んぼの多い地域でした

木曽川に近く海抜も低い青木酒造は1959年(昭和34年)に襲った伊勢湾台風により海水に浸かり、跡形もなくなったそうです。当時の13代目社長が復興に力を注いだ結果、青木酒造の新たな「味のある旨い酒造り」が始まり、自然乳酸を利用する山廃造りにも積極的に取り組むようになったそうです。

東京の某高級スーパーマーケットでの勤務を経て約5年前に蔵に戻り、その頃杜氏を務めていた現社長で父の青木春彦さんについて酒造りを学び、なんと令和1(2019)BYより、父春彦さんの勧めもあり杜氏を引き継ぎました。

彼のお酒、まだまだ進化中なのでキーワードだけ並べておきます。

「全量酵母無添加」
「生酛&山廃」
「完全発酵」
「タンク熟成」
「常温&お燗」

経験は浅いですが酒質に危うさは感じません。その経験の浅さを補って余りあるセンスとポジティブさ、そして自身を客観視できる思慮深さが彼を支えているように僕は思います。

仕込み蔵の風景、蔵も設備も古いですが清掃・整頓が行き届いています

誤解を承知で言えば、現代の日本酒の流行とはかなり離れた位置にいる酒質です。フルーティなお酒なんかありませんし、必ずしも飲みやすい方向性でもありません。でも拓磨くん自身がそんな米宗の味わいが大好きで、そちらには全く興味がないようです。そんな潔さ、そして全ての事象に明確に理由を持つ聡明さにも、僕は共感しています。

楽の世の村瀬さんも一緒に飲みました。ちなみに写真撮ってくれたのは鷹の夢の山盛くん。

これから彼がどのように進化していくのか。僕も刺激を受けながら、そして一緒に楽しみながら、これから米宗を取り扱って参ります。地酒屋こだまの新しい仲間をどうぞよろしくお願いいたします。

(入荷は今週末くらいを予定しています、今しばらくお待ちください)

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