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秋が終わればお終い?…ひやおろしや秋あがりの「その先」にあるもの。

先日、10月29日に地酒屋こだま二階「こだまのねんりん」にて、
「ひやおろし&秋あがり新旧飲み比べまくりの会」を開催しました。

て、手作り感満載(笑)

募集の12名もおかげさまで満席になりまして、
おつまみも簡単ですが四品ほど用意しての開催。
今後も二階はこんな感じで楽しく使っていこうと思っています。

募集時には10種類ほど…なんて言ってたら結果的に13種類(あるある)

北は山形、西は愛媛まで13種類の秋酒たちが大集合。
もちろん全て「最新の秋酒」と「熟成させた秋酒」のセットです。

ひやおろしや秋あがりって名前を付けるのは誰でしょう?
はい、答えはもちろん造り手側。
人間の都合で勝手に「はい、君たちは秋酒ね」ってなるだけで、
お酒たちが望んでひやおろしや秋あがりって呼ばれてる訳じゃないんです。

で、これはもちろん主観が大いに入る訳なんだけども、
ひやおろしや秋あがりって「熟成させよう」ってみんなあまり思わずに
その秋の時期だけ、それが過ぎたら「はいさよなら」って印象が強いのね。

それはちょっと寂しくないですか?…といつも思うんです。
その勝手に人間が秋酒と命名したお酒たち、実は年を越え、春を迎えると
秋には開ききっていなかった旨みがどんどん開花していくというのに…
ちなみに地酒屋こだまでは普段からふた夏越え、み夏越え、なんていう
秋酒を扱うのはそんな理由もあるんです。この旨さ、知って欲しいから。

なんていう想いで、今回は僕が独自に寝かせた秋酒と飲み比べすることで
フレッシュ&熟成の味わい、双方のよさを感じていただきたかったのです。
どちらがいいなんて単純な話ではなく「どちらのよさも感じて欲しい」。

当日はそれぞれの特徴を楽しんでいただくために
最新の秋酒を常温で、熟成秋酒をお燗で、
ほぼ同時に出して比べながら楽しんでいただきました。

ここからはそれぞれのお酒のBY(酒造年度)と簡単なご紹介。

若乃井(山形県西置賜郡)特別純米「秋宝(しゅうほう)」2014/26BY
布を使って手貼りしたラベル、これで当時税抜き1,200円でした
雪室熟成のまろやかさがさらに増したバランスのよい熟成、旨かった…
辰泉(福島県会津若松市)純米「瓶囲いひやおろし」2011/23BY
現行品は「秋上がり」に改名、歴史を感じます
辰泉らしい優しい米の旨みの癒し系そのまま、ホッとする味わい
会津中将(福島県会津若松)特別純米「ひやおろし」2012/24BY(推定)
タンク貯蔵→生詰めの手法を採る正統派ひやおろしは今も昔も変わりません
ふくよかで複雑味のある味わい、どっしりしていて旨かった…
会洲一(福島県会津若松市)純米原酒「ひやおろし」2013/25BY
この頃は生詰め(正統派ひやおろし)、現行品は安全を優先して瓶熟成しています
熟成の過程で優しくて楽しい酸が生成、軽快な旨さが印象的でした
花泉(福島県南会津郡)十ロ万(とろまん)「ひやおろし」2010/22BY
当時はスペック非公開&特定名称無し、現行品は「ひやおろし」表記無し
今回のお酒の中では最も古いBY、深みのある旨酒でした
廣戸川(福島県岩瀬郡)特別純米「秋あがり」2013/25BY
廣戸川特約店第一号の地酒屋こだまならではのお酒(自慢)
現行品は65%精米ですが派手さのない廣戸川らしさは変わりません
本金(長野県諏訪市)純米酒「ひやおろし」2013/25BY
現行品は美山錦、諏訪産へのこだわりはここ十年で加速しました
7号酵母の存在感のある酸の生きた旨さが印象的でした
笑亀(長野県塩尻市)特別純米原酒「ひやおろし」2019//01BY
昨年経営が変わり現行品は「和饗」ですが森川杜氏が変わらず造っています
今回のお酒の中では最も若い三年半熟成ですが旨みの太さが流石でした
今錦(長野県上伊那郡)中川村のたま子特別純米「ひやおろし」2014/26BY
同じ中川村産美山錦の棚田米がおたまじゃくし、平地米がたま子になります
現行品は軽いのですがこれは厚みのあるかなりの旨酒に成長していました
三千櫻(岐阜県中津川市)純米愛山「ひやおろし」2011/23BY
2020年に北海道へ移転、軟水から中硬水へと変わった三千櫻
程よい旨みからの軽快な抜け感は愛山由来か、はたまた軟水由来か…
不老泉(滋賀県高島市)山廃純米吟醸「ひやおろし」2011/23BY以前
山根前杜氏が醸した貴重なひやおろしを特別に分けていただいたのですがBY不明という(笑)
不老泉らしい程よい厚みのある旨みは23~21BYという印象、これは旨かった…
大倉(奈良県香芝市)特別純米「秋あがり」2016/28BY
今年からラベルが変わりましたが中身は変わらず大倉らしい味わい
山廃ではありませんが複雑な味わいと濃醇な旨みでガッツリ旨かったです
初雪盃(愛媛県砥部市)純米吟醸月光「夏越酒」2018/30BY
夏越酒の解釈はいろいろありますが愛媛では初秋に発売されるお酒が多い印象
今回のお酒の中では最も「ジューシー」で初心者でも楽しめそうな味わいでした

おかげさまでよい会ができたと思います。
盛り上がりすぎて二時間の予定が二時間半になっちゃいましたが(笑)
何よりもご参加のお客様の「楽しもう」というお気持ちが嬉しかった。

二階ではこんな小さな会を重ねていきたいと考えています。
手が足りないので頻繁にはできませんが、よかったら遊びに来てください。

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